後天性免疫不全症候群の予防に関する法律案
参議院 社会労働委員会
平成元年法律第2号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院社会労働委員会
- S63.5.12趣旨説明社会労働委員会 134
- S63.5.19質疑社会労働委員会 15145
- S63.8.9参考人招致社会労働委員会 2145
- S63.8.25質疑社会労働委員会 3189
- S63.9.8参考人招致社会労働委員会 4116
- S63.10.27質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・修正案社会労働委員会 6302
- S63.11.8委員長報告・採決(修正)本会議 1419
参議院社会労働委員会
- S63.11.8趣旨説明社会労働委員会 212
- S63.11.22質疑社会労働委員会 3210
- S63.12.6参考人招致社会労働委員会 481
- S63.12.20質疑社会労働委員会 5220
- S63.12.21質疑・討論・採決・附帯決議社会労働委員会 672
- S63.12.23附帯決議・採決・委員長報告本会議 15116
提案理由
藤本孝雄 厚生大臣 昭和63年5月12日ただいま議題となりました後天性免疫不全症候群の予防に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現在、後天性免疫不全症候群、すなわちエイズの蔓延は、欧米を初めとして世界的に深刻な状況にあり、特にアメリカ合衆国では、一九八一年に最初の患者が確認されて以来、既に五万人以上の患者が発生していると言われております。我が国においては、現在までに確認されているエイズ患者は、欧米諸国等に比べるとなお少数にとどまっておりますが、最近では女性患者の発生等エイズの一般への感染が懸念される状況も見られ、現段階において緊急に総合的な対策を講じ、エイズの蔓延を防止することが喫緊の課題となっております。
このため、政府においては、昨年二月にエイズ問題総合対策大綱を策定し、国民に対する正しい知識の普及を初めとして、感染源の把握、二次感染防止対策の強化、国際協力及び研究の推進等の総合的な対策を講じているところであります。
この法律案は、人権の保護に配慮しつつ、エイズの伝染の防止その他その予防に関し、法律上の措置が必要な事項について定めることにより、エイズの蔓延の防止を図ろうとするものであります。
以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
まず、予防に必要な施策、知識の普及、研究の推進等について国等の責務を規定し、総合的な対策に取り組む関係者の役割を明らかにするとともに、患者等の人権の保護について留意しなければならないことを規定しております。
次に、感染源の把握及び二次感染の防止に関して必要な事項を規定することであります。エイズは一たん感染し、発症すると重篤な経過をたどる疾病でありますが、その感染力は比較的弱く、感染経路が限られていることにかんがみ、この法律案では、医師と感染者の信頼関係の上に立った保健指導の徹底により、二次感染の防止を図ることを対策の基本としております。これに対し、都道府県知事は、医師との相互の連携のもとに、感染者の発生に関する疫学情報を常に的確に把握することを原則とし、感染者が医師の指導に従わない等公衆衛生上特に問題が生ずる場合に限り、健康診断の勧告及び命令、二次感染防止のための指示等を行うことができることとしております。
さらに、患者等のプライバシーを保護するという観点から、医師の都道府県知事に対する報告には原則として感染者の氏名等を含めない等の配慮をするとともに、エイズの治療等を行った医師、予防事務に従事した公務員その他の関係者に厳しい守秘義務を課すこととしております。
このほか、出入国管理及び難民認定法の一部を改正し、エイズに関する出入国管理上の措置について規定することとしております。
なお、この法律の施行期日は、公布の日から一カ月を経過した日としております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第112回国会衆議院社会労働委員会議録第13号1頁(昭和63年5月12日)〔藤本孝雄厚生大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
案文を朗読いたします。後天性免疫不全症候群の予防に関する法律案に対する附滞決議(案)政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
一エイズウイルス感染者のために、カウンセリング体制の整備、発症予防治療事業の大幅な拡充等健康管理のための施策の充実強化に特段の努力を払うこと。特に、エイズの特性にかんがみ、治療薬、ワクチン等の研究開発を充実強化すること。
二法に基づく医師の通報により把握された感染者等について、都道府県等関係行政機関は、秘密の保持に格別の注意を払うこと。
三エイズウイルスに関する抗体検査、カウンセリングの実施等に当たっては、匿名方式を採用する等、そのプライバシーの保護の徹底を図ること。
四治療法の進歩、新たなタイプの感染症の出現等に対応して、伝染病予防、性病予防その他の感染症に関する現行制度につき、今後、総合的な検討を進めること。
五血液製剤の国内自給を促進するため、各省庁の緊密な連携のもとに、成分献血を含む新たな献血推進への幅広い国民各層の協力を求める体制を整備すること。特に、血友病患者が使用する凝固因子製剤を献血血液により完全に供給できる体制を早急に確立すること。なお、血液製剤によるエイズ感染者に対する医療手当については、今後ともその内容改善に努めること。
六法施行後、三年を目途に、患者・感染者の発生状況、治療法の研究開発の状況等を勘案し、必要に応じ、法の規定に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110801090)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。