大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案
参議院 環境委員会
平成22年法律第31号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
小沢鋭仁 環境大臣 平成22年3月26日おはようございます。
ただいま議題となりました大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
かつて我が国では高度経済成長期に深刻な公害が発生し大きな社会問題となりましたが、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等の制定、地方公共団体及び事業者による対策等の成果として、大気環境及び水環境の状況は顕著に改善されてまいりました。
しかしながら、近年、地球温暖化を初めとする環境問題の多様化、地方公共団体や企業における経験豊富な公害防止担当者が多数退職しつつあること等を背景として、公害防止対策を取り巻く状況が構造的に変化しています。
こうした中、昨今、一部の事業者において、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の排出基準の超過があった場合に、ばい煙や排水の測定結果を改ざんする等の不適正事案が発生しています。さらに、公共用水域において発見される水質事故の件数の増加が見られるところです。
こうした現状にかんがみ、事業者及び地方公共団体による公害防止対策の効果的な実施を図るため、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、ばい煙量等の測定結果の未記録等に対する罰則の創設についてであります。
ばい煙排出者及び排出水を排出する者等に対し、ばい煙量または排出水の汚染状態等の測定結果の記録に加え、その記録の保存を義務づけるとともに、これらの義務に違反して、記録をせず、虚偽の記録をし、または記録を保存しなかった者に対する罰則を設けることとしております。
第二に、事業者の責務規定の創設についてであります。
事業者は、ばい煙または排出水の排出の規制等に関する措置のほか、その事業活動に伴うばい煙または汚水の排出等の状況を把握するとともに、ばい煙の排出抑制または水質汚濁の防止のために必要な措置を講ずるようにしなければならないこととしております。
第三に、大気汚染防止法に基づく改善命令等の発動要件の見直しについてであります。
都道府県知事は、ばい煙排出者が排出基準等に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがあると認めるときは、ばい煙発生施設の構造の改善等を命ずることができることとしております。
第四に、水質汚濁防止法に基づく事故時の措置の対象の追加についてであります。
公共用水域に多量に排出されることにより人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質を製造等する施設を設置する工場または事業場の設置者に対し、事故によりこれらの物質を含む水が排出された場合等における応急の措置及び都道府県知事への届け出を新たに義務づけることとしております。
以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
以上であります。
第174回国会衆議院環境委員会議録第3号1頁(平成22年3月26日)〔小沢鋭仁環境大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一測定記録の改ざん等を防止し、排出基準の遵守を徹底させるためには、地方公共団体職員による効果的な立入検査の実施が求められることから、事業者に対する適切な検査や指導が行われるよう、地方公共団体職員への充実した研修の実施等、体制整備の支援に努めること。
二公害防止の自主的取組が事業者の責務として積極的に行われるよう、公害防止管理者制度の充実・活用や事業者への普及啓発等を行うとともに、事業者による測定データの公表・開示の推進を図ること。また、小規模事業場等も含め、事業者の自主的取組を促進するため、税制の優遇措置の拡充等、インセンティブを与える仕組みの導入や必要な支援策を検討すること。
三水質汚濁防止法の指定物質については、人の健康や生活環境に係る被害の未然防止の観点から、幅広く指定するとともに、科学的知見を踏まえ、適宜、必要な見直しを行うこと。また、近年、水質事故件数が増加傾向にあることから、事業者による事故の原因究明や再発防止について、適切な指導が行われるよう努めるとともに、事故そのものの減少を図るため、効果的な未然防止対策の在り方を検討すること。
四大気汚染防止法における揮発性有機化合物や特定粉じんの濃度の測定記録義務違反に対する罰則についても、今後の光化学オキシダント対策の進ちょく状況等を踏まえ、必要に応じて検討を行うこと。また、ダイオキシン類対策特別措置法における測定結果の改ざん等についても、罰則の必要性を検討すること。
五環境問題が多様化する中で、公害問題に対する危機意識を希薄化させることなく、越境大気汚染対策や地下水汚染対策等、大気環境や水環境における諸課題について、今後も着実に対応を進めること。また、水行政の在り方について、総合的に検討すること。
六蜂群崩壊症候群との関連性が指摘されている農薬については、残留農薬対策のみでなく、水質汚濁等による人の健康や動植物への影響を防止することも重要であり、人への健康影響や生態系への影響などに関する調査研究を進め、その結果を踏まえ、適切な対策を行うこと。
七環境基準は、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされるべきものであり、排出基準とともに、子どもへの健康影響等も十分に考慮し、対象の追加や数値の見直しを適切に行うこと。また、有害大気汚染物質や要監視項目等についても、対象の追加や更なる環境基準の設定等の積極的取組を推進すること。さらに、個別の環境媒体ごとの規制のみでなく、環境総体としての統合的な環境管理の在り方を検討すること。
八本年が国連の国際生物多様性年であること、また、我が国が生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)の議長国であることにかんがみ、生物多様性の確保のために生態系保全に係る環境基準の策定に向けて関係法制等についても検討を行い、その結果を踏まえ、適切な対策を行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=117401035)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。