産業構造転換円滑化臨時措置法案
参議院 商工委員会
昭和62年法律第24号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S62.3.25趣旨説明・質疑・修正案趣旨説明・採決(修正)・討論・附帯決議・修正案商工委員会 2197
- S62.3.25委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 989
参議院商工委員会
- S62.3.26趣旨説明・議案(衆議院修正部分)商工委員会 2288
- S62.3.27質疑・討論・附帯決議・採決商工委員会 3162
- S62.3.27附帯決議・委員長報告・採決本会議 877
提案理由
田村元 通商産業大臣 昭和62年3月25日次に、産業構造転換円滑化臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
我が国貿易収支の黒字幅は、昨年一年間で九百二十七億ドルにも上っております。このような大幅な対外不均衡の是正を図り、我が国経済の中長期的発展基盤を確立していくためには、我が国産業構造を国際的に調和のとれたものに転換していくことが極めて重要であり、我が国経済構造調整の主要な柱の一つとなっております。産業構造転換の動きは、円高の急速な進展、定着を背景として最近加速されつつありますが、これに伴い一部の業種に属する事業者について、事業規模の縮小による雇用問題の発生等種々の問題が生じております。また、事業規模の縮小等を迫られている事業所に依存する度合いの高い地域を中心に地域経済の状況が悪化しております。
本法律案は、このような我が国経済の状況にかんがみ、産業構造転換の進展に伴って生じつつある産業活力の低下、雇用問題の発生、地域経済の悪化等に対し適切な対策を講ずることにより産業構造転換を円滑化することを目的として立案されたものであります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、内外の経済的事情の著しい変化により、生産能力が著しく過剰となっている設備を事業の用に供する事業者について、その新たな経済的環境への適応を円滑化するための対策であります。この法律案ではこのような事業者を「特定事業者」とし、特定事業者は、新たな経済的環境への適応のため、特定設備の処理及び設備処理とあわせて行う事業転換に関する事業適応計画を作成し、主務大臣の承認を受けることができることとしております。事業適応計画の承認を受けた特定事業者に対しては、設備処理のために必要な資金の借り入れに係る債務保証、設備処理に伴う除却損に係る欠損金の繰越控除期間の延長、事業転換に対する金融上の支援、事業転換に必要な生産設備の特別償却等の助成措置を講ずることとしております。
また、同一の業種に属する二以上の特定事業者は、設備の処理その他の新たな経済的環境への適応措置を円滑に実施するため、生産の受委託、合併等に関する事業提携計画を作成し、主務大臣の承認を受けることができることとしております。事業提携計画の承認を受けた特定事業者に対しては、生産の受委託等に必要な設備に対する特別償却、合併等に伴い必要となる登録免許税の軽減等の助成措置を講ずることとしております。
第二は、産業構造転換の進展により事業規模の縮小等を迫られている事業所に相当程度依存しているため、経済及び雇用の状況が著しく悪化している地域に対する対策であります。この法律案では、このような地域を「特定地域」として政令で指定し、特定地域の経済の安定及び発展を図るため、種々の対策を講ずることとしております。具体的には、特定地域の経済の活性化と雇用の安定等を図るため、地方公共団体等が出資して行う事業に必要な資金に係る出資及び低利融資を行うための利子補給、特定地域における工場等の新増設等に対する低利融資を行うための利子補給、特定地域において新しい産業を興すために必要な資金の借り入れに係る債務保証等の措置を講ずることとしております。
最後に、以上の対策を講ずるために、現在の産業基盤信用基金の業務を拡充し、特定事業者が行う設備の処理のために必要な資金の借り入れに係る債務の保証、特定地域の安定等に資する事業に必要な資金の出資その他の産業構造転換の円滑化に必要な業務を追加するとともに、あわせて名称を産業基盤整備基金に変更する等所要の規定の整備を図ることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第108回国会衆議院商工委員会議録第2号2頁(昭和62年3月25日)〔田村元通商産業大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、現下の大幅な円高等により、雇用情勢及び地域経済情勢等が著しく悪化している実情にかんがみ、内需拡大等を中心とする経済対策の一層の推進、為替相場の適正化のための環境整備等を図るとともに、今後の産業構造転換の推移に対応して施策の拡充・強化に努めるほか、次の諸点について適切な措置を講すべきである。
一産業構造の転換の円滑化を図るため、特定事業者の事業適応計画又は事業提携計画の作成に資するものとして、個別の産業の実態を踏まえ、産業構造の中長期的ビジョンを早急に策定すること。
二事業適応計画等の実施に関する雇用の安定を図るため、特定事業者又は提携事業者の計画承認の申請及び承認計画の推進に当たっては、関係労働組合の意見を十分聴取するよう努め、関連中小企業等の労働者をも含めた雇用の安定に最大限の考慮を払うよう指導すること。
三産業構造転換に伴う失業の予防及び離職者対策に万全を期するとともに、特定地域における経済の活性化及び雇用の創出に努めること。
四事業提携計画の作成及び承認に当たっては、独占禁止法及び本法の立法趣旨を踏まえ、特定事業者をとりまく経済環境、その競争実態、産業構造転換の必要性等に照らし、厳正かつ適確に行うこと。
五特定地域の活性化を図るため、特定出資法人事業、工場等の新増設等及び新分野開拓事業に対する資金の確保等の支援措置については、事態の進展に即し、万全を期すること。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講すべきである。
一産業構造転換の円滑化を図るため、将来の指針となる産業構造の中長期的ビジョンを早急に策定すること。
二特定設備及び特定地域の指定またはその解除に際しては、関係者等の意見を十分に考慮しつつ、その実情を踏まえ、適時適切に行うこと。
三雇用の安定を図るため、承認事業適応計画あるいは承認事業提携計画の推進に当たり、関係労働組合の意見を十分に聴取するとともに、関連中小企業等の労働者の雇用の安定にも最大限の考慮を払うよう指導すること。
四産業構造転換に伴う失業の予防及び離職者対策に万全を期するとともに、雇用機会の創出に努めること。
五承認事業適応計画及び承認事業提携計画の実施により関連中小企業者が直面する新たな経済的環境に適応するため、所要の措置を講ずること。
六特定地域の活性化を図るため、特定出資法人事業、工場等の新増設及び新分野開拓事業等に対する財政上の支援措置について万全を期すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110801043)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。