暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案
参議院 地方行政委員会
平成3年法律第77号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会
- H3.4.18趣旨説明地方行政委員会 10214
- H3.4.19質疑・採決・附帯決議地方行政委員会 11187
- H3.4.23委員長報告・採決・附帯決議本会議 2559
参議院地方行政委員会
- H3.4.25趣旨説明地方行政委員会 9349
- H3.4.26質疑・附帯決議・採決地方行政委員会 10219
- H3.5.8附帯決議・採決・委員長報告本会議 2348
提案理由
吹田愰 自治大臣・国家公安委員長 平成3年4月18日次に、ただいま議題となりました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は、最近における暴力団員の不当な行為によって市民生活の安全と平穏が脅かされている実情にかんがみ、国民の自由と権利の侵害を防止するため、構成員等が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団を指定する制度を設け、この指定された暴力団の暴力団員の行う暴力的要求行為等を禁止し、その違反に関する所要の措置を定めるとともに、暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するため必要な措置を講ずるほか、暴力団員による不当な行為の防止及びこれによる被害の救済に資するため暴力追放運動推進センターを指定する制度を設けること等をその内容としております。
以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
まず、第一に、指定暴力団等の指定等についてであります。
これは、都道府県公安委員会が一定の要件に該当する暴力団を指定暴力団または指定暴力団の連合体として指定することにより、規制の対象となる暴力団員の範囲を一義的に明確にするものであります。
この指定に当たっては、都道府県公安委員会は国家公安委員会の確認を求めなければならず、この確認は審査専門委員の意見に基づくものでなければならないこととするとともに、聴聞及び不服申し立ての制度を整備すること等により、指定処分の適正を最大限確保することとしております。
第二に、指定暴力団員の暴力的要求行為の規制等についてであります。
これは、暴力団員が暴力団の威力を示して一般市民や事業者に対して不当に金品等を要求する行為を行っている実態にかんがみ、暴力団員が行う典型的な不当な要求行為を規制するものであります。
その一は、指定暴力団員が、その所属する指定暴力団等の威力を示してみだりに金品等の供与を要求する等の暴力的要求行為を行うことを禁止し、その違反に対しては、公安委員会が、当該違反行為の中止を命じ、または再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。
その二は、指定暴力団員に対して暴力的要求行為を依頼する等の行為を禁止し、その違反に対しては、公安委員会が、再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。
第三に、暴力団員の不当な要求による被害の回復等のための援助についてであります。
これは、暴力団員による不当な要求による被害の回復または防止を図るために、公安委員会が一定の援助を行うものであります。
その一は、指定暴力団員による暴力的要求行為の相手方からその被害を回復しようとするに当たって援助の申し出があったときに、公安委員会が、その申し出人に対し、当該指定暴力団員への連絡その他必要な援助を行うこととするものであります。
その二は、事業者に対し、暴力団員による不当な要求による被害を防止するための措置が有効に行われるようにするため、公安委員会が、資料の提供その他必要な援助を行うこととするものであります。
第四に、対立抗争時の指定暴力団等の事務所の使用制限その他の規制についてであります。
これは、暴力団の事務所の使用及びその事務所に係る行為並びに暴力団への加入の勧誘等の行為について一定の規制を行うことにより、市民生活の安全と平穏の確保を図ろうとするものであります。
その一は、指定暴力団等の間に対立抗争が発生した場合に、その事務所が多数の指定暴力団員の集合等の用に供されているときは、公安委員会が、その事務所をこれらの用に供すること等を禁止することを命ずることができることとするものであります。
その二は、指定暴力団員が、少年に対して指定暴力団等への加入を勧誘すること、人を威迫して加入を強要すること等を禁止し、公安委員会が、その違反行為の中止を命じ、または脱退妨害の防止等のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。
その三は、指定暴力団員が、その事務所等において付近住民等に不安を覚えさせるような行為をすること等を禁止し、公安委員会が、その違反行為の中止等を命ずることができることとするものであります。
第五に、暴力追放運動推進センターの指定についてであります。
これは、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間公益活動の促進を図るため、都道府県ごとに暴力追放運動推進センターを指定し、これらのセンターに民間の活力を発揮して暴力団追放運動、暴力団員による不当な行為に関する相談に応ずること等の事業を行わせることとするものであります。
その他、仮の命令、不服申し立て、審査専門委員、罰則等について所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
第120回国会衆議院地方行政委員会議録第10号29頁(平成3年4月18日)〔吹田愰自治大臣発言・発言番号212〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。
一暴力団が密輸入によって大量の銃器を隠匿保有していると見込まれる現状にかんがみ、けん銃等の銃器の密輸入ルートの解明及び撲滅に全力を挙げること。
二暴力団による銃器発砲事件が多発し、市民社会に重大な危険と脅威を与えていることにかんがみ、銃器の不法所持事犯の検挙を徹底するとともに、暴力団の銃器使用犯罪の絶滅のため万全の措置を講ずること。
三新設されるけん銃等の密輸入予備罪の取締りに当たっては、対象となる予備行為の範囲が不当に拡大しないよう、適正な運用に配意すること。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。
一暴力団の不法、不当な行為による国民の権利、自由への侵害はいまや放置することができない実情にあることにかんがみ、関係機関の協力を緊密にし、暴力団の壊滅のための総合的かつ有効な対策を確立することに努めるとともに、本法の的確な運用を含めて暴力団の犯罪及び不当行為の摘発・取締りを強化し、その解体と団員の更生を推進すること。
二本法の運用に当たっては、国民の人権を侵害し、事業者の営業の自由を損なわないよう特段の配慮を払うとともに、いやしくも職権が濫用されることのないよう十分留意すること。
三本法に基づく質問権、立入権等については慎重に運用すること。
四法の精神に基づき、公開による聴聞の原則を遵守し、例外規定の行使に当たっては慎重な検討を行うこと。
五本法が、事業者に対して責務と負担を求めるものでないこと及び事業者に対する公安委員会の援助等の措置は事業者の申出に基づき、任意に行われるものであることに留意すること。
六都道府県暴力追放運動推進センター等の設置と運営については、国民や事業者の誤解を招くことのないよう十分な配慮を払うこと。
七警察官の綱紀粛正に努めるとともに、警察官、警察事務職員等の待遇改善を推進すること。
八本法に基づく政令及び国家公安委員会規則並びにその運用については、本委員会に設置される小委員会において意見を聴くなどの措置を講ずるほか、本法の運用に当たっては、広く国民の意見を反映させるため必要な措置を講ずること。
九警察庁は、法案の提出に当たっては、立法府の審議権を損なうことのないよう、その時期等について改善を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=112001090)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。