保護司法の一部を改正する法律案
衆議院 法務委員会
平成10年法律第61号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
下稲葉耕吉 法務大臣 平成10年4月2日ただいま議題となりました保護司法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
保護司制度は、地域社会の穏健篤実な奉仕家たちが犯罪や非行をした者を無報酬で補導援護するという世界にたぐいまれな制度として発展し、その立ち直りや地域社会の安全に大きく寄与しておりまして、我が国の刑事政策上極めて重要な役割を果たしているところであります。
しかし、近時の社会風潮等によって、保護司としての有能な人材の確保が容易でなくなりつつある一方、さまざまな問題点を抱える処遇困難な対象者が増加して保護司の負担が増している状況の中で、保護司とその活動に対する一般国民や地域社会の理解及び保護司組織による組織的な支援体制の強化が喫緊の課題となっております。
ところで、保護司の職務のうち、保護観察や矯正施設に収容中の者の環境調整につきましてはその内容がはっきりしておりますが、犯罪予防活動のようにさまざまな活動形態があり得るものにつきましては、どのような活動をどのように行うのが公務であるのか必ずしも明確ではなく、一般国民の保護司に対する理解が不十分となり、十分な協力を得がたい原因の一つとなっております。
また、現在、保護司を構成員とする保護司組織が全国に結成され、保護司相互の研修や福祉機関との連携を図る等、保護司の活動を支える上で重要な機能を担っておりますが、これらの保護司組織は、現状においては任意組織にすぎず、その役割、機能について明確な規定がないため、対外的に保護司組織について理解を得るのに障害となっており、また組織運営の負担が一部保護司に偏るなどして組織活動の充実を図ることが難しくなっております。
さらに、保護司及び保護司組織の活動が地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与しておりますことから、地方公共団体からさまざまな支援を行っていただいておりますが、今後、地方公共団体との協力関係を推進していくためには、その法律的な根拠を明確にすることが必要であります。
そこで、保護司制度の充実強化を図るため、保護司の職務の遂行に関する規定を整備するほか、保護司組織を法定化するとともに地方公共団体の保護司及び保護司組織に対する協力規定を設けるなどの必要があると考えられますので、ここに本法律案を提案することとした次第であります。
次に、保護司法の一部を改正する法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、保護司は、地方更生保護委員会または保護観察所の長から指定を受けて当該地方更生保護委員会または保護観察所の所掌に属する事務に従事するほか、保護観察所の長の承認を得た保護司会の計画の定めるところに従い、当該保護観察所の所掌に属する一定の事務に従事するものとしております。
第二に、保護司の職務を支援する組織として保護司会及び保護司会連合会を法定化しております。
第三に、地方公共団体は、保護司及び保護司組織に対し必要な協力をすることができることを規定しております。
以上が保護司法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上。速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第142回国会参議院法務委員会会議録第8号12頁(平成10年4月2日)〔下稲葉耕吉法務大臣発言・発言番号106〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=114201076)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。