中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
衆議院 社会労働委員会
昭和61年法律第37号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S61.3.25趣旨説明社会労働委員会 6252
- S61.4.8質疑・採決・附帯決議社会労働委員会 10152
- S61.4.11委員長報告・採決・附帯決議本会議 1953
参議院社会労働委員会
- S61.4.15趣旨説明社会労働委員会 8279
- S61.4.17質疑・採決・附帯決議社会労働委員会 9225
- S61.4.18附帯決議・委員長報告・採決本会議 1162
提案理由
林ゆう 労働大臣 昭和61年3月25日ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
中小企業退職金共済法は、中小企業の労働者の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的として、昭和三十四年に制定されたものであります。この法律に基づきまして、現在、中小企業の常用労働者を対象とする一般退職金共済制度と、建設業、清酒製造業及び林業に期間を定めて雇用される労働者を対象とする特定業種退職金共済制度の二種類の制度が設けられております。
これらの制度に加入している事業主の数は約三十七万、加入労働者数は約三百六十万人に達しており、本制度は、中小企業の労働福祉対策の主要な柱の一つとなっております。
ところで、我が国における退職金制度の現状を見ますと、大企業ではあまねく普及を見ているものの、中小企業、特に、小規模企業においては約半数の企業において普及を見ているにすぎません。
我が国が今後本格的な高齢化社会を迎えるに当たり、退職金制度は、老後生活の安定を図るため、一層重要なものとなってきており、本制度に対する期待はいよいよ高くなってきております。
このため、本制度をさらに充実強化し、その積極的な普及を図ることが要請されております。
政府は、このような観点から、本制度について所要の改善を行うこととし、先般、中小企業退職金共済審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
第一は、掛金月額の範囲の引き上げであります。
現行制度では、掛金月額の最低額は千二百円、最高額は一万六千円となっておりますが、退職金給付の大幅な引き上げを図るため、掛金月額の最低額を三千円に、掛金月額の最高額を二万円にそれぞれ引き上げることとしております。
第二は、掛金納付月数の通算制度の拡充であります。
現行制度では、被共済者である労働者が転職をした場合には、その時点で退職金が支給されることとされ、事業主都合による退職のように例外的な場合に限って転職前後の掛金納付月数が通算されることとされておりますが、転職率が高い実態にある中小企業労働者にも職業生活からの引退時に、ある程度まとまった退職金が支給できるようにするため、転職前において掛金納付月数が二十四月以上である場合には、退職の理由のいかんを問わず、その被共済者の申し出により掛金納付月数を通算することができることとしております。
第三は、加入促進等のための掛金負担軽減措置の新設であります。
事業主が本制度へ加入すること及び掛金月額を増額することを促進するため、中小企業退職金共済事業団は、掛金負担軽減措置として、一定の範囲で掛金を減額することができることとしております。
また、特定業種に属する事業を営む事業主が本制度へ加入すること等を促進するため、特定業種退職金共済組合は、掛金負担軽減措置として、一定の範囲で掛金の納付を免除することができることとしております。
第四は、余裕金の運用方法の範囲の拡大であります。
現行制度では、中小企業退職金共済事業団及び特定業種退職金共済組合の業務上の余裕金の運用方法は、預金、信託、有価証券等とされておりますが、資産の一層の効率運用を図るため、生命保険を加えることとしております。
第五は、掛金の負担軽減措置に要する費用に対する国庫補助の新設及び退職金給付に対する国庫補助の廃止であります。
本制度への一層の加入促進と掛金の増額の促進等を図るため、さきに述べました中小企業退職金共済事業団等が行う掛金負担軽減措置に要する費用を国が補助することとし、現行の退職金給付に対する国庫補助は廃止することとしております。
なお、退職金給付については、現行の水準を維持することとしております。
この法律案の主たる改正内容は以上のとおりでありますが、この法律の附則におきましては、施行期日を、余裕金の運用方法の範囲の拡大について公布日とするほか、昭和六十一年十二月一日とすることとしております。また、この法律の施行の際被共済者である労働者に関して、最低掛金月額までの掛金月額の引き上げについて一定の猶予期間を置くこと等の経過措置を定めるとともに、その他これらの改正が円滑に実施されるよう所要の経過措置を規定しております。
以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第104回国会衆議院社会労働委員会議録第6号33頁(昭和61年3月25日)〔林ゆう労働大臣発言・発言番号250〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、中小企業労働者と大企業労働者との労働条件格差を縮小する必要があることにかんがみ、中小企業労働者の労働条件を改善するための施策を総合的に推進するとともに、中小企業退職金共済法の改正施行に当たっては、退職金制度が高齢化社会において労働者の老後保障の機能をもつものとして今後一層重要な役割を果たすことに十分留意しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
一中小企業退職金共済制度の適用拡大を図るため、地方公共団体への協力要請、相談体制の整備等加入促進対策を積極的に推進すること。
二中小企業退職金共済事業団等の資産運用については、その安全の確保に留意しつつ、効率化を図るとともに、共済融資制度の一層の改善に努めること。
三中小企業退職金共済制度の運営に当たっては、関係労使の意見を十分反映しうるよう一層の配慮を行うこと。特に受益者である労働者の意向が反映できるよう所要の措置を検討すること。
四建設業及び林業等特定業種退職金共済制度についても加入促進策を強化し、掛金日額の改善を図るととに、共済手帳の交付及び共済証紙の貼付の履行確保に必要な措置を講ずること。また、建設業退職金共済制度については、給付の改善を行うよう検討すること。
五林業退職金共済制度については、発足後の期間が短いため、退職金額が低いこと等にかんがみ、本制度の一層の充実を含め、林業労働者の福祉向上に努めること。
六今後とも、中小企業退職金共済制度の安定的運営を確保するため、所要の財源措置を講ずること。
七増大するパートタイマー等の労働条件及び生活実態を踏まえ、中小企業退職金共済制度における包括加入の原則に留意し、これらの労働者に対する本制度の適用等について早急に検討を進めること。
八新制度施行後の本制度の普及状況を的確に把握し、五年目ごとの見直し検討にこだわることなく、適宜本制度の見直しを行うこと。
法律案に対する附帯決議(案)政府は、中小企業と大企業との間の労働条件格差を縮小する必要があることにかんがみ、中小企業労働者の労働条件改善のための施策を総合的に推進するとともに、本法律の施行に当たっては、高齢化社会における老後保障としての退職金制度の重要な役割に十分留意しつつ、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
一中小企業退職金共済制度の適用拡大を図るため、地方公共団体への協力要請、相談体制の整備等加入促進対策を積極的に推進すること。
二中小企業退職金共済事業団等の余裕金については、安全かつ効率的な運用を行うとともに、共済融資制度の一層の改善に努めること。
三中小企業退職金共済制度の運営に当たっては、関係労使の意見を十分反映し得るよう一層の配慮を行うこと。特に、受益者である労働者の意向が反映できるよう所要の措置を検討すること。
四特定業種退職金共済制度についても加入促進策を強化し、掛金日額の改善を図るとともに、共済手帳の交付及び共済証紙の貼付の履行確保に必要な措置を講ずること。また、建設業退職金共済制度について、給付改善に関し検討するとともに、林業退職金共済制度は、発足後の期間が短いため退職金額が低いこと等にかんがみ、制度の一層の充実を含め、林業労働者の福祉向上に努めること。
五今後とも、中小企業退職金共済制度の安定的運営を確保するため、所要の財源措置を講ずること。
六増大するパートタイマー等の労働条件、生活実態を踏まえ、中小企業退職金共済制度における包括加入の原則に留意し、これらの労働者に対する本制度の適用等について早急に検討を進めること。
七新制度施行後の本制度の普及状況を的確に把握し、五年目ごとの検討にこだわることなく、適宜本制度の見直しを行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110401023)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。