出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案
参議院 法務委員会
平成28年法律第88号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院法務委員会・法務委員会厚生労働委員会連合審査会
- H28.4.15趣旨説明・質疑法務委員会 1155
- H28.4.19質疑法務委員会 12187
- H28.4.22参考人招致・参考人質疑法務委員会 1387
- H28.4.26質疑法務委員会厚生労働委員会連合審査会 1158
- H28.4.27質疑法務委員会 14168
- H28.5.10参考人招致・参考人質疑法務委員会 1591
- H28.5.11質疑法務委員会 16124
- H28.5.13質疑法務委員会 17144
- H28.10.21質疑・討論・採決・附帯決議法務委員会 3271
- H28.10.25委員長報告・採決本会議 614
参議院法務委員会・法務委員会、厚生労働委員会連合審査会
- H28.11.1趣旨説明・質疑法務委員会 4171
- H28.11.8質疑法務委員会 5103
- H28.11.10質疑法務委員会、厚生労働委員会連合審査会 1167
- H28.11.10参考人招致・参考人質疑法務委員会 699
- H28.11.15質疑法務委員会 7167
- H28.11.17質疑・討論・採決・附帯決議法務委員会 8221
- H28.11.18委員長報告・採決本会議 1232
提案理由
岩城光英 法務大臣 平成28年4月15日法律案の趣旨説明に先立ちまして、一言申し上げさせていただきます。
昨晩、熊本県熊本地方において発生した地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。
法務省としても、被災地におけるその職責を果たすべく、全力を挙げてまいります。
それでは、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
近年、高齢化の進行等に伴い、質の高い介護に対する要請が高まる中、外国人留学生が日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士の資格を取得した場合に国内での就労が可能となるような制度をつくることが求められております。また、これまでの水際対策の強化や摘発の推進等により、不法残留者は大幅に減少しましたが、他方で、虚偽申告や虚偽文書の行使等によって身分や活動目的等を偽り、不正に在留資格を取得して在留する者などのいわゆる偽装滞在者の存在が問題となっております。
この法律案は、以上に述べた情勢に鑑み、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法の一部を改正するものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、介護の業務に従事する外国人を受け入れるための新しい在留資格を創設するものであります。すなわち、我が国の介護福祉士の資格を有する外国人を対象とする介護という名称の在留資格を設け、介護または介護の指導を行う業務に従事する活動を行うことを可能とするものです。
第二は、いわゆる偽装滞在者の問題に対処するため、罰則の整備、在留資格取り消し事由の拡充等の措置を講ずるものであります。すなわち、罰則の整備として、偽りその他不正の手段により上陸の許可等を受ける行為及び営利の目的でそれらの行為の実行を容易にする行為をした者に対する罰則を設けるほか、在留資格取り消し事由の拡充等として、正当な理由がないのに在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ、他の活動を行いまたは行おうとしている外国人に対して、その在留資格を取り消すことができるようにするとともに、当該外国人が逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある場合には、出国猶予期間を指定せず、直ちに退去強制手続に移行することとするものです。
その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
第190回国会衆議院法務委員会議録第11号2頁(平成28年4月15日)〔岩城光英法務大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府及び外国人技能実習機構は、本法の施行に当たり、次の事項について万全を期すべきである。
一技能実習生の待遇について、本法の基本理念の実現及び実習実施者による出入国又は労働に関する法令遵守の確保のため、以下の取組を行うこと。 1 外国人技能実習機構は、技能実習計画の認定に当たり、実習実施者に対し、技能実習生の報酬の額が、日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることの説明責任を課すとともに、技能実習生の技能等の修得等に応じてその処遇も向上するよう、第二号技能実習生及び第三号技能実習生の予定賃金の定めが、それぞれ当該技能実習生の第一号技能実習及び第二号技能実習における賃金を上回るように留意すること。 2 政府は、技能実習生の報酬にとどまらず、報酬からの控除の把握にも努めるとともに、本法第七条第二項の基本方針において、技能実習生に支払われる報酬から、不当な控除が行われることにより技能実習生の生活に支障が生じることがないよう留意すべき旨を定めること。 3 外国人技能実習機構は、実習実施者及び監理団体の実地検査を、適時、予告をしない検査も含めて行うこととし、その際、1を含む法令の規定及び2を含む基本方針にのっとった割増賃金等の報酬の支払いを、帳簿類の点検のほか、技能実習生及び日本人従業員からの聴取など、実態を的確に把握できる方法により確認すること。 4 外国人技能実習機構は、本法を含め、出入国又は労働に関する法令に違反する事実を把握した場合には、地方入国管理局、都道府県労働局等に対し、通報、情報提供等を行うとともに、事案の重大性に応じ、告発を行うことも視野に、厳格な指導監督に努めること。
二技能実習生の実習先の変更について、本法の目的の達成及び技能実習生の人権保障の観点から、以下の取組を行うこと。 1 外国人技能実習機構は、実習先の変更を求める技能実習生からの相談に丁寧に応じ、2の基本方針の内容を踏まえ、適切な支援により円滑な実習先の変更を図り、技能実習生がその意向に反して帰国を余儀なくされる事態が生じることのないように努めること。 2 政府は、基本方針において、技能実習生が実習先の変更を求めることについてやむを得ない事情があると認めるときは、実習先の変更を認めることとする旨を定めること。
三二国間取決めについて、送出機関の適正化に向けた送出国政府との連携の必要性に鑑み、以下の措置を講ずること。 1 政府は、送出国との二国間取決めを速やかに作成し、その内容を公表するよう努めること。 2 二国間取決めにおいて、送出国が送出機関に対し本法第四十七条と同様の規制を行うこと及び規制に違反した送出機関に対し送出国政府当局が迅速かつ厳正な対処を行うべきことを定めるよう努めること。 3 二国間取決めに違反する行為が認められた場合、当該送出機関に係る技能実習計画について、新たな申請に対する認定をしないことや、事案によっては、既に認定された技能実習計画の認定の取消しを行うことも含め、厳格な対応を行うこと。
四帰国後の技能実習生に対するフォローアップ調査について、今後も毎年行うとともに、回答の回収率の目標を定め、二国間取決めにおいて送出国及び送出機関の調査への協力に関する規定を設けるなど、回収率向上に向けた方策を講ずること。
五技能実習制度の対象職種への介護の追加について、技能実習生の適切な処遇を確保するとともに介護サービスの質を担保するため、以下の措置を講ずること。 1 対象職種への介護の追加は、基本方針における、特定の職種に係る施策(本法第七条第三項)等において、「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」の中で、日本語能力などの必要なコミュニケーション能力の確保等、検討を要する事項として掲げられた七点につき、同中間まとめで示された具体的な対応の在り方に沿った適切な対応策を定めた上で行うこと。その際、利用者や他の介護職員等と適切にコミュニケーションを図るためには、例えば、会話の内容をほぼ理解できる程度の日本語能力が求められることを踏まえ、技能実習生の入国時に必要な日本語能力については、指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践するために必要となる日本語レベルを望ましい水準とし、二年目の業務への円滑な移行を図ること。 2 追加後三年を目途として、その実施状況を勘案して、必要があると認めるときは、検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。
政府及び外国人技能実習機構は、本法の施行に当たり、次の事項について万全を期すべきである。
一政府は、技能実習制度が我が国の有する技能等を発展途上国等へ移転するという国際貢献を本旨とする制度であることを十分認識し、本法第三条第二項に規定する基本理念に従って、国内の人手不足を補う安価な労働力の確保策として悪用されないよう本法を厳格に執行すること。
二技能実習生の待遇について、本法の基本理念の実現及び実習実施者による出入国又は労働に関する法令遵守の確保のため、以下の取組を行うこと。 1 外国人技能実習機構は、技能実習計画の認定に当たり、実習実施者に対し、技能実習生の報酬の額が、日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることの説明責任を課すとともに、技能実習生の技能等の修得等に応じてその報酬等も向上するよう、第二号技能実習生及び第三号技能実習生の予定賃金については、それぞれ当該技能実習生の第一号技能実習及び第二号技能実習における賃金を上回るように指導すること。 2 政府は、技能実習生の報酬にとどまらず、報酬からの控除の実態把握にも努めるとともに、本法第七条第二項の基本方針において、技能実習生に支払われる報酬から、不当な控除が行われることにより技能実習生の生活に支障が生じることがないよう留意すべき旨を定めること。 3 政府は、労働時間の実態を把握するため、技能実習生の労働時間に関する調査を実施するとともに、長時間労働の是正に向けた措置を講ずること。また、本法第七条第二項の基本方針において、違法な時間外労働など労働時間に係る労働法令違反が行われることがないよう定めること。 4 政府は、長時間労働により過労死が疑われる死亡事案が発生した場合において、国外に居住する遺族による労災申請を円滑に行うことが可能となるよう、遺族への必要な支援を行うこと。 5 政府は、技能実習生が負担する食費及び居住費その他強制・半強制的に徴収される手数料等の把握に努めるとともに、本法第七条第二項の基本方針において、休日、休暇、宿泊施設等の技能実習生の待遇について日本人と不当に差別されることのないようにする等、技能実習生の権利が確実に保護され、適正な技能実習が行われることを定めること。 6 外国人技能実習機構は、実習実施者及び監理団体の実地検査について、適正かつ実効性ある検査が実施できる体制と専門性を確保するとともに、適時、予告をしない検査も含めて行うこととし、その際、1の内容並びに2、3及び5の基本方針にのっとった割増賃金等の報酬の支払の実績、残業時間を含む総実労働時間の実情その他技能実習生を巡る待遇の状況を、帳簿類の点検のほか、技能実習生及び日本人従業員からの意見の聴取など、実態を的確に把握できる方法により確認すること。なお、その際には、技能実習生及び日本人従業員が不利益を被ることがないよう万全の配慮を行うこと。 7 外国人技能実習機構は、本法を含め、出入国又は労働に関する法令に違反する事実を把握した場合には、地方入国管理局、都道府県労働局等に対し、通報、情報提供等を行うとともに、事案の重大性に応じ、告発を行うことも視野に、厳格な指導監督に努めること。 8 政府は、本法第七条第二項の基本方針において、技能実習生が実習期間の途中でその意に反して帰国させられることのないよう留意すべきこと、技能実習計画の実施途中で技能実習を中止して帰国する場合については、原則、事前に届け出ることを定めること。また、外国人技能実習機構は、基本方針に基づき、実習実施者及び監理団体に対する指導・監督を徹底すること。
三政府は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護のため、速やかに、実習の実施に関する責任者及び監理責任者が受講すべき出入国又は労働に関する法令等の知識の向上を図るための講習を整備し、その受講を義務化すること。
四技能実習生の実習先の変更について、本法の目的の達成及び技能実習生の人権保障の観点から、以下の取組を行うこと。 1 外国人技能実習機構は、実習先の変更を求める技能実習生からの相談に丁寧に応じ、2の基本方針の内容を踏まえ、変更する実習先に関する情報の提供などの適切な支援により円滑な実習先の変更を図り、技能実習生がその意向に反して帰国を余儀なくされる事態が生じることのないように努めること。 2 政府は、基本方針において、技能実習生が実習先の変更を求めることについてやむを得ない事情があると認めるときは、実習先の変更を認めることとする旨を定めること。 3 政府は、技能実習生が第二号技能実習から第三号技能実習に移行する際に、技能実習生の意向に基づき実習先を選択することを認めるとともに、技能実習生の選択に資するため、外国人技能実習機構は、必要な情報の提供その他の援助に努めること。
五二国間取決めについて、送出機関の適正化に向けた送出国政府との連携の必要性に鑑み、以下の措置を講ずること。 1 政府は、技能実習生の送出国において、保証金等不当な金銭の徴収や管理が行われ、また、労働契約不履行に係る違約金を定める送出機関が介在する実情があることを踏まえ、全ての送出国との二国間取決めを速やかに作成し、その内容を公表するよう努めること。 2 二国間取決めにおいて、送出機関に関する基準を設け、当該基準に適合しない送出機関からの受入れを禁止すること、送出国が送出機関に対し本法第四十七条と同様の規制を行うこと、規制に違反した送出機関に対し送出国政府当局が迅速かつ厳正な対処を行うべきことなどを定めるよう努めること。 3 二国間取決めに違反する行為が認められた場合、当該送出機関に係る技能実習計画について、新たな申請に対する認定をしないことや、事案によっては、既に認定された技能実習計画の認定の取消しを行うことも含め、厳格な対応を行うこと。
六帰国後の技能実習生が、技能実習によって得られた知識や技術をいかして送出国の発展に貢献できるよう、技能実習生に対するフォローアップ調査について、その充実を図った上で今後も毎年行うとともに、回答の回収率の目標を定め、二国間取決めにおいて送出国及び送出機関の調査への協力に関する規定を設けるなど、回収率向上に向けた方策を講ずること。
七政府は、外国人技能実習機構が適正な運営のために専門性を有した職員を確保できるよう、必要な支援及び財政上の措置を講ずること。また、同機構に対し、毎年一回、その業務に関する報告を求めるとともに、その報告を受けたときは、遅滞なく、その内容を公表するよう努めること。
八第三号技能実習生の受入れが可能となる実習実施者及び監理団体については、出入国又は労働に関する法令等の違反事例がないなど真に優良と認められる実習実施者及び監理団体に限定することとなる基準を主務省令等において厳格に定めること。また、優良な実習実施者及び監理団体については、その適正な運用を確保するため、その要件が満たされているかを定期的に確認し、要件が満たされない場合にはその見直しを行うこと。
九技能実習制度の対象職種の追加又は削減を行うに当たっては、以下の取組を行うこと。 1 政府及び技能実習評価試験の整備に関する専門家会議は、単純作業ではないこと、技能実習生の送出国のニーズに合致すること、一定水準以上の技能等を修得したことを公的に評価できることという現行の第二号技能実習の移行対象職種の考え方を踏まえて判断すること。 2 政府は、意見公募手続など国民に広く意見を募った上で第二号技能実習に移行することができる職種の追加又は削減を実施すること。 3 技能実習評価試験の整備に関する専門家会議の運営の透明性の確保のため、同会議の議事の速やかな公開に努めること。
十技能実習制度の対象職種への介護の追加について、介護がサービス利用者の命や健康、尊厳にも関わる重要な対人サービスであることに鑑み、技能実習生の適切な処遇及び利用者の安全・安心を確保するとともに介護サービスの質を担保するため、以下の措置を講ずること。 1 対象職種への介護の追加は、国内の人材不足を補うために実施するものではなく、あくまで送出国側のニーズに応じた国際貢献であることに鑑み、基本方針における、特定の職種に係る施策(本法第七条第三項)等において、「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」の中で、日本語能力などの必要なコミュニケーション能力の確保等、検討を要する事項として掲げられた七点につき、同中間まとめで示された具体的な対応の在り方に沿った適切な対応策を定めた上で行うこと。その際、利用者や他の介護職員等と適切にコミュニケーションを図るためには、例えば、会話の内容をほぼ理解できる程度の日本語能力が求められることを踏まえ、技能実習生の入国時に必要な日本語能力については、指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践するために必要となる日本語レベルを望ましい水準とし、二年目の業務への円滑な移行を図ること。 2 本法の施行後、介護従事者の適切な処遇の確保や介護のサービスの質の担保等の課題が生じていることが確認された場合には、技能実習の対象職種の見直しを行うこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=118901031)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。