交通政策基本法案
参議院 国土交通委員会
平成25年法律第92号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院国土交通委員会
- H25.11.8趣旨説明国土交通委員会 488
- H25.11.12参考人招致・参考人質疑・質疑国土交通委員会 5118
- H25.11.13質疑・修正案趣旨説明・討論・採決・附帯決議・修正案国土交通委員会 6122
- H25.11.15委員長報告・採決本会議 1025
参議院国土交通委員会
- H25.11.21趣旨説明国土交通委員会 78
- H25.11.26参考人招致・参考人質疑・質疑・討論・採決・附帯決議国土交通委員会 8182
- H25.11.27委員長報告・採決本会議 1065
提案理由
太田昭宏 国土交通大臣 平成25年11月8日ただいま議題となりました交通政策基本法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
人口減少・少子高齢化、国際競争の激化、巨大災害の発生など、我が国を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。交通政策の推進に当たっては、このような国土全般にわたる状況の変化を見据えつつ、社会資本の整備と密接に連携しながら、長期的な観点で計画的な取り組みを進めることが不可欠であります。このため、今後の交通政策の基本となる法案を制定し、交通に関する施策について、関係者が一体となって強力に取り組む枠組みを構築することが必要であります。
この法律案は、このような趣旨を踏まえ、交通に関する施策について、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項、国の責務等を明らかにすることにより、交通安全対策基本法と相まって、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とするものです。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、交通に関する施策について、その基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることとしております。
第二に、政府は、毎年、国会に、交通の動向及び政府が交通に関して講じた施策に関する報告等を提出することとしております。
第三に、政府は、交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、交通政策基本計画を定めることとしております。
第四に、交通に関する基本的施策として、国及び地方公共団体の施策を定めることとしております。
以上が、この法律案を提案する理由です。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
第185回国会衆議院国土交通委員会議録第4号12頁(平成25年11月8日)〔太田昭宏国土交通大臣発言・発言番号82〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一交通に関する施策の推進に当たっては、交通政策基本法案に基づく「交通政策基本計画」と、社会資本整備重点計画法に基づく「社会資本整備重点計画」を車の両輪として取り組み、もって、今後の国土・地域づくりの指針となる、中長期を見据えた、新たな「国土のグランドデザイン」の実現に寄与すること。
二交通においては、「安全の確保」があらゆることに優先する最も重要かつ基本的な事項であることから、道路交通の安全等陸上交通の安全、船舶の保安等海上交通の安全及び航空保安等航空交通の安全の各分野について、関係法律で定めるところにより、万全を期すこと。また、交通に関する施策の推進に当たっては、交通安全対策基本法その他の交通の安全に関する法律等に基づき実施される施策と十分に連携し、交通の安全の確保に万全を期すこと。
三交通に対する基本的な需要の充足に当たっては、高齢者、障害者、妊産婦を含む国民が日常生活及び社会生活を営むに当たり必要な移動、物資の円滑な流通等の需要を十分にくみとられたものとなるよう最大限配慮すること。
四豊かな国民生活を実現し、我が国経済社会が力強く成長していくためには、交通の機能の確保及び向上を通じた地域格差の是正が極めて重要であり、このことを十分に踏まえて交通政策基本計画を策定すること。
五交通の機能の確保及び向上に当たっては、エネルギーに関する国内外の情勢の変化を含む社会経済情勢の変化に的確に対応すること。
六人口減少、少子高齢化の加速度的な進展や、国際競争の激化の中で、地域交通の確保や、国際海上及び国際航空の競争力強化は喫緊の課題であることを踏まえ、本法の成立を受け、地域交通や港湾の分野での個別法の見直し等を含む制度改正に速やかに取り組むこと。
七日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保に当たっては、離島のほか、豪雪地帯、山村地域、半島地域、過疎地域といった地理的、自然的、社会的条件の厳しい地域に関する自然的経済的社会的諸条件にも十分配慮する必要があること。
八バリアフリー施策の推進に当たっては、例えば全国一律の基準ではカバーできない場合であっても、地域の実情に応じた運用を行えるようにするなど、利用者の目線での改善に努めること。
九運輸事業その他の交通に関する事業が健全に発展し、サービスが安定して提供されるためには、交通に関する事業に従事する者の確保並びにこれらの者の労働環境の整備が重要であることに鑑み、交通に関する施策の推進に当たっては、交通に関する事業において必要とされる人材確保や労働環境改善にも十分に配慮すること。
十大規模な災害が発生した場合における交通への支障の発生及び拡大を防止するため、老朽化対策を推進するとともに、交通施設の耐震化の向上、代替交通手段の整備、避難のための移動及び救援のための物資の輸送への配慮に努めること。
十一二〇二〇年の東京オリンピック及びパラリンピックの開催に向けて、地方を含む日本の津々浦々まで外国人旅客が入込む国土・地域づくりを目指して、東京のみならず、地方部を含む形での交通手段の充実、移動の円滑化、観光旅客の円滑な往来の促進等を図るとともに、万が一の大規模災害発生時における交通機能の維持、円滑な避難の確保等に万全を期すること。
十二交通による環境への負荷の低減を図るため、JR貨物や内航海運による貨物輸送への転換(モーダルシフト)をより一層推進するための取り組みを進めること。
十三自転車は、国民にとって非常に手軽で身近な交通手段であると同時に、地球環境にも大変優しいものであることに鑑み、関係各省庁が連携して、今後、走行環境の改善などその利用促進に向けた施策とともに、自転車による事故の減少を図るための施策を総合的に講じること。
十四交通に関する国際協力を推進するに当たっては、開発途上地域に対する人材の派遣や外国において災害が発生した場合の交通施設の復旧等の支援にも十分に配慮すること。
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一交通政策基本計画の策定及びその施策の推進に当たっては、国、地方公共団体、交通関連事業者、交通施設管理者、住民その他の関係者による効果的な相互連携が図られるよう配慮するとともに、利用者目線に立ちつつ、国民の意見が反映されるよう努めること。また、「社会資本整備重点計画」の内容やその計画期間等との整合に留意すること。さらに、新たな「国土のグランドデザイン」の構築においては、本法の基本理念等がいかされるようにすること。
二交通における安全・安心をより確実なものとするため、道路交通・鉄道の安全等陸上交通の安全、船舶の保安等海上交通の安全及び航空保安等航空交通の安全の各分野について、関係法律で定めるところにより、万全を期すとともに、関係府省庁の連携による安全・保安体制の一層の充実等が図られるよう努めること。
三運輸事業その他の交通に関する事業が健全に発展し、サービスが安定して供給されるよう、交通に関する施策の推進に当たっては、交通関連事業者及び交通施設管理者による適切な業務の推進、交通に関する事業において必要とされる交通従事者の労働環境の改善及び人材の育成・確保等についても十分に配慮するよう指導すること。
四大規模な災害が発生した場合における被害の軽減及び交通機能の迅速な回復のため、交通施設における老朽化対策及び耐震化対策等を推進するとともに、代替交通手段の整備、避難・救援・緊急輸送など非常時の移動手段の確保等に万全を期すこと。また、東日本大震災の教訓からミッシングリンクの解消等「命の道づくり」をより一層推進すること。
五今後急速な人口減少・高齢化の進展が見込まれる中で、コンパクトシティの形成など交通とまちづくりの連携を一層推進するとともに、離島、過疎地域、中山間地域、豪雪地帯、半島地域など地理的、自然的、社会的条件の厳しい地域等における国民の交通に対する基本的な需要が適切に充足されるよう、地域公共交通や物流の確保・維持・改善に努めること。
六高齢者、乳幼児、障害者、妊産婦等の円滑な移動を可能とする交通施設のバリアフリー化に当たっては、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」における目標年が東京オリンピック及びパラリンピックの開催年であることも踏まえ、我が国がより先進的なバリアフリー社会となるよう、その着実な推進を図ること。
七交通分野における環境負荷の低減、省エネルギー化を推進するため、低公害車の普及促進、貨物輸送におけるモーダルシフトの推進やトラックの自営転換、交通における次世代技術の開発等への取組が一層推進されるよう努めること。また、ICT技術その他の技術の開発・活用等によって、交通の利用者利便の向上、交通の効率的な運営による産業競争力の強化、観光振興等が図られるよう努めること。
八自転車が、本法において他の交通モードと並ぶものとして明確に位置付けられたことを踏まえ、自動車や歩行者等との共存関係が形成されるよう、関係府省庁は連携を強化し、自転車道・駐輪場の整備等走行環境の改善などその利用促進に向けた施策に取り組むとともに、事故の減少を図るための施策を総合的に講じること。
九交通の利用促進や物流の円滑化を通じた我が国の成長力の強化を図るため、高速道路、鉄道、港湾、空港をはじめとする交通インフラの料金や運賃等については、利用者利便や国際競争力の更なる向上に資するとともに各交通モード間の持続的な連携を可能とするバランスある水準となるよう十分に配慮すること。
十二〇二〇年の東京オリンピック及びパラリンピックの開催に向けて、日本の津々浦々まで外国人旅客が旅できる国土・地域づくりを目指して、交通手段の充実、移動の円滑化、観光旅客の円滑な往来の促進等を図るとともに、万が一の大規模災害発生時における交通機能の維持、円滑な避難の確保等に万全を期すること。
十一交通に対する基本的な需要の充足に当たっては、高齢者、障害者、妊産婦等を含む国民が日常生活及び社会生活を営むに当たり必要な移動、物資の円滑な流通等の需要が十分にくみ取られたものとなるよう最大限配慮すること。国民の交通に対する基本的な需要が充足され、安全・安心・快適な移動が実現されるよう、万全を期すこと。
十二本法の制定及び交通政策基本計画の策定を踏まえ、これまでの交通政策の見直しを行うとともに、法制や助成制度を含め、行政運用に的確に対応すること。また、本法の施行状況について一定期間ごとに検証を行い所要の見直しを図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=118501017)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。