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閣法第102回国会 第60号成立

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

昭和60年法律第89号 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
提出昭和60年3月19日 内閣
付託衆議院 社会労働委員会
参議院 社会労働委員会
成立
昭和60年法律第89号
審議会議 10回・発言 1,790(政府答弁等 745)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院社会労働委員会

  1. S60.4.16趣旨説明・質疑社会労働委員会 15222
  2. S60.4.19参考人招致・質疑社会労働委員会 17341
  3. S60.4.23質疑社会労働委員会 18348
  4. S60.5.14質疑・討論・採決・附帯決議社会労働委員会 2093
  5. S60.5.17委員長報告・採決・附帯決議本会議 2812

参議院社会労働委員会

  1. S60.5.23趣旨説明・質疑社会労働委員会 20234
  2. S60.5.29参考人招致社会労働委員会 2261
  3. S60.5.30質疑社会労働委員会 23269
  4. S60.6.6質疑・討論・採決・附帯決議社会労働委員会 25221
  5. S60.6.7附帯決議・委員長報告・討論・採決本会議 2058

提案理由

山口敏夫 労働大臣 昭和60年4月16日

ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 最近における経済社会の進展を背景として、労働力の需要及び供給の両面において、多様かつ著しい変化が見られます。すなわち、労働力の需要側においては、マイクロエレクトロニクスを中心とする新たな技術革新の波が広範な分野に広がり、これに伴って、企業内においても、専門的な業務分野が増加しつつあります。一方、労働力の供給側においては、自分の希望する日時等に合わせて、専門的な知識、技術あるいは経験を生かして就業することを希望する労働者層が増加してきております。

 このような変化が進行する中で、他の企業の仕事を請け負い、自己の雇用する労働者をその企業に派遣して就業させるといういわゆる人材派遣業が増加し、そこで就業する労働者数も相当な数になりつつあります。

 ところで、これらの事業については、労働力の多様なニーズに対応した需給の結合を促進し、就業の機会を拡大する役割を果たしているところでありますが、一方では、労働者が派遣先の企業で就業する形態であることから、職業安定法第四十四条で禁止している労働者供給事業との関係で問題が生ずる場合もあるほか、労働者保護に関する労働基準法等の適用に関しても、現行法のもとでは適切に対処できないという問題もございます。

 また、一方では、今後の労働力の需給の変化を展望した場合、増大する高齢者や女子労働者の雇用の安定を図り、技術革新の進展に伴う技能労働力を育成し、確保していくためには、我が国の雇用慣行や労働市場の状況との調和にも配慮しつつ、新たな観点から労働力需給調整システムの整備を図っていくことが必要となってきております。

 このため、職業安定法第四十四条の精神を堅持しつつも、特定の業務分野については、労働者の保護と雇用の安定に配慮した上で、労働者派遣事業を制度化し、そのための法的整備を図ることが必要と考えます。

 この問題に関しては、昭和五十二年以来広く関係者の意見を聞きつつ慎重な検討を続けてきたところでありますが、昨年十一月に、中央職業安定審議会の労働者派遣事業等小委員会より、労働者派遣事業の制度化とそのために必要な規制措置について報告が提出されたところであり、政府としては、この報告の趣旨に基づき、中央職業安定審議会等の関係審議会の審議を経て成案を取りまとめ、ここに二法案を提出した次第であります。

 まず労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一は、この法律は、労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図り、もって派遣労働者の雇用の安定と福祉の増進に資することを目的といたしております。

 第二は、労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置であります。

 その一として、労働者派遣事業を常用雇用労働者のみで行う特定労働者派遣事業といわゆる登録型等で労働者を派遣する一般労働者派遣事業に区分し、前者については届け出制、後者については許可制によることといたしております。

 その二として、労働者派遣事業は、港湾運送業務、建設業務等を除き、専門的な知識、技術、経験を必要とする業務及び特別の雇用管理を必要とする業務のうち中央職業安定審議会の意見を聞いて政令で定める業務に限って行うことができることといたしております。

 その三として、労働者派遣事業を行う者についての欠格事由等を定め、事業停止命令等の措置を講ずることといたしております。

 第三は、派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置であります。

 その一として、労働者派遣契約に派遣労働者の具体的な就業条件を定めることとするとともに、正当な組合活動を行ったこと等を理由とする労働者派遣契約の解除を禁ずること等の措置を講ずることといたしております。

 その二として、派遣元事業主に、派遣労働者の就業機会や教育訓練の機会の確保等のための努力、派遣労働者に対する就業条件の明示等適正な雇用管理を行わせることといたしております。

 その三として、派遣先に、派遣労働者についての苦情の的確な処理等の努力を行わせるため、派遣先責任者を選任させる等適正な就業管理を行わせることといたしております。

 その四として、労働基準法等の使用者責任を明確化することとし、派遣労働者については、基本的には派遣元の事業主が使用者としての責任を負うという原則を維持しつつ。派遣先でなければ履行の確保が困難な労働時間の管理、労働者の安全衛生の確保等の事項については、派遣先の事業主に使用者責任を負わせることといたしております。

 その他この法律を施行するために必要な指導、改善命令、立入検査、報告の徴収等の権限及び罰則規定等を定めることといたしております。

 次に、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要について御説明申し上げます。

 この法律案は、ただいま御説明申し上げました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案の成立、施行に伴って必要とされる関係法律の整備のための規定及び経過措置を定めるほか、これにあわせて、最近の経済社会情勢の変化に対処して、民間の職業紹介事業、労働者募集及び労働組合が行う労働者供給事業につき、その労働力需給調整機能が効果的に発揮されるよう現行規制の簡素合理化等の改正を行うことといたしております。

 以上、二法律案の提案理由及びその概要について御説明申し上げました。

 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

第102回国会衆議院社会労働委員会議録第15号1頁(昭和60年4月16日)〔山口敏夫労働大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 社会労働委員会昭和60年5月14日

政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一対象業務を具体的に定めるに当たっては、我が国の雇用慣行との調和に十分留意し、常用雇用労働者の代替を促すこととならないよう、十分配慮すべきであり、中央職業安定審議会の意見を尊重して、慎重に対処すること。特に、製造業の直接生産工程に従事する業務については、労働者派遣事業の対象とはしないこと。

二いわゆる二重派遣は、労働者供給事業に該当し、禁止されるものであるので、その旨の周知徹底を図るとともに、二重派遣が行われることのないよう、厳格な指導に努めること。

三派遣元事業主から教育訓練に関する計画を提出させ、これに基づき、派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進が図られるよう、適切な指導に努めること。

四労働時間、休日等の労働基準法等の適用の特例については、労働者の保護に欠けることのないよう、その周知徹底に努めること。

五労働者派遣事業と有料職業紹介事業とが競合することにより、労働者の保護に欠けることのないよう、適切な調整に努めること。

六労働者派遣事業、労働組合が行う労働者供給事業その他の民間の労働力需給調整システムにより就業する労働者について、社会・労働保険の適用の促進その他福祉の向上が図られるよう、適切な指導に努めること。

七労働者派遣事業が適切に運営され、労働者の保護と雇用の安定が確保されるよう、関係職員の増員をはじめ、行政体制及び民間の協力体制の整備を図るとともに、労働力需給の変化に的確に対応するため、公共職業安定機関の機能の充実、強化に努めること。

八いわゆる派遣店員について、その適正な就業を確保するため、派遣元、派遣先両者間の取り決め及び派遣店員の管理の在り方に関し、業界に対し適切な指導に努めること。

参議院 社会労働委員会昭和60年6月6日

政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一対象業務を具体的に定めるに当たっては、我が国の雇用慣行との調和に十分留意し、常用雇用労働者の代替を促すこととならないよう、十分配慮すべきであり、中央職業安定審議会の意見を尊重して、慎重に対処すること。特に、製造業の直接生産工程に従事する業務については、労働者派遣事業の対象とはしないこと。

二請負形式により実質的に労働者派遣事業が行われることを防止するため、請負であるか否かの認定基準の作成に当たっては、中央職業安定審議会の意見を聴いて、可能な限り客観的に明確なものとなるよう慎重に検討するとともに、その厳正な運用に努めること。

三派遣先における作業内容、作業環境等に関し問題が生じた場合には、派遣労働者、派遣先事業主及び派遣元事業主との十分な協議を通じて、これらの問題が円滑に処理されるよう、事業主に対する指導に努めること。

四労働者派遣事業は、労働力需給調整制度の一つとして位置付けられるものであると同時に派遣労働者の雇用の安定、福祉の増進に資することを目的とするものであることに鑑み、単なる企業内の余剰労働力の調整策として行われることのないよう適切な運用に努めること。

五いわゆる二重派遣は、労働者供給事業に該当し、禁止されるものであるので、その旨の周知徹底を図るとともに、二重派遣が行われることのないよう、厳格な指導に努めること。

六派遣元事業主から教育訓練に関する計画を提出させ、これに基づき、派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進が図られるよう、適切な指導に努めること。

七労働時間、休日等の労働基準法等の適用の特例については、労働者の保護に欠けることのないよう、その周知徹底に努めること。

八労働者派遣事業と有料職業紹介事業とが競合することにより、労働者の保護に欠けることのないよう、適切な調整に努めること。

九労働者派遣事業、労働組合が行う労働者供給事業その他の民間の労働力需給調整システムにより就業する労働者について、社会・労働保険の適用の促進その他福祉の向上が図られるよう、適切な指導に努めること。

十労働者派遣事業が適切に運営され、労働者の保護と雇用の安定が確保されるよう、関係職員の増員をはじめ、行政体制及び民間の協力体制の整備を図るとともに、労働力需給の変化に的確に対応するため、公共職業安定機関の機能の充実、強化に努めること。

十一いわゆる派遣店員について、その適正な就業を確保するため、派遣元、派遣先両者間の取り決め及び派遣店員の管理の在り方に関し、業界に対し適切な指導に努めること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110201060)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。