不正競争防止法の一部を改正する法律案
参議院 経済産業委員会
平成27年法律第54号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院経済産業委員会
- H27.6.3趣旨説明経済産業委員会 194
- H27.6.5質疑経済産業委員会 20139
- H27.6.10討論・採決・附帯決議経済産業委員会 21167
- H27.6.11委員長報告・採決本会議 3219
参議院経済産業委員会
- H27.6.17趣旨説明・質疑本会議 2751
- H27.6.18趣旨説明・質疑経済産業委員会 18162
- H27.6.19参考人招致・参考人質疑経済産業委員会 1986
- H27.6.30質疑経済産業委員会 20195
- H27.7.2討論・採決・附帯決議経済産業委員会 2118
- H27.7.3委員長報告・採決本会議 3034
提案理由
宮沢洋一 経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構) 平成27年6月3日不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
経済のグローバル化が進展し、企業間の国際的な競争が激化する中、知的財産の公開、秘匿、権利化を一体的な戦略のもと使い分けて効果的に活用する、オープン・クローズ戦略の重要性が増しております。このため、事業者の努力と知恵の結晶である製造ノウハウなどの営業秘密を適切に保護する必要性がますます高まっております。
しかしながら、情報通信技術の高度化や新興国における技術ニーズの高まりなどを背景として、昨今、我が国企業の営業秘密が海外競合企業などに不正に取得、使用されたとする紛争事例が相次いで発生しております。こうした中、諸外国では営業秘密に係る制度整備が着々と進められていることを踏まえると、営業秘密の保護強化は我が国にとって喫緊の課題であります。
こうした事情に鑑み、営業秘密の漏えいに対する抑止力を向上させることで、我が国企業の競争力の源泉たる営業秘密が収益の獲得ひいては新たなイノベーションにつながっていく環境を創出し、もって我が国の産業競争力を維持強化するべく、本法律案を提出いたしました。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、刑事、民事両面にわたって、営業秘密侵害に対する抑止力を向上させます。営業秘密侵害罪について、犯罪行為者及びその背後にいる法人の罰金額の上限を引き上げるほか、我が国企業の重要技術を不正に海外に持ち出して使用するといった事案に対しては、罰金額の上限をさらに引き上げ重罰化します。また、犯罪行為者やその背後にいる法人が不当に得た収益を没収できることとします。さらに、営業秘密侵害罪を非親告罪とします。
民事については、訴訟手続における原告の負担を軽減する措置を講じます。被告が営業秘密を不正取得したこと及び当該営業秘密が物の生産方法などに係るものであることなどを原告が立証した場合には、当該営業秘密の使用が疑われる被告の製品は、被告が当該営業秘密を使用してこれを生産したものと推定する規定などを創設します。さらに、営業秘密を侵害していることを知って譲り受けた営業秘密侵害品の譲渡や輸出入などを差しとめなどの対象とします。
第二に、情報通信技術の高度化などを背景とした犯罪行為の多様化に対応するため、営業秘密侵害罪の処罰範囲を拡大します。営業秘密を不正に取得した者から直接開示を受けた場合でなくても、不正開示が介在したことを知って営業秘密を取得し、その営業秘密を転売などする行為を処罰対象とするほか、我が国企業の営業秘密を海外で不正に取得する行為などについても処罰の対象に含めます。また、営業秘密侵害の未遂行為も処罰の対象とします。
以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
第189回国会衆議院経済産業委員会議録第19号1頁(平成27年6月3日)〔宮沢洋一経済産業大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一営業秘密侵害に対する刑事罰の強化に当たっては、事業者及び労働者の間に疑念や過度の萎縮が生じることのないよう、刑事罰の対象となる具体的行為類型を明確にするとともに、事業者及び労働者の日常業務や正当な行為が処罰対象とならないことを指針等により明確に示すなど、その趣旨・内容について、事業者及び労働者双方に周知徹底を図ること。また、企業内における営業秘密の取扱いについて、労使間の協議等により理解の促進が図られるよう努めること。
二営業秘密侵害行為に対する抑止力の向上という本改正が実効性の高いものとなるよう、関係省庁間の連携や取締体制の拡充・強化に努めるとともに、捜査当局においては、適確かつ迅速な取締りに努めること。また、今後の技術革新、諸外国の制度動向、経済社会情勢の変化等を踏まえ、さらなる営業秘密の保護強化に向けて、「営業秘密管理指針」を含む営業秘密の保護の在り方等について不断に調査・検証を行い、必要に応じて見直しを行うこと。
三中小企業の技術力が我が国産業の強みであることを踏まえ、中小企業の保有する営業秘密が不当に流出することのないよう、営業秘密の流出防止対策だけでなく、オープン・クローズ戦略をはじめとする知的財産戦略について普及啓発を行い、相談体制の充実・強化など中小企業の実態に即した適切な措置を講じること。
四政府は営業秘密をはじめとする知的財産の重要性に鑑み、アジアをはじめ他国に対して、営業秘密侵害行為に対しての取り締まり強化や、法制度の整備等を強く働き掛けること。また、制度を早急に確立されるように支援すること。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一職務発明制度の見直しについては、従業者等と使用者等の双方の発明のインセンティブの向上という本見直しの必要性、目的を含め、本改正内容について広く国民に対し周知徹底を図るとともに、特に中小企業における職務発明規程の整備に係る相談・支援体制の充実を図ること。
二職務発明制度に係る相当の利益については、現行の職務発明制度における法定対価請求権と実質的に同等の権利であることが保障されるとともに、企業による従業者等の研究開発に係るインセンティブを高めるための創意工夫がいかされるよう経済産業大臣が定める指針において具体例等を例示すること。また、同指針の策定に当たっては、産業構造審議会等の構成員として、労使代表を始め幅広い関係者を参加させるとともに、職務発明制度に係る苦情処理の在り方等について明示するなど、企業の予見可能性と従業者等の処遇との均衡を図るための適切な措置を講ずること。さらに、今後の経済社会情勢の変化等を踏まえ、従業者等のインセンティブへの影響など本法の運用状況について適宜調査・検証を行い、必要に応じ見直しを行うこと。
三特許料等の引下げ及びPCT国際出願の料金体系の見直しについては、特許権等の取得・維持に係る中小企業・小規模事業者等の負担軽減が我が国企業の国際競争力及び知財戦略の一層の支援強化を図る上で重要であることに鑑み、附則の見直し期間にかかわらず施行状況を見つつ、適宜検討・見直しを行うこと。
四知的財産の裾野を拡大する観点から、中小企業の知的財産活動を支援するため、「知財総合支援窓口」の一層の強化拡充を図るとともに、海外展開を指向する中小企業の知的財産の権利化及び模倣品対策に係る支援策の更なる強化を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=118901045)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。