中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案
参議院 社会労働委員会
昭和61年法律第43号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S61.2.25趣旨説明社会労働委員会 3218
- S61.3.25質疑・附帯決議・採決社会労働委員会 6252
- S61.3.26委員長報告・採決・附帯決議本会議 1428
- S61.4.11参議院回付案同意・参議院回付案本会議 1953
参議院社会労働委員会
- S61.3.27趣旨説明社会労働委員会 44
- S61.4.10質疑・採決(修正)・修正案趣旨説明・附帯決議・修正案社会労働委員会 7230
- S61.4.11附帯決議・委員長報告・採決(修正)本会議 1029
提案理由
林ゆう 労働大臣 昭和61年2月25日ただいま議題となりました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現在、我が国の人口の高齢化は世界に類を見ない速度で進展しつつあり、これに伴い、労働力人口も急速に高齢化し、二十一世紀初頭には労働力人口の四人に一人を五十五歳以上の高年齢者が占めると見込まれております。また、労働力人口の高齢化の波は、五十歳代層から六十歳代前半層へと移りつつあります。他方、高年齢者をめぐる労働市場の状況には極めて厳しいものがあり、今後の労働力人口の高齢化の進展等に伴い、ますます、深刻化することが懸念されております。
このような状況の中で、我が国の経済社会の活力を維持し、発展させていくために高年齢者の雇用・就業の機会の確保等を図ることが、早急に解決すべき極めて重要な国民的課題となっているところであります。
このため、政府としては、従来から六十歳定年の一般化を労働行政の最重要課題として取り組んできたところでありますが、今後、六十歳定年を基盤に六十五歳程度までの継続雇用を促進すること、高年齢者の早期再就職の促進のための体制を整備すること、定年退職者等に対する臨時的かつ短期的な就業機会を確保すること等高年齢者の雇用・就業に関する施策を総合的に推進していくことが求められているところであります。
これらの問題につきましては、昨年十月、雇用審議会から昭和五十四年以来検討いただいていた定年延長の立法化問題等についての答申をいただいたところであり、また、同じく昨年十月に中央職業安定審議会から今後の高年齢者の雇用・就業対策の充実強化について建議をいただいたところであります。
政府としては、これらの答申及び建議に沿って、今後の高年齢者の雇用・就業対策を総合的に推進するための法律案を作成し、中央職業安定審議会にお諮りした上、ここに提出した対策であります。
次にその内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、法律の題名を「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」から「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に改めることといたしております。
また、目的規定につきまして所要の改正を行うほか、高年齢者は、その意欲及び能力に応じた雇用その他の就業の機会が確保されるよう配慮される旨の基本的理念を明らかにするとともに、基本的理念の具現に向けた事業主、国等の責務に関する規定を設けることといたしております。
第二に、六十歳定年につきましては、事業主は、定年を定める場合には、それが六十歳を下回らないように努めるものとするとともに、六十歳未満定年の事業主のうち政令で定める基準に該当するものに対しては、引き上げの要請、引き上げ計画の作成命令、引き上げ計画の適正実施勧告、正当な理由なくこれらの命令及び勧告に従わない事業主名の公表等の行政措置を講ずることができるものといたしております。
第三に、六十歳代前半層までを含めた高年齢者の継続雇用を促進するための施策を明らかにいたしております。
まず、企業内における取り組みを推進するため、事業主は、高年齢者の雇用のための条件整備を担当する高年齢者雇用推進者を選任するように努めるものといたしております。
また、国は、六十歳代前半層の高年齢者の雇用割合が一定の割合を超える事業主等に対する助成等を行うほか、調査、研究等に努めることにより、高年齢者の職業の安定その他福祉の増進を図ることといたしております。
さらに、高年齢者の雇用の安定等を図ることを目的として設立された公益法人を中央高年齢者雇用安定センター及び都道府県高年齢者雇用安定センターとして指定することとし、これらに、事業主に対する高年齢者雇用に関する相談援助、高年齢者の継続雇用に関する給付金の支給等を行わせることにより、事業主の取り組みに対する援助体制を整備することといたしております。
第四に、高年齢者の再就職を促進するための施策を明らかにいたしております。
まず、国は、職業紹介、職業指導等の効果的な実施、求人者に対する指導、求人の開拓、求人求職情報の収集及び提供等を行うことにより、高年齢者の早期再就職の促進を図ることといたしております。
また、事業主は、定年退職者等に対する再就職の援助に努めるものとすること、高年齢者が多数離職する場合には公共職業安定所長に届け出ること及び必要に応じ離職する高年齢者の再就職援助計画を作成すること等の措置を講ずるものといたしております。
第五に、国及び地方公共団体は、臨時的かつ短期的な就業を希望する定年退職者等に対し、その希望に応じた就業機会を提供する団体の育成等に努めることとし、具体的には定年退職者等に対する臨時的かつ短期的な就業機会の提供等を目的として設立された公益法人をシルバー人材センターとして、また、シルバー人材センターの健全な発展を図ること等を目的として設立された公益法人を全国シルバー人材センター協会として指定することとし、定年退職者等の就業ニーズに応じた臨時的かつ短期的な就業機会の提供体制を整備することといたしております。
さらに、事業主は、高年齢者が在職中から退職後の生活の準備ができるようにするため、その準備についての援助をするように努めるものといたしております。
なお、以上に合わせ、現行の高年齢者雇用率制度は廃止することといたしております。
この法律の施行は、高年齢者雇用安定センターに関する規定その他一部の規定を本年四月一日からとするほか、本年十月一日からといたしております。
以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
第104回国会衆議院社会労働委員会議録第3号10頁(昭和61年2月25日)〔林ゆう労働大臣発言・発言番号74〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
急速な労働力の高齢化の中で、高年齢者の雇用就業機会の確保を図ることが極めて重要であることにかんがみ、政府は、次の事項を含め、高年齢者の雇用就業対策の拡充強化に特段の努力をすべきである。
一高年齢者の雇用就業対策について、今後の高齢化の進展、高年齢者の雇用就業の状況等に適切かつ効果的に対応できるよう、雇用政策と年金政策との関係のあり方を踏まえつつ、その充実、強化等について引き続き検討を進めること。
二六十歳未満定年の事業主に対する定年の引上げに関する行政措置について、その実施基準の制定、具体的運用に当たっては、六十歳定年の進展に十分効果的なものとなるようにすること。
三高年齢者雇用安定センターについて、企業における継続雇用の推進に適切かつ効果的な役割を果たすよう、その事業の実施に関係者の意見が十分反映されるようにする等、適切な指導を行うこと。
四シルバー人材センターについて、定年退職者等の就業ニーズに応じた就業機会の確保のために所期の役割を果たすよう、増設等一層の拡充を図るとともに、適切な運営について十分指導を行うこと。
五雇用環境が厳しい状況にある中高年齢者について、その再就職の促進体制を強化するため、公共職業安定所の組織、機能について一層の拡充強化を図ること。
六企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。
今後における高年齢者の雇用就業機会の確保の重要性にかんがみ、政府は、次の事項を含め、高年齢者の雇用就業対策の拡充強化に格段の努力を払うべきである。
一高年齢者の雇用就業対策について、今後の高齢化の進展、高年齢者の雇用就業の状況等に適切かつ効果的に対応できるよう、雇用政策と年金政策との関係のあり方を踏まえつつ、その充実、強化等について引き続き検討を進めること。
二六十歳未満定年の事業主に対する定年引上げに関する行政措置についで、その実施基準の制定、運用に当たっては、六十歳定年の進展に十分効果的なものとなるようにすること。
三高年齢者雇用安定センターが、継続雇用の推進に適切で、効果的な役割を果たすよう、その事業の実施に関係者の意見が十分反映されるようにする等、指導を行うこと。また、シルバー人材センターが、定年退職者等のニーズに応じた就業機会の確保のために所期の役割を果たすよう、増設等一層の拡充を図るとともに、適切な運営について十分指導すること。
四中高年齢者の再就職の促進体制を強化するため、公共職業安定所の組織、機能について一層の拡充強化を図ること。
五企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110401022)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。