文化財保護法の一部を改正する法律案
衆議院 文教委員会
平成8年法律第66号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院文教委員会
- H8.4.11趣旨説明・質疑・採決・附帯決議文教委員会 6118
- H8.4.12採決・委員長報告・附帯決議本会議 1149
衆議院文教委員会
- H8.5.31趣旨説明・質疑・採決・附帯決議文教委員会 8102
- H8.6.4委員長報告・採決・附帯決議本会議 3226
提案理由
奥田幹生 文部大臣 平成8年4月11日おはようございます。
このたび、政府から提出いたしました文化財保護法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
文化財は、我が国の長い歴史の中で生まれ、はぐくまれ、今日の世代に守り伝えられてきた貴重な国民的財産であり、我が国の歴史、文化の理解のために欠くことのできないものであると同時に、将来の文化の向上発展の基礎をなすものでございます。
現行の指定制度は、文化財のうち重要なものを指定することにより所有者に一定の制約を課しつつも、貴重な国民的財産を守るという目的を達成しようとする制度であります。この制度は、我が国の文化行政の一翼を担うものとして、文化財保護の推進に大きな貢献をなし、広く国民の間に定着しているところであります。
しかしながら、近年、近代の多様かつ大量の文化財について、その歴史的重要性の認識が定まりつつあり、また他方では、開発の進展、生活様式の変化等により、これら貴重な国民的財産である文化財が社会的評価を受ける間もなく消滅の危機にさらされているという状況にございます。
国民の貴重な文化財を後世に幅広く継承していくためには、重要なものを厳選し、強い規制と手厚い保護を行う指定制度によるだけでは不十分であり、文化財の保護手法の多様化を図る必要がございます。
このため、文化財保護法を改正し、指定制度を補完するものとして、届け出制と指導、助言、勧告を基本とする緩やかな保護措置を講ずる登録制度を導入するものであります。
また、この法律案におきましては、あわせて指定都市及び中核市への権限委任並びに市町村の役割の明確化を図るとともに、規制緩和を進めることにより重要文化財等の活用の促進を図ることとしております。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、登録制度の導入についてであります。
登録制度は、建造物のうち国及び地方公共団体の指定文化財以外のものを対象とし、文化財保護審議会への諮問と答申を得て文部大臣が文化財登録原簿に登録する制度であります。
登録される建造物は、その文化財としての価値にかんがみ、保存及び活用のための措置が特に必要とされるものであり、官報で告示するとともに、所有者には通知をし、また、登録証を交付することとしております。
所有者には、滅失・き損した場合や現状変更をしようとする場合等の届け出が必要となりますが、文化庁長官は、現状変更の届け出があった場合に、必要な指導、助言または勧告をすることができることとし、所有者の協力を得ながら適切な保存を図ろうとするものであります。
このほか、文化庁長官は、管理または修理についての技術的指導を行うことや、所有者に対して現状等の報告を求めることができることとしております。
第二は、指定都市及び中核市への権限委任及び市町村の役割の明確化についてであります。
文化庁長官が行うこととされている重要文化財の現状変更の許可等について、都道府県の教育委員会に加えて、指定都市及び中核市の教育委員会に委任することができるようにいたします。また、市町村の教育委員会に関し、文化財の保存及び活用について文部大臣または文化庁長官への意見具申や文化財保護審議会の設置についての規定を整備するものであります。
第三は、重要文化財等の活用の促進についてであります。
重要文化財の公開について、文化庁長官の承認を受けた博物館等の施設の設置者が展覧会を主催する場合に、公開の許可を要しないものとするなど、規制緩和を進めることにより、重要文化財等の公開の促進を図ろうとするものであります。
このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。
第136回国会参議院文教委員会会議録第6号1頁(平成8年4月11日)〔奥田幹生文部大臣発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府及び関係者は、次の事項について特段に配慮すべきである。
一新しく導入される登録制度については、国と地方公共団体の連携を密にしその円滑な実施を図るとともに、地方公共団体、特に市町村の負担が過重にならないよう十分に留意すること。また、登録文化財の修理等に伴う経費について、国の補助制度を検討すること。
二登録の対象となる文化財について、建造物以外の分野についても調査、検討を進めること。
三文化財の保存技術者、埋蔵文化財の発掘調査員等の養成確保と資質向上に努めること。
四埋蔵文化財について、包蔵地の地図等必要な資料を整備し、その周知徹底に努めるほか、発掘調査等の円滑かつ適切な実施を図り、埋蔵文化財の保護に万全を期すること。
政府及び関係者は、次の事項について特段に配慮すべきである。
一登録制度について、その円滑な実施が図られるよう、登録建造物の修理に対する補助等、支援措置の充実に努めること。また、建造物以外の文化財についても、保護手法の多様化によりそれらの保護の充実を図るため、調査、検討を進めること。
二文化財の保存活用の充実を図るため、地方公共団体における文化財保護の体制の整備が図られるよう配慮すること。また、国民が文化財に親しめる機会を拡充するため、情報システムの整備、博物館の充実やボランティア活動の奨励・支援に努めること。
三埋蔵文化財について、発掘調査員の養成確保と資質向上に努めること。また、発掘調査等の円滑かつ適切な実施を図り、埋蔵文化財の保護に万全を期すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=113601080)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。