農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案
衆議院 農林水産委員会
昭和60年法律第38号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S60.3.26趣旨説明・補足説明農林水産委員会 7215
- S60.3.27質疑農林水産委員会 8238
- S60.4.2質疑・参考人招致農林水産委員会 10240
- S60.4.3参考人招致・質疑農林水産委員会 11257
- S60.4.10質疑・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案農林水産委員会 12259
- S60.4.11委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 2043
参議院農林水産委員会
- S60.4.12趣旨説明・補足説明農林水産委員会 12242
- S60.4.16質疑農林水産委員会 13176
- S60.4.18質疑農林水産委員会 14350
- S60.4.23参考人招致・質疑・採決・附帯決議農林水産委員会 15252
- S60.4.24附帯決議・委員長報告・採決本会議 1453
提案理由
佐藤守良 農林水産大臣 昭和60年3月26日農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農業改良資金制度は、昭和三十一年に発足して以来、農業事情の変化に対応して制度及び運営の改善を図りつつ、新技術の導入、農家生活の改善及び農業後継者の育成のための無利子資金の貸し付けを通じて農業経営の安定と農業生産力の増進に貢献してまいりました。
また、自作農創設特別措置特別会計制度は、昭和二十一年に発足して以来、政府による農地の買収、売り渡し等の経理を行う特別会計として自作農の創設及びその経営の安定に寄与してきたところであります。
しかしながら、近年、農業をめぐる情勢の変化には著しいものがあり、農業生産の再編成、土地利用型農業の経営規模の拡大、生産コストの低減等農業経営が直面する諸課題に対応して経営基盤の強化を図るため、農業改良資金制度の一層の活用を図ることが求められております。また、この制度は、都道府県段階で資金が回転する仕組みであるため、都道府県によっては資金余剰が生じ、あるいは不足が生じており、厳しい財政事情のもとで、資金の効率的利用を図ることが緊急の課題となっております。
一方、自作農創設特別措置特別会計制度については、農地等の売買に伴う差益がこの特別会計に累積し、相当額の剰余金を保有するに至ったため、この剰余金を、現下の農政上の大きな課題である農地保有の合理化のための施策に有効活用し、構造政策の強化に資することが適切であると考えられます。
政府におきましては、このような諸情勢にかんがみ、農業経営に意欲的な農業者が合理的な生産方式の導入、経営規模の拡大等を図ることを促進するため、農業改良資金制度について資金種目の再編拡充を行うとともに、資金の効率的利用が図られるよう政府の助成方法を変更し、あわせて農業経営基盤の強化に資する観点から、本資金制度及び農地保有の合理化のための措置に係る政府の経理を一般会計と区分して行えるよう自作農創設特別措置特別会計制度を改組することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
まず、農業改良資金助成法の改正について御説明申し上げます。
第一に、資金種目を再編拡充して、新たに生産方式改善資金及び経営規模拡大資金を設けることであります。
生産方式改善資金は、現行の技術導入資金を再編拡充したものでありまして、従来の貸付対象である能率的な技術の導入のみでなく、作目や地域の実態に即し、農業生産の再編成やコストの低減等農業経営が直面する課題に対応して、普及を図るべき合理的な生産方式を導入するために必要な資金であります。
また、新たに設けられる経営規模拡大資金は、土地利用型農業の経営規模を拡大するため、農用地について賃借権等の利用権を取得するのに必要な資金であります。
第二に、資金の貸付事業を行う都道府県に対する政府の助成方法の変更であります。
これまでは、国は都道府県に対し、必要な貸付財源の三分の二以内を補助しておりましたが、今後は、これを無利子で貸し付けることとしております。これによりまして、今後は、国への償還金を再び都道府県への貸付財源とすることにより、都道府県における資金需要に応じた全国的な資金の調整を行い得ることとなるのであります。
次に、自作農創設特別措置特別会計法の改正について申し上げます。
この特別会計の名称を農業経営基盤強化措置特別会計とするとともに、その経理の対象を農業経営基盤の強化に資するための農地保有合理化措置及び農業改良資金に係る政府の貸付金の貸し付けとすることとしております。
また、これにあわせてこの特別会計における剰余金等の財源の有効活用に関する措置を講ずることとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農林漁業金融公庫資金制度は、農林漁業の生産力の維持増進を図るため、農林漁業者等が必要とする長期かつ低利の資金を融通することを目的として、昭和二十八年に発足したものでありますが、以来、農林水産施策の展開の方向に即応して逐次制度の改善を図りつつ、今日まで農林漁業の発展に多大の貢献をしてまいりました。
しかしながら、最近の農林水産業を取り巻く諸情勢について見ますと、農林水産物の消費の伸び悩み、経営規模拡大の停滞等極めて厳しいものがあり、このような状況のもとで、農林水産業の体質の強化を図ることが重要な課題となっており、農林漁業金融公庫資金についてもこのような課題に即応した制度の改善が求められております。
また、農林漁業金融公庫資金につきましては、近年、利子補給等に要する補給金が著しく増加してきており、厳しい財政事情のもとで資金の効率的利用を図っていくことが求められております。
政府といたしましては、このような状況を踏まえ、農林漁業金融公庫資金制度について、農林漁業経営の育成強化及び農林漁業の構造改善を促進しつつ資金の効率的利用と制度の簡素化を図るとの観点に立って見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、農林水産施策の展開方向に即した制度の改善充実であります。
まず、農業経営の育成対策の強化を図るため、総合施設資金の貸付対象として自立経営を目指して段階的に規模拡大等を推進しようとする若い農業者等を追加することとしております。
次に、林業経営対策の強化を図るため、林業経営改善資金の貸付対象として林業経営の複合化のために必要な施設を追加することとしております。
さらに、生鮮食料品等の流通の近代化を推進するため、卸売市場近代化資金について、地方卸売市場等の仲卸業者を貸付対象として追加することとしております。
加えて、国産農林畜水産物の需要の増進を図るため、新規用途事業資金について、新規用途の開発及び加工原材料用の新品種の育成、導入に要する資金の融通の道を開くこと等の充実を行うこととしております。
第二は、制度の整理合理化であります。
農地等取得資金等の三分五厘資金については、構造政策等の方向に即して重点化を図り、その一部を五分資金とすることとしております。
また、農業、林業、沿岸漁業の構造改善事業の推進のための資金につきましては、制度の簡素化等の観点からこれを統合し、農林漁業構造改善事業推進資金とすることとしております。
さらに、財投金利等と連動して金利改定が行われてきた漁船、塩業、卸売市場近代化等の資金の法定上限金利を八分五厘に統一改定することとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
農業近代化資金制度及び漁業近代化資金制度は、農業者、漁業者等に対する長期低利資金の融通を円滑にするため、協同組合系統資金の活用を図りつつ運用されておりますが、昭和五十八年末においてその融資残高は農業近代化資金がおよそ一兆二千九百二十八億円、漁業近代化資金がおよそ二千八百四十二億円に上っており、農業者、漁業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化の推進に大きく寄与しているところであります。
これら両制度につきましては、制度創設以来、逐次改善を図ってきたところでありますが、最近における農業者、漁業者等の資金需要の大型化に即応して、その貸し付けの最高限度額を、それぞれ現行の二倍に引き上げることとし、農業者、漁業者等に対する施設資金等の融通をより円滑にすることとした次第であります。
以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第102回国会衆議院農林水産委員会議録第7号27頁(昭和60年3月26日)〔佐藤守良農林水産大臣発言・発言番号209〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。「農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案」「農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案」「農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)最近における農林漁業をめぐる厳しい諸情勢の下で、農林漁業施策の充実、経営の改善が強く求められている中にあって農林漁業金融制度の果たす役割はますます重要となっている。農林漁業金融制度については、系統資金、農林漁業金融公庫資金、近代化資金等のそれぞれのもつ特徴を生かし、農林漁業者の資金需要に応えてその政策課題に充分対処するため、長期、低利の資金の確保、固定化負債解消など改善充実が要請されているところである。よって政府は、左記事項の実現に努め、農林漁業金融制度の一層効果的な運用を確保し、制鹿本来の使命が果たせるよう万全の措置を講ずべきである。記
一金融の自由化等の急速な進展に対処するため、系統組織・機能のあり方について、本来の役割を踏まえ、幅広く検討を行うとともに、系統信用事業基盤の整備強化、系統信用事業の効率化の指導に努めること。
二農林漁業金融について、系統金融、近代化資金、農林漁業金融公庫資金等がそれぞれの役割を分担しつつ、機能が十分発揮されるよう分野調整に努めること。
三系統資金を農林漁業内部で有効に活用するため、貸付けの適正化に配慮しつつ組合員の事業、生活面の資金需要に積極的に対応するとともに、農林漁業をめぐる諸情勢の変化に応じ、制度資金の融資条件の緩和、融資対象の拡大、資金枠の確保等に努め、また運用面での配慮を行うこと。
四制度資金の貸付対象者の範囲については、経営改善に意欲的に取組もうとする農林漁業者が幅広く活用できるよう適切な運用を行うこと。
五農林水産施策の推進に必要な三・五%資金については、これを維持し必要な予算の確保に努めるとともに、今後の諸情勢の推移を踏まえ貸付条件の改善等の検討を行うこと。
六総合施設資金については、本資金が農業近代化資金及び運転資金との総合資金制度である趣旨に沿い、調和のある運用が図られるよう積極的な指導を行うこと。
七制度資金等の貸付けに当たっては、適正な運用に努め、融資後においても資金融資の所期の目的が達成されるよう改良普及員、農協営農指導員等の組織を活用し、経営指導の徹底に万全を期すること。
八制度資金の貸付手続については、農林漁業者の理解を得やすくするためなお一層の簡素化に努めるとともに、農林漁業者の資金需要に早期に対応すること。
九農林漁業者の経営上から生じた負債の実態把握に努めるとともに、固定化負債を含め負債整理のための金融制度のあり方について十分検討を行い、経営の安定を期す見地から所要の措置を講ずること。
十融資の円滑化を図るため、融資保証、保険制度の適正な運営と所要の改善に努めること。
政府は、農林水産業をめぐる厳しい諸情勢に対処し、足腰の強い農林漁業経営を育成するため、農林漁業金融制度の運営が一層効果を発揮し得るよう、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一農林水産施策の推進に必要な補助及び融資については、それぞれの特質に応じて適切にその役割を分担・補完し、十分効果が発揮されるよう措置すること。
二制度資金については、その使命の重要性にかんがみ、三・五%資金をはじめとする長期・低利資金の円滑な供給を図るため、必要な予算の確保並びに農林漁業をめぐる諸情勢の変化に即応した融資条件の緩和、融資対象の拡大、融資枠の確保等に努めること。
三制度資金の融費対象者の範囲については、農林漁業経営に意欲的に取組もうとする者が幅広く活用できるよう、適切に運用すること。
四制度資金の所期の目的が達成されるよう適正な貸付の確保に努めるとともに、改良普及員、農協営農指導員等による融資後の経営指導の徹底等を図ること。また、農林漁業者の資金需要に適時、的確に対応するため、貸付手続の一層の簡素化に努めること。
五農林漁業金融については、系統金融、近代化資金、農林漁業金融公庫資金等が、その役割に応じ、十分機能を発揮し得るよう、分野調整に努めること。
六系統資金については、その活用を図るため、組合員の資金需要に積極的に対応するとともに、農林漁業と農山漁村の実情に応じた適正な貸付が確保されるよう指導等に努めること。また、金融の自由化等の急速な進展に対処するため、系統の組織及び機能のあり方について、本来の役割を踏まえ、幅広く検討を行うとともに、系統信用事業の基盤整備と効率化の指導に努めること。
七農林漁業者の負債の実態把握に努めるとともに、固定化負債を含め負債整理のための金融制度のあり方について十分検討を行い、経営の安定を期する見地から所要の措置を講ずること。
八融資の円滑化を図るため、融資保証、保険制度の適正な運営と所要の改善に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110201039)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。