消費者契約法の一部を改正する法律案
参議院 消費者問題に関する特別委員会
平成30年法律第54号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院消費者問題に関する特別委員会
- H30.5.11趣旨説明消費者問題に関する特別委員会 46
- H30.5.11趣旨説明・質疑本会議 2523
- H30.5.15参考人招致・参考人質疑消費者問題に関する特別委員会 597
- H30.5.17質疑消費者問題に関する特別委員会 6209
- H30.5.21質疑消費者問題に関する特別委員会 786
- H30.5.23発言・質疑・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案消費者問題に関する特別委員会 8183
- H30.5.24委員長報告・採決本会議 2966
参議院消費者問題に関する特別委員会
- H30.5.25趣旨説明・質疑本会議 2255
- H30.5.30趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明・質疑消費者問題に関する特別委員会 469
- H30.6.4参考人招致・参考人質疑消費者問題に関する特別委員会 590
- H30.6.6質疑・採決・附帯決議消費者問題に関する特別委員会 6228
- H30.6.8委員長報告・採決本会議 2760
提案理由
福井照 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・消費者及び食品安全・海洋政策) 平成30年5月11日ただいま議題となりました消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
消費者契約においては消費者と事業者との間に交渉力等の格差があることなどから、依然、若年者を含めた幅広い年代において消費者被害が生じております。また、平成十三年の施行以降、消費者契約についての裁判例や消費生活相談事例が蓄積しており、その傾向等も踏まえ、適切な措置を講ずる必要があります。
こうした状況を踏まえ、消費者の利益の擁護を図るため、事業者の一定の行為により消費者が困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる類型を追加するなどの措置を講ずることとするため、この法律案を提出した次第でございます。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、意思表示を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型として、社会生活上の経験が乏しいことから、消費者が抱いている過大な不安をあおったり、消費者が勧誘を行う者に対して恋愛感情を抱いていることなどに乗じて、一定の内容を告げることを追加することとしております。また、消費者が意思表示をする前に、契約を締結したならば負うこととなる義務の内容を実施することなどを追加することといたしております。加えて、不利益事実の不告知による取消しについても所要の改正を行います。
第二に、無効となる不当な契約条項の類型として、事業者に対し消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項、事業者にその損害賠償責任及び消費者の解除権の有無等を決定する権限を付与する条項を追加することとしております。
第三に、事業者の努力義務についても、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で必要な情報を提供することを明示するなどの所要の改正を行います。
なお、一部の附則規定を除き、公布の日から起算して一年を経過した日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。
第196回国会衆議院消費者問題に関する特別委員会議録第4号1頁(平成30年5月11日)〔福井照内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一本法第四条第三項第三号及び第四号における、社会生活上の経験が乏しいことから、過大な不安を抱いていること等の要件の解釈については、契約の目的となるもの、勧誘の態様などの事情を総合的に考慮して、契約を締結するか否かに当たって適切な判断を行うための経験が乏しいことにより、消費者が過大な不安を抱くことなどをいうものとし、年齢にかかわらず当該経験に乏しい場合があることを明確にするとともに、法解釈について消費者、事業者及び消費生活センター等の関係機関に対し十分に周知すること。また、本法施行後三年を目途として、本規定の実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。
二法第九条第一号における「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」の立証に必要な資料は主として事業者が保有しており、消費者にとって当該損害額の立証が困難となっている場合が多いと考えられることから、損害賠償額の予定又は違約金を定める条項の運用実態について把握を進めた上で、「平均的な損害の額」の意義、「解除に伴う」などの本号の他の要件についても必要に応じて検討を加えた上で、当該損害額を法律上推定する規定の創設等の立証責任の負担軽減に向け早急に検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。
三消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における取消権の創設について、要件の明確化等の課題を踏まえつつ検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。
四本法第三条第一項第二号の事業者の情報提供における考慮要素については、考慮要素と提供すべき情報の内容との関係性を明らかにした上で、年齢、生活の状況及び財産の状況についても要素とするよう検討を行うとともに、消費者が事前に消費者契約の条項を容易に知ることができるようにするための契約条項の開示の在り方についても検討を行うこと。
五消費者契約の条項について解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が生じた場合には事業者に不利な解釈を採用するなど、消費者の利益擁護の観点から消費者契約の条項の解釈の在り方についての検討のほか、「消費者」概念の在り方(法第二条第一項)、断定的判断の提供(法第四条第一項第二号)、「第三者」による不当勧誘(法第五条第一項)、法定追認の特則、先行行為等の不利益事実の不告知(法第四条第二項)にかかる要件の在り方、威迫・執拗な勧誘等の困惑類型の追加、サルベージ条項等の不当条項の類型の追加など消費者委員会消費者契約法専門調査会報告書において今後の検討課題とされた事項につき、引き続き検討を行うこと。
六本法施行後五年を目途として、独立行政法人国民生活センターや地方公共団体との間でPIO—NETの活用による一層の連携を図ること等により、消費者の被害状況や社会経済情勢の変化を把握しつつ、消費者契約法の実効性をより一層高めるため、同法の見直しを含め必要な措置を講ずること。
七差止請求制度及び集団的消費者被害回復制度が実効的な制度として機能するよう、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する財政支援の充実、PIO—NETに係る情報の開示の範囲の拡大、両制度の対象範囲を含めた制度の見直しその他必要な施策を行うこと。
八特定適格消費者団体による仮差押命令申立てにおける独立行政法人国民生活センターの立担保に係る手続等について消費者裁判手続特例法の趣旨を損なうことのない運用に努めること。
九地方消費者行政の体制の充実・強化のため、恒久的な財政支援策を検討するとともに、既存の財政支援の維持・拡充、消費者行政担当者及び消費生活相談員に対する研修の充実、消費生活相談員の処遇改善等による人材の確保その他適切な施策を実施すること。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一本法第四条第三項第三号及び第四号における「社会生活上の経験が乏しい」とは、社会生活上の経験の積み重ねが契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味するものであること、社会生活上の経験が乏しいことから、過大な不安を抱いていること等の要件の解釈については、契約の目的となるもの、勧誘の態様などの事情を総合的に考慮して、契約を締結するか否かに当たって適切な判断を行うための経験が乏しいことにより、消費者が過大な不安を抱くことなどをいうものであること、高齢者であっても、本要件に該当する場合があること、霊感商法のように勧誘の態様に特殊性があり、その社会生活上の経験の積み重ねによる判断が困難な事案では高齢者でも本要件に該当し、救済され得ることを明確にするとともに、かかる法解釈について消費者、事業者及び消費生活センター等の関係機関に対し十分に周知すること。また、本法施行後三年を目途として、本規定の実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。
二本法第四条第三項第五号における「その判断力が著しく低下している」とは、本号が不安をあおる事業者の不当な勧誘行為によって契約を締結するかどうかの合理的な判断をすることができない状態に陥った消費者を救済する規定であることを踏まえ、本号による救済範囲が不当に狭いものとならないよう、各要件の解釈を明確にするとともに、かかる法解釈について消費者、事業者及び消費生活センター等の関係機関に対し十分に周知すること。また、本法施行後三年を目途として、本規定の実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。
三法第九条第一号における「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」の立証に必要な資料は主として事業者が保有しており、消費者にとって当該損害額の立証が困難となっている場合が多いと考えられることから、「平均的な損害の額」の意義、「解除に伴う」などの本号の他の要件についても必要に応じて検討を加えつつ、当該損害額を法律上推定する規定の創設など消費者の立証責任の負担軽減に向け早急に検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。
四高齢者、若年成人、障害者等の知識・経験・判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)の創設について、消費者委員会の答申書において喫緊の課題として付言されていたことを踏まえて早急に検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。
五本法第三条第一項第二号の事業者の情報提供における考慮要素については、考慮要素と提供すべき情報の内容との関係性を明らかにした上で、年齢、生活の状況及び財産の状況についても要素とするよう検討を行うこと。
六消費者が消費者契約締結前に契約条項を認識できるよう、事業者における約款等の契約条件の事前開示の在り方について、消費者委員会の答申書において喫緊の課題として付言されていたことを踏まえた検討を行うこと。
七消費者委員会消費者契約法専門調査会報告書において今後の検討課題とされた諸問題である、「消費者」概念の在り方(法第二条第一項)、断定的判断の提供(法第四条第一項第二号)、先行行為等の不利益事実の不告知(法第四条第二項)にかかる要件の在り方、威迫・執拗な勧誘等の困惑類型の追加、「第三者」による不当勧誘(法第五条第一項)、法定追認の特則、サルベージ条項等の不当条項の類型の追加、条項使用者不利の原則、抗弁権の接続、複数契約の無効・取消し・解除、継続的契約の任意解除権などにつき、引き続き検討を行い、本法施行後三年を目途として必要な措置を講ずること。
八本法施行後五年を目途として、独立行政法人国民生活センターや地方公共団体との間で全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO―NET)の活用による一層の連携を図ること等により、消費者の被害状況や社会経済情勢の変化を把握しつつ、消費者契約法の実効性をより一層高めるため、同法の見直しを含め必要な措置を講ずること。
九差止請求制度及び集団的消費者被害回復制度が実効的な制度として機能するよう、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する財政支援の充実、PIO―NETに係る情報の開示の範囲の拡大、両制度の対象範囲を含めた制度の見直しその他必要な施策を行うこと。
十特定適格消費者団体による仮差押命令申立てにおける独立行政法人国民生活センターの立担保に係る手続等について消費者裁判手続特例法の趣旨を損なうことのない運用に努めるとともに、行政が事業者の財産を保全し、消費者の被害の回復を図る制度の創設について早急に検討を行うこと。
十一地方消費者行政の体制の充実・強化のため、恒久的な財政支援策を検討するとともに、既存の財政支援の維持・拡充、消費者行政担当者及び消費生活相談員に対する研修の充実、消費生活相談員の処遇改善等による人材の確保その他適切な施策を実施すること。
十二消費者の自立を支援し、消費者が消費者契約法をはじめとする民事ルールや消費生活センター等を活用できる実践的能力を培うため、消費生活相談員などを学校教育において積極的に活用する方策を講じつつ、すべての都道府県において充実した消費者教育を受けることができる機会を確保すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=119601031)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。