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衆法第139回国会 第12号成立修正あり

臓器の移植に関する法律案

平成9年法律第104号 臓器の移植に関する法律
提出平成8年12月11日 中山太郎、外13名
付託衆議院 厚生委員会
参議院 臓器の移植に関する特別委員会
参議院 臓器の移植に関する特別委員会公聴会
成立平成9年6月17日
平成9年法律第104号
審議会議 19回・発言 2,459(政府答弁等 786)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院厚生委員会

  1. H9.3.18趣旨説明厚生委員会 57
  2. H9.3.18趣旨説明・質疑本会議 1846
  3. H9.3.19質疑厚生委員会 6582
  4. H9.3.25質疑厚生委員会 8200
  5. H9.4.1質疑厚生委員会 10187
  6. H9.4.8参考人招致厚生委員会 13139
  7. H9.4.15質疑厚生委員会 16225
  8. H9.4.18質疑厚生委員会 18263
  9. H9.4.22中間報告本会議 2954
  10. H9.4.24討論・採決本会議 3082
  11. H9.6.17討論・参議院回付案同意・参議院回付案本会議 4727

参議院臓器の移植に関する特別委員会・臓器の移植に関する特別委員会公聴会

  1. H9.5.19趣旨説明臓器の移植に関する特別委員会 28
  2. H9.5.19趣旨説明・質疑本会議 2635
  3. H9.5.26質疑臓器の移植に関する特別委員会 3167
  4. H9.6.2質疑臓器の移植に関する特別委員会 4134
  5. H9.6.11質疑臓器の移植に関する特別委員会 6301
  6. H9.6.13公聴会臓器の移植に関する特別委員会公聴会 1132
  7. H9.6.16派遣委員報告・質疑・修正案趣旨説明・討論・附帯決議・採決(修正)・修正案・地方公聴会臓器の移植に関する特別委員会 7497
  8. H9.6.17委員長報告・討論・採決(修正)・附帯決議本会議 3723

提案理由

五島正規 議員(発議者) 平成9年3月18日

ただいま議題となりました臓器の移植に関する法律案について、提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 欧米諸国では、既に脳死をもって人の死とすることが認められ、脳死体からの臓器移植は日常的な医療として完全に定着しており、年間九千件を超える心臓や肝臓の移植が行われております。その移植成績も、新しい免疫抑制剤の開発などにより年々向上しており、多くの患者がこの医療の恩恵を受けております。

 アジア地域でも、一九八九年から一九九五年までの間に、心臓移植については韓国四十八例、シンガポール十四例、タイ七十七例、台湾九十四例が行われたところであります。

 一方、我が国においては、脳死は人の死か、脳死体からの臓器移植は認められるのかについて議論があり、臓器移植以外では助からない多くの患者は、迫り来る死の影におびえつつ、移植を受けることができる日を一日千秋の思いで待ちわびながら、無念の涙をのんで死を待っておられるのが現状であります。ごく一部の方は移植を受けるためにやむを得ず海外に渡航しておられますが、海外においても多くの患者が移植を待っており、外国人である我が国の患者に対する門戸も徐々に狭まってきていると聞いております。こうしたことから、患者やその家族からは、我が圏においても脳死体からの心臓や肝臓などの臓器の移植の道を開いていくことが強く求められております。

 この問題につきましては、日本医師会生命倫理懇談会が、昭和六十三年一月、死の定義について、従来の心臓死のほかに脳の不可逆的機能喪失をもって人間の個体死と認めてよいとの報告をいたしております。この報告書においては、

  脳の死については、厚生省研究班の判定基準を必要最小限の基準として大学病院等の倫理委員会において基本的事項を定め、これによって、疑義を残さないように慎重かつ確実に判定を行うべきであること、

  脳の死による死の判定は、患者本人またはその家族の意思を尊重し、その同意を得て行うのが現状では適当であること、

  脳の死による死の判定は、それが日本医師会等で一般的に認められるとともに、患者側の同意を得て、適切な方法で、医師によって確実になされるのであれば、それを社会的及び法的に正当なものと認めてよいと考えられること、

  脳死判定による死亡時刻としては、初めの脳死判定時と、その後六時間ないしはそれ以上たってからの脳死確認時とが考えられ、死亡診断書の死亡時刻はそのいずれによってもよいが、死後の相続の問題に備えて、もう一方の時刻も診療録に記録するものとすること、

  臓器移植は、臓器提供者及び受容者本人、またはそれらの家族が十分な説明を受け、自由な意思で承認した場合に、日本移植学会の定める指針に従って行うものとすること、

以上の内容が盛り込まれているところであります。

 その後、平成四年一月に、臨時脳死及び臓器移植調査会が、脳死を人の死とすることについてはおおむね社会的に受容され合意されているといってよいとした上で、一定の要件のもとに脳死体からの臓器移植を認めることを内容とする答申を提出しましたことは、皆様御承知のとおりでございます。

 これを受けて、超党派の生命倫理研究議員連盟や各党・各会派の代表者から成る脳死及び臓器移植に関する各党協議会の場で検討、協議が重ねられ、平成六年四月には、臓器の移植に関する法律案が本院に提出されました。その後、厚生委員会における参考人の意見聴取や、いわゆる地方公聴会の開催が名古屋市、仙台市、福岡市の三カ所で行われたものの、必ずしも十分な審議が行われたとは言えない状況でございました。このため、昨年六月には、審議を促進し一日も早い法制化の実現を図るとともに、移植医療が広く国民に受け入れられ、浸透することを期待し、提出者から修正案が提出されましたが、昨年秋の衆議院解散に伴い、残念ながら、この法律案は廃案となるに至りました。

 しかしながら、人工臓器の開発がいまだ十分でない今日、我が国においても、心臓、肝臓等の移植医療を国民の理解を得つつ適正な形で定着させ、人種国籍を問わず、人道的見地に立って、移植を待つ患者を一人でも多く救済できるようにしていくことは、一刻の猶予も許されない緊急の課題であります。

 我が国においても、角膜及び腎臓については既に移植が行われており、医療としても定着していることは、皆様も御承知のとおりであります。

 重度の腎臓障害により人工透析を受けている患者は、毎年約一万人ずつ増加してきており、現在では十五万人を超えるに至っております。これらの患者の方々は、人生を終えるまで人工透析を毎週受け続けるという大変な不自由な生活を強いられておりますが、腎臓の移植を受けた方々は生活の質が格段に改善され、多くの方が社会復帰を果たされているのであります。

 このように、腎臓障害の患者の方の生活を大きく改善させる腎臓移植でありますが、残念なことに、近年、その件数は減少傾向をたどっております。この背景には脳死・臓器移植問題の影響があるのではないかと指摘する声もあり、腎臓移植を含めた我が国の移植医療全体をさらに推進していくためにも、早期に脳死・臓器移植問題の解決を図っていかなければならないものと考えます。

 このため、脳死体から臓器を摘出できることを明確にするとともに、臓器提供の承諾を初めとする臓器の移植に関する手続や臓器売買の禁止などを盛り込んだ包括的な臓器移植立法の一日も早い成立がぜひとも必要と考えております。

 このような見地に立って、平成六年四月に提出された法律案の内容に、昨年六月に提出された修正案の内容を加え、臓器の移植に関する法律案を再度提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 まず第一に、この法律は、移植医療の適正な実施に資することを目的とすることとしております。

 第二に、臓器の提供に関する本人の意思は尊重されるべきことや、臓器の提供は任意にされたものでなければならないことなどの臓器移植の基本的理念を定めております。

 第三に、医師は、臓器提供についての承諾がある場合には、移植術に使用するため、脳死体を含む死体から臓器を摘出することができることとしております。ここで、脳死体とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された死体をいい、その判定は、一般に認められた医学的知見に基づき厚生省令で定めるところにより行うこととしております。

 第四に、臓器提供の承諾についてでありますが、平成六年四月に提出された法律案では、本人の意思が不明等の場合においても、遺族が書面により承諾しているときには臓器の摘出ができることとされておりましたが、この法律案では、この部分を削除し、本人が生前に臓器提供の意思を書面により表示しており、かつ遺族が拒まない場合または遺族がないときにのみ臓器の摘出ができることとしております。ただし、当分の間の経過措置として、角膜及び腎臓については、本人の意思が不明等の場合で、遺族が書面により承諾したときは、脳死体以外の死体からの摘出も行うことができることとしております。

 第五に、臓器の移植に関する記録の作成及び保存義務並びにその閲覧について定めております。

 第六に、臓器売買及び臓器の有償あっせんについては、これを禁止することとしております。

 第七に、業として臓器のあっせんをしようとする者は、厚生大臣の許可を受けなければならないこととしております。

 第八に、平成六年四月に提出された法律案においては、法律の施行後五年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべき旨が規定されておりましたが、本法律案では、この法律の施行後、三年を目途として検討が加えられることとしております。

 このほか、必要な罰則規定等を定めるとともに、この法律の制定に伴い、現行の角膜及び腎臓の移植に関する法律は廃止することとしております。

 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して三月を経過した日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重かつ十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

第140回国会衆議院厚生委員会議録第5号3頁(平成9年3月18日)〔五島正規議員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

附帯決議

参議院 臓器の移植に関する特別委員会平成9年6月16日

政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。

一客観的かつ医学的な基準による公正・公平なレシピエント選定が行われる適正な基準の設定、臓器移植ネットワークの体制整備等この法律の施行に当たって必要な移植に係る環境整備及び事前の準備に万全を期し、いやしくも準備不足のもとに安易な移植が行われたとの批判を招くことのないようにすること。準備期間を十分なものとするため、公布の日までに一月を置くものとすること。

二移植実施施設を厳選するため、従前の検討結果の再検討を行うこと。

三家族及び遺族の範囲についてのガイドラインの作成について、早急に検討を行うこと。

四臓器を提供する適正な意思表示ができる者の年齢等の範囲について、関係方面の意見を踏まえ、早急に検討を行うこと。

五ドナーカード(意思表示カード)の普及に努めるとともに、脳死及び臓器移植について国民への普及啓発を図ること。また、コーディネーターの資質の向上と養成に努めること。

六臓器摘出に係る法第六条第四項の厚生省令で定める判定基準については、臓器移植の実施状況を踏まえ、医学の進歩に応じて、常時検討を行うこと。

七臓器摘出に係る法第六条第二項の判定については、脳低体温療法を含めあらゆる医療を施した後に行われるものであって、判定が臓器確保のために安易に行われるとの不信を生じないよう、医療不信の解消及び医療倫理の確立に努めること。

八移植医療について国民の理解を深めるため、臓器移植の実施状況、移植結果等(臓器配分の公平性の状況を把握するための調査の結果を含む。)について、毎年、国会に報告書を提出すること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=113902012)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。