TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第171回国会›閣法第54号
閣法第171回国会 第54号成立

著作権法の一部を改正する法律案

平成21年法律第53号 著作権法の一部を改正する法律
提出平成21年3月10日 内閣
付託衆議院 文部科学委員会
参議院 文教科学委員会
成立
平成21年法律第53号
審議会議 6回・発言 283(政府答弁等 99)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院文部科学委員会

  1. H21.4.24趣旨説明文部科学委員会 8114
  2. H21.5.8質疑・採決・附帯決議文部科学委員会 9145
  3. H21.5.12委員長報告・採決本会議 3011

参議院文教科学委員会

  1. H21.6.9趣旨説明文教科学委員会 1369
  2. H21.6.11質疑・附帯決議・採決文教科学委員会 14105
  3. H21.6.12委員長報告・採決本会議 2924

提案理由

塩谷立 文部科学大臣 平成21年4月24日

このたび政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の著作権制度については、これまでも逐次整備を進めてまいりましたが、文化芸術立国、知的財産立国の実現に向け、一層の充実が必要となっております。

 この法律案は、昨今の情報通信技術の一層の進展などの時代の変化に対応し、インターネット等を活用した著作物等の流通の促進や、障害者の情報利用の機会の確保などを図るため、必要な改正を行うものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、インターネット等を活用した著作物等の利用の円滑化を図るための措置を講ずるものであります。

 昨今の情報通信技術の一層の進展を背景に、インターネット等を活用したさまざまな著作物等の利用形態が可能になるとともに、これに関連する事業が発達してきております。これらの中には、社会にとって有意義であり、かつ、権利者の不利益にならないと考えられるものもあり、著作権法上の位置づけを明らかにすべきとの要請が寄せられております。このため、インターネット情報の検索サービスの実施のための複製、美術の著作物等の譲渡の申し出のための複製、国立国会図書館における所蔵資料の電子化のための複製等について、権利者の許諾なく行えるようにする措置を講ずるものであります。

 また、過去の放送番組等をインターネット等で二次利用する際に、出演者等の所在不明が原因でこれらの二次利用が進まないとの問題が指摘されております。このため、権利者が所在不明の場合における著作物等の利用を容易にするため、現行の文化庁長官の裁定制度を著作隣接権にも適用できるようにするとともに、より迅速に著作物等の利用が開始できるように措置を講ずるものであります。

 第二に、違法な著作物等の流通を抑止するための措置を講ずるものであります。

 インターネット等における著作物等の流通を促進するためには、権利者が安心して著作物等を提供できる環境を整えることが重要であります。

 このため、著作権等を侵害する行為によって作成された物と承知の上で、その物の頒布の申し出を行う行為を権利侵害とみなすとともに、著作権等を侵害して自動公衆送信されている音楽や映像を録音し、または録画することについて、著作権法第三十条の適用範囲から除外し、権利者の許諾を要することとするものであります。なお、この第三十条の改正については、違法なものと知りながら行った場合に限るとともに、罰則を科さないこととしております。

 第三に、障害者の情報利用の機会の確保を図るための措置を講ずるものであります。

 技術の進展に伴う障害者による著作物等の利用方法の多様化や障害者の権利に関する条約をめぐる状況を踏まえ、障害者の情報格差を解消していくことが求められております。

 このため、障害者のために権利者の許諾を得ずに著作物等を利用できる範囲を抜本的に見直し、障害の種類を限定しないこととするとともに、デジタル録音図書の作成、映画や放送番組の字幕付与、手話翻訳など、障害者が必要とする幅広い方式での複製等を可能とし、あわせて、障害者福祉を目的とする施設以外でもそれらの作成を可能とするなどの措置を講ずるものであります。

 なお、この法律は、一部を除いて平成二十二年一月一日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

第171回国会衆議院文部科学委員会議録第8号13頁(平成21年4月24日)〔塩谷立文部科学大臣発言・発言番号112〕 会議録 国会会議録検索システム

立法資料のある条文

この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)

附帯決議

衆議院 文部科学委員会平成21年5月8日

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音又は録画することを私的使用目的でも権利侵害とする第三十条第一項第三号の運用に当たっては、違法なインターネット配信等による音楽・映像と知らずに録音又は録画した著作物の利用者に不利益が生じないよう留意すること。また、本改正に便乗した不正な料金請求等による被害を防止するため、改正内容の趣旨の周知徹底に努めるとともに、レコード会社等との契約により配信される場合に表示される「識別マーク」の普及を促進すること。

二インターネット配信等による音楽・映像については、今後見込まれる違法配信からの私的録音録画の減少の状況を踏まえ、適正な価格形成に反映させるよう努めること。

三障害者のための著作物利用の円滑化に当たっては、教科用拡大図書や授業で使われる副教材の拡大写本等の作成を行うボランティア活動がこれまでに果たしてきた役割にかんがみ、その活動が支障なく一層促進されるよう努めること。

四著作権者不明等の場合の裁定制度及び著作権等の登録制度については、著作物等の適切な保護と円滑な流通を促進する観点から、手続の簡素化等制度の改善について検討すること。

五近年のデジタル化・ネットワーク化の進展に伴う著作物等の利用形態の多様化及び著作権制度に係る動向等にかんがみ、著作権の保護を適切に行うため、著作権法の適切な見直しを進めること。特に、私的録音録画補償金制度及び著作権保護期間の見直しなど、著作権に係る重要課題については、国際的動向や関係団体等の意見も十分に考慮し、早期に適切な結論を得ること。

六国立国会図書館において電子化された資料については、図書館の果たす役割にかんがみ、その有効な活用を図ること。

七文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、学校等における著作権教育の充実や国民に対する普及啓発活動に努めること。

参議院 文教科学委員会平成21年6月11日

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一違法配信と知りながら録音又は録画することを私的使用目的でも権利侵害とする第三十条第一項第三号の運用に当たっては、違法配信と知らずに録音又は録画した著作物の利用者に不利益が生じないよう留意するとともに、本改正によるインターネット利用への影響について、状況把握に努めること。また、本改正に便乗した不正な料金請求等による被害を防止するため、改正内容の趣旨の周知徹底に努めるとともに、レコード会社等との契約により配信される場合に表示される「識別マーク」の普及を促進すること。

二インターネット配信等による音楽・映像については、文化の発展に資するよう、今後見込まれる違法配信からの私的録音録画の減少の状況を勘案しつつ、適正な価格形成が促進されるよう努めること。

三障害者の情報アクセスを保障し、情報格差を是正する観点から、本法の運用及び政令の制定に当たっては、障害の種類にかかわらず、すべての障害者がそれぞれの障害に応じた方式の著作物を容易に入手できるものとなるよう、十分留意すること。

四教科用拡大図書や副教材の拡大写本を始め、点字図書、録音図書等の作成を行うボランティアがこれまで果たしてきた役割にかんがみ、今後もボランティア活動が支障なく一層促進されるよう、その環境整備に努めること。

五著作権者不明等の場合の裁定制度及び著作権等の登録制度については、著作物等の適切な保護と円滑な流通を促進する観点から、手続の簡素化等制度の改善について検討すること。

六近年のデジタル化・ネットワーク化の進展に伴う著作物等の利用形態の多様化及び著作権制度に係る動向等にかんがみ、著作物等の利用の一層の円滑化に向けて、著作権法の適切な見直しを進めること。特に、著作権制度の在り方をめぐり意見の相違が大きい重要課題については、国際的動向や関係団体・利用者等の意見を十分考慮するとともに、技術革新の見通しと著作物等の利用実態を踏まえた議論を進めること。

七国立国会図書館において電子化された資料については、情報提供施設として図書館が果たす役割の重要性にかんがみ、読書に困難のある視覚障害者等への情報提供を含め、その有効な活用を図ること。

八文化の発展に寄与する著作権制度の重要性にかんがみ、学校等における著作権教育の充実や国民に対する普及啓発活動に努めること。

九教科書、学校教育用副教材のデジタル化など教育目的での著作物利用に関しては、その著作権及び著作隣接権の許諾の円滑化に努めること。

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=117101054)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。