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閣法第136回国会 第73号成立

大気汚染防止法の一部を改正する法律案

平成8年法律第32号 大気汚染防止法の一部を改正する法律
提出平成8年3月8日 内閣
付託衆議院 環境委員会
参議院 環境特別委員会
成立
平成8年法律第32号
審議会議 7回・発言 275(政府答弁等 114)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院環境委員会

  1. H8.4.9趣旨説明環境委員会 44
  2. H8.4.9趣旨説明・質疑本会議 1521
  3. H8.4.17質疑・採決・附帯決議環境委員会 5104
  4. H8.4.19採決・委員長報告・附帯決議本会議 1823

参議院環境特別委員会

  1. H8.4.24趣旨説明環境特別委員会 75
  2. H8.4.26質疑・採決・附帯決議環境特別委員会 8138
  3. H8.4.26採決・委員長報告・附帯決議本会議 1333

提案理由

岩垂寿喜男 環境庁長官 平成8年4月9日

ただいま議題となりました大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 汚染のない清浄な大気環境の保全は、国民の健康で文化的な生活の確保を図る上で重要な課題の一つであり、環境行政に課せられた重大な責務の一つであると認識しております。このため、政府としては、公害対策基本法及び環境基本法に基づき大気環境基準を定めるとともに、大気環境基準の達成に向けて、工場、事業場からのばい煙等を対象とした対策、自動車の排出ガスを対象とした対策等各種対策の総合的な推進に鋭意取り組んできたところであります。

 しかしながら、今日、従来の取り組みに加えて新たな課題に的確に対処していくことが求められてきております。

 第一は、多様な有害大気汚染物質による新たな大気汚染への対応であります。

 近年の我が国の大気環境の調査結果によりますと、大気中から、低濃度ではありますが発がん性等の有害性が問題とされる物質が種々検出されており、物質によっては、その長期暴露による国民の健康への影響が懸念される状況に至っております。このため、既に米国等幾つかの先進国において有害大気汚染物質に係る排出抑制対策が進められていること、我が国において水質汚濁や土壌汚染の分野で発がん性物質等の有害物質対策が進められていること等も踏まえ、有害大気汚染物質の排出抑制対策を積極的に推進していくことが必要となっております。

 第二は、二輪車による大気汚染への対応であります。

 二輪車については、従来、自動車排出ガス規制の対象とはなっておりませんでしたが、二輪車の走行台数が極めて多く、また、自動車排出ガス規制の進展により、二輪車からの排出ガスの寄与割合が相対的に増大したことから、特にベンゼン等の有害大気汚染物質を含む炭化水素の排出量は、今や自動車全体の二割を占めるに至っております。このため、二輪車に係る排出ガスの抑制対策を積極的に進めていくことが必要となっております。

 第三は、建築物の解体現場からのアスベストの飛散防止対策の徹底であります。

 アスベスト対策としては、既にアスベスト製品製造工場等について法的規制措置を講じておりますが、建築物の解体等に伴うアスベストの飛散防止については、これまで主として行政指導により対応してまいりました。しかしながら、阪神・淡路大震災において被害を受けた建築物の解体等に伴うアスベストの飛散が懸念され、対策の徹底が求められたことや、アスベスト使用建築物が建設され始めて既に三十年程度が経過し、今後その建てかえのための解体等の増加が見込まれることを踏まえ、対策の一層の徹底を図ることが必要となっております。

 第四は、工場、事業場における事故時の措置の充実であります。

 施設の故障、破損等の事故による大気汚染に際しては、被害の拡大を防ぐため、行政と事業者の迅速な連携が必要であるということが、阪神・淡路大震災の際に改めて得られた貴重な教訓の一つであり、この教訓を真摯に受けとめ、事故時の措置の一層の充実を図ることが必要であります。

 本法律案は、これらの課題に的確に対処し、大気環境行政を一層推進するため、各種の規定の整備を図ろうとするものであります。

 次に、本法律案の主要事項について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、有害大気汚染物質対策の推進に関する規定の整備であります。

 有害大気汚染物質対策の推進に関する章を新たに一章設け、科学的知見の充実のもと、将来にわ

たって人の健康に係る被害の未然防止を図るという基本的な考え方を明確にし、有害大気汚染物質の排出抑制のための積極的な取り組みを事業者に求めるとともに、国及び地方公共団体においては、有害大気汚染物質による大気汚染状況の把握、健康被害のおそれの程度の評価、公表、事業者に対する情報の提供及び住民に対する知識の普及に努めるべきことを規定しております。

 また、その中でも、大気中の濃度の低減を急ぐべき物質については、当面、排出抑制基準を示し、より確実な排出抑制の取り組みを事業者に求めることとし、その旨附則において規定しております。

 以上の仕組みについては、今後の科学的知見の充実の程度、事業者による取り組みの成果等を総合的に勘案し、健康被害の未然防止の観点からより一層の対策の充実を図るため、本法律案の施行後三年を目途として検討を加え、その結果に基づいて、制度の見直しを含め所要の措置を講ずることを規定しております。

 第二に、自動車排出ガス規制の対象の拡大であります。

 自動車排出ガスの定義規定を改め、自動車排出ガスに係る許容限度設定の対象に原動機付自転車、すなわち百二十五cc以下の二輪車を追加することとしております。

 第三に、建築物の解体等の作業に伴うアスベストの排出または飛散の防止に係る各種規定の整備であります。

 建築物の解体等について作業基準を設定し、事業者に作業基準の遵守義務を課すとともに、都道府県知事は、作業基準を遵守していないと認められる事業者に対し、作業基準に従うべきことを命ずることができること等を規定しております。

 第四に、事故時の措置に関する規定の整備であります。

 事故により大気汚染が生じた場合における応急措置義務等の対象となる施設にばい煙発生施設を加えるとともに、事故発生時における都道府県知事への通報を事業者に求めることとしております。

 以上のほか、事業者の届け出義務の緩和、罰則規定その他の規定の整備等を行うこととしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

第136回国会衆議院環境委員会議録第4号1頁(平成8年4月9日)〔岩垂寿喜男環境庁長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

衆議院 環境委員会平成8年4月17日

案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

一本法の施行期日については、本法律案成立後、所要の政府令等を整備し、その周知徹底に努めた上で、可及的速やかに施行するよう努めること。

二大都市地域における窒素酸化物等に係る大気汚染の改善が大幅に遅れ、依然として深刻な状況にあることにかんがみ、大気汚染による健康影響を防止するため、既存の法律の実効性を高めるとともに、未規制車種である特殊自動車の排出ガス抑制対策に努める等、実効性のある方策を講ずること。

三ダイオキシン等の有害大気汚染物質が人の健康に影響を及ぼすおそれのあることにかんがみ、科学的知見の充実に努めるとともに、有害大気汚染物質に係る環境基準の設定及びモニタリング調査の充実を含め、健康への影響評価を早急に進めて、実効ある対策を早期に図ること。

四低公害車が自動車に起因する大気汚染等の根本的解決に寄与することにかんがみ、低公害車の大量普及に向けて一層有効な手段を講ずるよう努めること。

五地球規模での大気環境保全の重要性にかんがみ、地球温暖化防止行動計画の目標達成に向け、太陽光の活用等を含め我が国の温室効果ガスの排出抑制対策を一層拡充・強化するとともに、国際連合気候変動枠組条約第三回締約国会議の我が国への招致に努力すること。

参議院 環境特別委員会平成8年4月26日

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。一、大都市地域の窒素酸化物等による大気汚染については、改善が大幅に遅れ、依然として深刻な状況にあることにかんがみ、早急にその環境基準の達成を図るため、各般にわたる大気汚染防止対策を一層強化すること。特に、近年の大気汚染については、自動車排出ガスの寄与度が高まっていることにかんがみ、低公害車の大量普及に向けて一層有効な手段を講ずるよう努めること。また、未規制車種である特殊自動車の排出ガスの排出抑制対策の検討を進めること。二、ダイオキシン等多種多様な有害物質が大気中から検出されていることにかんがみ、有害大気汚染物質対策の推進に当たっては、国民の健康被害の未然防止を旨として、科学的知見の充実を急ぎつつ、早期に実効性のある対策を講じ、いやしくも科学的知見が十分でないことをもって重要な対策が遅れることのないようにすること。三、有害大気汚染物質対策を効果的に推進するため、十分なモニタリング体制を早急に整備するとともに、健康リスクが高いと評価される物質など必要な物質については環境基準の設定等を早急に進めること。四、有害大気汚染物質の排出状況等に関する情報を的確に収集するとともに、国民の健康を保護する観点から必要な情報については、これを公表すること。五、本法附則第九項に基づく指定物質を早急に定めるとともに、それ以外の有害大気汚染物質についても、事業者による排出抑制の取組が確実に行われるよう適切な方策を講ずること。六、有害大気汚染物質を含めた化学物質について、その製造から廃棄に至るまでのすべての段階における環境リスクの低減を図るため、国際的な連携を積極的にとりつつ、総合的な安全管理制度についての検討を行うこと。右決議する。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=113601073)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。