半導体集積回路の回路配置に関する法律案
衆議院 商工委員会
昭和60年法律第43号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S60.4.10趣旨説明商工委員会 10218
- S60.4.16質疑商工委員会 1295
- S60.4.17質疑・採決・附帯決議商工委員会 13192
- S60.4.19委員長報告・採決・附帯決議本会議 2252
参議院商工委員会
- S60.5.23質疑・採決・討論・附帯決議商工委員会 16275
- S60.5.24附帯決議・採決・委員長報告本会議 1834
提案理由
村田敬次郎 通商産業大臣 昭和60年4月10日半導体集積回路の回路配置に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
半導体集積回路は、電子計算機、家庭電器製品、自動車等あらゆる工業製品に広範に用いられており、既に我が国産業経済、国民生活にとって不可欠のものとなっているのみならず、将来においても情報化社会における「産業の米」として一層その重要性を増すことが見込まれております。
この半導体集積回路は、わずか数ミリ角の半導体材料の上に数万から数十万個の素子を生成させることにより、情報を記憶し、または論理演算を行う等の機能を持たせたものでありますが、近年、著しい技術革新の進展を背景としてその集積度も飛躍的に増大してきております。かかる状況下で半導体集積回路の開発費用も増大しつつありますが、特に、トランジスターその他の回路素子及び導線の配置すなわち回路配置の開発費用がその大宗を占めております。
他方で、回路配置の解析技術の向上等により、他人が開発した回路配置を模倣した場合には極めてわずかな費用で同一の成果を得ることができるため、回路配置の模倣が行われる危険性が高まってきております。これを放置いたしますと、開発者の投資回収が阻害され、その結果開発意欲が失われ、半導体集積回路産業の健全な発展にも悪影響を及ぼすおそれがあります。このため、半導体集積回路の適正な利用の確保を図るための制度を創設することが喫緊の課題となっております。このことは我が国と並ぶ半導体先進国である米国においてもつとに認識されているところであり、同国では既に昨年半導体チップ保護法が成立し、施行されております。半導体集積回路の国際的取引が今後ますます盛んになると見込まれる現状にかんがみ、我が国においても同様の制度を創設することは、国際的観点からも極めて重要であります。本法律案は、このような観点から、回路配置の創作者に回路配置を利用する権利の専有を認める等の制度を創設しようとするものであります。
次に、この法律案の要旨につきまして、御説明申し上げます。
第一は、用語の定義であります。この法律案における基本的用語である「半導体集積回路」、「回路配置」等の定義規定を置くこととしております。
第二は、回路配置利用権の設定の登録についてであります。回路配置の創作をした者またはその承継人は、その回路配置について回路配置利用権の設定の登録を受けることができることとしております。
第三は、回路配置利用権についてであります。回路配置利用権は、設定登録により発生し、その存続期間は、設定登録の日から十年としております。権利の内容といたしましては、回路配置利用権者は、業として設定登録を受けている回路配置を用いて半導体集積回路を製造し、またはその回路配置を用いて製造した半導体集積回路を譲渡し、貸し渡し、展示し、もしくは輸入する権利を専有することとしております。また、専用利用権、通常利用権等についての規定を設けることとしております。
第四は、権利侵害についてであります。回路配置利用権者等は、自己の権利を侵害する者に対し、損害賠償請求権及び差しとめ請求権を有することとしております。また、半導体集積回路が各種の製品に組み込まれて広く流通している現状にかんがみ、善意無過失で侵害品の引き渡しを受けた者に対する特例規定を設けることとしております。
以上のほか、指定登録機関に関する規定、権利侵害者等に対する罰則に関する規定等の整備を行うこととしております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第102回国会衆議院商工委員会議録第10号35頁(昭和60年4月10日)〔村田敬次郎通商産業大臣発言・発言番号216〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一回路配置利用権の法的性格にかんがみ、回路配置創作者の適切な保護に留意するとともに、本制度の創設に伴い、事業者の積極的な独自技術による開発の促進を図ること。
二指定登録機関への登録事務の委任に当たっては、その中立公平性を確保するとともに、登録申請件数等の的確な把握に努め、その事業運営が円滑に遂行されるよう万全を期すること。
三半導体集積回路の回路配置創作者の権利が国際的にも適切に保護されるよう、WIPO(世界知的所有権機関)における検討作業等において、新たな条約の締結に向けて積極的役割を果たすこと。
半導体集積回路が果たしている役割の重要性にかんがみ、政府は本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一回路配置利用権の設定登録制度の適正な運用を図るため、指定登録機関の指定に当たっては、登録事務の公平性・中立性が十分確保されるよう配慮するとともに、回路配置原簿・添付資料については、その保管の安全確保についても万全を期すること。
二半導体集積回路産業の健全な発展を図るため、半導体集積回路の回路配置創作者等の権利が国際的に保護されるよう、半導体集積回路の先進国として積極的に各国と協力し、新たな条約締結等に向けて努力すること。
三半導体集積回路は、将来において産業経済、国民生活上、一層その重要性を増すと見込まれるため、基礎研究の蓄積、自主技術開発力の向上、研究員の質及び層を高める等、基礎・応用研究の充実・強化に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110201063)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。