所得税法等の一部を改正する法律案
参議院 大蔵委員会
昭和62年法律第96号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
- S62.8.18趣旨説明・質疑本会議 952
- S62.8.21趣旨説明・質疑大蔵委員会 5186
- S62.8.25質疑大蔵委員会 6119
- S62.8.27参考人招致大蔵委員会 7198
- S62.8.28質疑大蔵委員会 8243
- S62.9.1質疑大蔵委員会 9348
- S62.9.2修正案趣旨説明・質疑・討論・附帯決議・採決(修正)・修正案大蔵委員会 10272
- S62.9.3委員長報告・討論・採決(修正)・附帯決議本会議 1540
参議院大蔵委員会
- S62.9.4趣旨説明・質疑本会議 1061
- S62.9.10趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑大蔵委員会 4322
- S62.9.11参考人招致大蔵委員会 575
- S62.9.16質疑大蔵委員会 6217
- S62.9.17質疑大蔵委員会 7258
- S62.9.18質疑大蔵委員会 820
- S62.9.19質疑・修正案趣旨説明・討論・採決・附帯決議・修正案大蔵委員会 9118
- S62.9.19附帯決議・委員長報告・討論・採決本会議 1335
提案理由
宮澤喜一 大蔵大臣 昭和62年8月18日ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、所得税法、たばこ消費税法、取引所税法、有価証券取引税法、印紙税法、国税通則法、租税特別措置法等の一部を改正することといたしております。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、所得税につきましては、中堅所得者層を中心に、負担の軽減及び合理化を行うこととしております。
すなわち、税率構造について、最低税率の適用対象所得の範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、新たに十六万五千円の配偶者特別控除を設けることとしております。
また、給与所得者につきまして、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合には、申告により、その超える部分を控除することができることとして、申告納税の道を開くこととしております。
さらに、老年者控除を現行の二倍の水準に引き上げるとともに、公的年金等に対する課税について、老年者年金特別控除及び給与所得控除の適用にかえ、新たに公的年金等控除を設けることとしております。
第二に、利子課税等につきましては、実質的な負担の公平を確保する等の見地から、少額貯蓄非課税制度、郵便貯金非課税制度及び少額公債の利子非課税制度を、老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。
また、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うこととしております。
第三に、資産性所得に対する課税を一層適正化する見地から、土地税制及び有価証券の譲渡益課税についてその見直しを行うこととし、土地税制につきまして、所有期間二年以下の土地等の譲渡をした場合の譲渡益に対する重課の特例等を時限的に設けるとともに、所有期間が五年を超える一定の土地等を譲渡した場合の譲渡所得を長期譲渡所得とする等の措置を講ずることとしております。
また、有価証券の譲渡益課税につきましては、先物取引による所得をその課税対象に加えることとしております。
第四に、間接税等につきましては、まず、たばこ消費税につきまして、現行の税負担水準を維持する等の見地から、税率等の特例措置の適用期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長するとともに、日本たばこ産業株式会社の納期限の特例措置を廃止することとしております。
次に、取引所税につきまして、各種有価証券の先物取引の間の課税の均衡を図る見地から、その税率について所要の見直しを行うこととし、また、有価証券取引税につきましては、各種有価証券間の課税の均衡を図る見地から、転換社債券等の税率を引き上げるとともに、金融の国際化等に配意して、一般の譲渡の場合の株券等の税率を引き下げる等の措置を講ずることとしております。
その他、印紙税につきまして、円建て銀行引受手形に対する負担軽減措置を講ずるほか、登録免許税につきまして、土地に関する所有権の移転登記等に対する負担を一・五倍とすることとしております。
第五に、申告水準の維持向上を図るため、各種加算税の割合を引き上げることとするほか、所要の措置を講ずることとしております。
また、施行期日につきましては、原則として昭和六十二年十月一日から施行することとしておりますが、利子課税の改正、給与所得者の特定支出の控除の特例の創設、公的年金等の課税に関する改正等については昭和六十三年一月一日から施行する等、改正内容にあわせて施行期日を定めております。
以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
なお、この法律案が国会に提出されました後、その修正について与野党間において御協議が行われました経緯は承知いたしております。御審議に当たりましては我が国の財政の現状や税制の将来等も十分御勘案賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
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第109回国会衆議院会議録第9号1頁(昭和62年8月18日)〔宮澤喜一大蔵大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、次の事項について所要の措置を講ずべきである。
一衆議院議長斡旋にもあるように、今後の高齢化社会に対応する等、将来の我が国の財政需要を展望するとき、税制改革問題は現在における最重要課題であり、今後できるだけ早期にこれを実現できるよう検討を行うこと。
一有価証券譲渡益課税については、本人確認や課税資料の収集のための実効ある制度が不可欠の前提であることに留意しつつ、適正、公平な課税の実現に向けて更に一層の検討を行うこと。
一今回の土地譲渡所得課税の改正を踏まえ、地価問題等現下の土地問題に適切に対応するため、土地政策の総合的な検討の一環として、土地税制についても負担の公平に留意しつつ引き続き検討を行うこと。
一法人税については、今後における税制改革の一環として、税率、受取配当益金不算入制度、賞与引当金等の見直しについて、引き続き努力すること。
一外国税額控除制度については、国際約二重課税の排除という制度本来の趣旨に沿って、早急に所要の見直しを行うこと。
一特別償却、準備金、税額控除等の租税特別措置については、一層の整理合理化を推進すること。
一変動する納税環境、財政再建・財源確保の緊急性及び業務の複雑化・国際化にかんがみ、高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員については、年齢構成の特殊性等従来の経緯及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、処遇の改善はもとより、職務をめぐる環境の充実、中長期的見通しに基づく定員の一層の増加等につき格段の努力をすること。
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一税制改革問題は、現在における最重要課題であることにかんがみ、最近における国際化の進展等社会・経済の著しい変化、高齢化社会の到来等将来の我が国経済・財政の展望を踏まえつつ、国民の理解と信頼に裏付けられた望ましい税制の早期実現のため、鋭意検討を行うこと。
一利子所得に対する所得税の課税のあり方については、見直し規定の趣旨を踏まえ、今後、制度の施行状況、国民の納税意識の動向の把握に努め、見直しが必要とされる場合には、総合課税への移行問題を含め、遅滞なく対応できるよう努めること。
一一般の勤労者財産形成貯蓄契約から非課税の対象とされる勤労者財産形成住宅貯蓄契約等への変更については、これが円滑に行われるよう、取扱金融機関及び事業主等に対して適切な指導を行うこと。
一医療費の支出の実態や医療費控除制度の趣旨を踏まえ、医療費控除のあり方について、適宜適切に検討を行うこと。
一有価証券譲渡益課税について、本人確認や課税資料の収集のための実効ある制度が不可欠の前提であることに留意しつつ、適正、公平な課税の実現を期し、一層の検討を行うこと。
一都市中心部に端を発した地価高騰等、現下の土地問題に適切に対応するため、土地政策の総合的な検討の一環として、土地税制についても適正な負担に留意しつつ引き続き検討を行うこと。
一法人税については、今後の税制改革の一環として、税率及び受取配当益金不算入・賞与引当金制度等の見直しについて引き続き努力するとともに、外国税額控除制度について早急に所要の見直しを行うほか、特別償却・準備金・税額控除等の租税特別措置について一層の整理合理化を推進すること。
一複雑、困難であり、かつ、高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性、業務の一層の複雑化・国際化及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、処通の改善、職場環境の充実及び要員の一層の確保等につき特段の努力を行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=110901004)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。