日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案
参議院 憲法審査会
平成26年法律第75号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院憲法審査会
- H26.4.10趣旨説明憲法審査会 16
- H26.4.17質疑憲法審査会 2147
- H26.4.22参考人招致・参考人質疑憲法審査会 3133
- H26.4.24説明聴取・質疑憲法審査会 4316
- H26.5.8参考人招致・参考人質疑・質疑・討論・採決・附帯決議憲法審査会 5244
- H26.5.9委員長報告・討論・採決本会議 2230
参議院憲法審査会
- H26.5.14趣旨説明憲法審査会 26
- H26.5.21質疑憲法審査会 3126
- H26.5.26参考人招致・参考人質疑憲法審査会 4115
- H26.5.28質疑憲法審査会 5138
- H26.6.2質疑憲法審査会 6160
- H26.6.4参考人招致・参考人質疑憲法審査会 7103
- H26.6.11質疑・討論・採決・附帯決議憲法審査会 882
- H26.6.13委員長報告・討論・採決本会議 3158
提案理由
船田元 議員(発議者) 平成26年4月10日ただいま議題となりました日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
平成十九年五月に制定されました日本国憲法の改正手続に関する法律には、その附則に三つの検討課題、いわゆる三つの宿題が定められております。それは、選挙権年齢等の十八歳への引き下げ、公務員の政治的行為の制限に係る法整備、国民投票の対象拡大についての検討の三つでございます。これらのうち前の二つは、本来は制定後三年間、すなわち、平成二十二年五月までに法整備を行うべきものでありましたが、現在はその期限を既に徒過しております。
この改正案は、可及的速やかにこれら三つの宿題に対応し、憲法改正の手続を整備しようとするものでございます。
次に、本法案の主な内容を御説明申し上げます。
第一に、選挙権年齢等の十八歳への引き下げについてでありますが、この改正案では、改正法施行後四年を経過するまでの間は、憲法改正国民投票の投票権年齢は二十歳以上とし、それ以降は自動的に本則第三条に定める十八歳に引き下げることといたしております。
その上で、選挙権年齢等の引き下げについては、改めて、改正法の施行後速やかに、投票権年齢と選挙権年齢の均衡等を勘案し、必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の検討条項を改正法附則に規定することといたしました。
第二に、公務員の政治的行為に係る法整備について申し上げます。
公務員が行う国民投票運動については、賛成、反対の投票等の勧誘行為及び憲法改正に関する意見表明としてされるものに限り、行うことができることとするとともに、当該勧誘行為が公務員に係る他の法令により禁止されている他の政治的行為を伴う場合には、この限りではないといたしております。すなわち、純粋な国民投票運動に限って、公務員もこれを行うことができることとしたところであります。
また、組織により行われる勧誘運動、署名運動及び示威運動の企画、主宰及び指導並びにこれらに類する行為に対する規制のあり方について、改正法施行後速やかに、公務員の政治的中立性及び公務の公正性を確保する等の観点から検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の検討条項を改正法附則に規定することといたしました。
さらに、在職中、国民投票運動を行うことができない公務員として、新たに、裁判官、検察官、公安委員会の委員及び警察官を加え、この違反に対しては、六月以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処することといたしました。
第三に、国民投票の対象拡大について申し上げます。
この改正案では、憲法改正問題についての国民投票制度に関し、現行法附則第十二条の検討条項にかえて、改めて、その意義及び必要性について、さらに検討を加え、必要な措置を講ずる旨の検討条項を改正法附則に規定することといたしました。
この改正案については、昨年十二月に自由民主党、公明党の実務者で合意した後、憲法改正にかかわる土俵づくりに関する重要な法律であることに鑑みて、できるだけ多くの会派と共同提出したいとの考えのもと、野党各党と個別に、あるいは一堂に会する場で、濃密な協議を行ってまいりました。
多くの会派の御主張を取り入れ、当初の与党案に修正を施した上で御賛同いただくことができ、その結果、自由民主党、公明党に加えて、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党の七会派でこの改正案を共同提出することとなった次第です。
以上が、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨及び概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第186回国会衆議院憲法審査会議録第1号2頁(平成26年4月10日)〔船田元議員発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
一選挙権を有する者の年齢については、民法で定める成年年齢に先行してこの法律の施行後二年以内を目途に、年齢満十八年以上の者が国政選挙等に参加することができることとなるよう、必要な法制上の措置を講ずること。
二政府は、国民投票の投票権を有する者の年齢、選挙権を有する者の年齢、成年年齢等が「満十八年以上」に引き下げられることを踏まえ、国民に対する周知啓発その他必要な措置を講ずるものとすること。
三政府は、遅くともこの法律の施行の四年後には年齢満十八年以上の者が憲法改正国民投票の投票権を有することとなることに鑑み、学校教育における憲法教育等の充実を図ること。
四公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止規定の違反に対し罰則を設けることの是非については、今後の検討課題とすること。
五地方公務員の政治的行為について国家公務員と同様の規制とすることについては、各党の担当部局に引き継ぐものとすること。
六政府は、この法律の施行に当たり、国民投票運動を行う公務員に萎縮的効果を与えることとならないよう、配慮を行うこと。
七憲法改正国民投票以外の国民投票については、この法律の附則第五項の規定を踏まえ、国会の発議手続、国民投票の手続、効力等に関し、本憲法審査会において検討し、結論を得るよう努めること。
一本法律の施行に当たり、憲法審査会においては、主権者たる国民がその意思に基づき憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという日本国憲法を始めとする近代憲法の基本となる考え方である立憲主義に基づいて、徹底的に審議を尽くすこと。
二本法律の施行に当たり、憲法審査会においては、日本国憲法の定める国民主権、基本的人権の尊重及び恒久平和主義の基本原理に基づいて、徹底的に審議を尽くすこと。
三本法律の施行に当たり、憲法審査会においては、日本国憲法の定める憲法の最高法規性並びに国民主権及び間接民主制の趣旨にのっとり、立法措置によって可能とすることができるかどうかについて、徹底的に審議を尽くすこと。
四本法律の施行に当たり、政府にあっては、憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に当該解釈を変更することができるという性質のものではなく、仮に政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねず、このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものであると政府自身も憲法の解釈の変更に関する審議で明らかにしているところであり、それを十分に踏まえること。
五本法律の施行に当たり、政府においては、前項に基づき、解釈に当たっては、立憲主義及び国民主権の原理に基づき、憲法規範そのものに対する国民の信頼を保持し、かつ、日本国憲法を国の最高法規とする法秩序の維持のために、取り組むこと。
六本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。
七選挙権年齢については、民法で定める成年年齢に先行して本法律の施行後二年以内を目途に、年齢満十八年以上の者が国政選挙等に参加することができることとなるよう、必要な法制上の措置を講ずること。
八選挙権年齢に係る法制上の措置の検討に際しては、憲法前文において国民主権と間接民主制の原理をともに人類普遍の原理として位置付けていること等を十全に踏まえて取り組むこと。
九政府は、憲法改正国民投票の投票権を有する者の年齢、選挙権を有する者の年齢、成年年齢等が「満十八年以上」に引き下げられる場合、国民に対する憲法改正手続や国民投票制度について、より一層の周知啓発その他必要な措置を講ずるものとすること。
十政府は、遅くとも本法律の施行の四年後には年齢満十八年以上の者が憲法改正国民投票の投票権を有することとなることに鑑み、学校教育における憲法教育等の充実及び深化を図ること。
十一政府は、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の規制について、表現の自由、意見表明の自由、学問の自由、教育の自由等を不当に侵害することとならないよう、ガイドラインを作成する等、禁止される行為と許容される行為を明確化するための必要な措置を講ずること。
十二公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止規定の違反に対し罰則を設けることの是非については、今後の検討課題とすること。
十三地方公務員の政治的行為について国家公務員と同様の規制とすることについては、各党の担当部局に引き継ぐこととすること。
十四政府は、本法律の施行に当たり、国民投票運動を行う公務員に萎縮的効果を与えることとならないよう、配慮を行うこと。
十五本法律の附則第四項に定める組織により行われる勧誘運動等の公務員による企画等に対する規制の在り方について検討を行う際には、その規制の必要性及び合理性等について十全な検討を行うこと。
十六国民投票運動が禁止される特定公務員の範囲については、適宜検証を行うこと。
十七一般的国民投票制度については、本法律の附則第五項の規定を踏まえ、国会の発議手続、国民投票の手続、効力等に関し、憲法審査会において検討し、結論を得るよう努めること。
十八最低投票率制度の意義・是非の検討については、憲法改正国民投票において国民主権を直接行使する主権者の意思を十分かつ正確に反映させる必要があること及び憲法改正の正当性に疑義が生じないようにすることを念頭に置き、速やかに結論を得るよう努めること。
十九テレビ・ラジオの有料広告については、公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力を尊重しつつ、憲法改正案に対する賛成・反対の意見が公平に扱われるよう、その方策の検討を速やかに行うこと。
二十本附帯決議で新たに付された項目を含め、日本国憲法の改正手続に関する法律制定時の附帯決議については、改めてその趣旨及び内容を十分に踏まえ、各項目を精査し、その実現のために必要な措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=118602014)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。