高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案
参議院 国土交通委員会
令和2年法律第28号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院国土交通委員会
- R2.3.24趣旨説明国土交通委員会 46
- R2.3.31参考人招致・参考人質疑国土交通委員会 570
- R2.4.3質疑・採決・附帯決議国土交通委員会 6128
- R2.4.7委員長報告・採決本会議 1611
参議院国土交通委員会
- R2.5.7趣旨説明国土交通委員会 107
- R2.5.12質疑・採決・附帯決議国土交通委員会 11134
- R2.5.13委員長報告・採決本会議 1630
提案理由
赤羽一嘉 国土交通大臣 令和2年3月24日ただいま議題となりました高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
平成十二年の旧交通バリアフリー法の制定から二十年が経過し、我が国のバリアフリーのハード面の整備は着実に進展してきましたが、ハード面の整備を引き続き進める一方で、整備された施設等の使用方法などソフト面の対策を強化することが必要となっております。
また、平成三十年にユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律が制定され、全ての国民が障害の有無、年齢等によって分け隔てられることなく共生する社会、すなわち共生社会の実現に向けて、ハード、ソフト両面の諸施策の一層の推進が求められております。
こうした中、東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、共生社会の実現に向けた機運を醸成する絶好の機会であり、パラリンピアンの受入れを契機に、共生社会ホストタウンとして、ユニバーサルデザインのまちづくりと心のバリアフリーに取り組む地方公共団体が全国に拡大してきております。この取組を東京大会のレガシーとして我が国にしっかりと根づかせるため、地方公共団体、学校その他の関係者と連携しつつ、ハード、ソフト両面のバリアフリーを推進するための仕組みを構築することが必要となっております。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、本法の目的に、バリアフリーに関する国民の理解の増進及び協力の確保を図るための措置を講ずる旨を追加することとしております。
第二に、公共交通事業者等に対し、バリアフリー化された旅客施設等を使用した役務の提供の方法に関するソフト基準の遵守を義務づけるとともに、高齢者、障害者等である旅客の乗り継ぎを円滑に行うための協力について、事業者間の協議への応諾を義務づけることとしております。
第三に、高齢者、障害者等がバリアフリー化された設備を円滑に利用することができるよう、国等及び施設設置管理者は利用者の適正な配置についての広報活動、啓発活動等を行うよう努めることとしております。
第四に、主務大臣が定める基本方針や市町村が作成する移動等円滑化促進方針の記載事項に国民の理解の増進及び協力の確保に関する事項を追加するとともに、市町村が作成する移動等円滑化基本構想に係る事業の類型として、学校と連携して実施する教育活動や住民等への啓発活動の実施に関する事業を追加することとしております。また、本法の主務大臣に文部科学大臣を追加することとしております。
第五に、公立小中学校及びバス等の旅客の乗降のための道路施設についてハード面のバリアフリー化を更に進めるため、これらをバリアフリー基準の適合義務の対象とするための規定を整備を行うこととしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由です。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、何とぞ御審議をよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
第201回国会衆議院国土交通委員会議録第4号1頁(令和2年3月24日)〔赤羽一嘉国土交通大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一本法の基本理念に則り、社会的障壁の除去のために合理的配慮について理解が深まり的確に提供されるため、必要な環境整備を推進すること。
二障害者が公共交通機関の利用において、様々な制約が存在する状況に鑑み、障害者権利条約の理念を踏まえて移動の権利について検討を進めること。
三インクルーシブ教育の推進及び災害時の避難所として利用する必要性から、設置主体の別、規模を問わず、高校、大学も含めた全ての学校施設のバリアフリー整備を推進すること。
四公立の小中学校が災害時の避難所になっているケースが多いことに鑑み、既設であっても、数値目標を示し、そのような施設のバリアフリー化を積極的に進めること。また、既設の公立小中学校のバリアフリー化に対する財政支援を充実すること。
五移動円滑化基準適用除外認定車両を見直し、鉄道のない地方空港の空港アクセスバス路線に重点的にバリアフリー車両の導入が促進されるように必要な措置を検討すること。
六生活利便施設である物販、飲食店の数は二千平米未満の小規模店舗が大半を占めることに鑑み、二千平米未満の小規模店舗及び特別特定建築物内における店舗内部の障壁となっている入口の段差解消、扉幅の確保、可動席の設置等のバリアフリー整備を進めるため、ガイドラインを作成すること。あわせて、条例によるバリアフリー基準適合義務の対象規模の引き下げ及び建築物特定施設の見直しを要請すること。
七地方の旅客施設のバリアフリー化を進めるため、基本方針に一日の平均的な利用者数が三千人未満の駅も含めた整備目標を定めるよう検討すること。また、無人駅の増加に伴い社会的障壁が拡大しないよう、無人化に際し事業者が取り組むべき事項をガイドラインに定めた上で、当該事業者が遵守するように必要な措置を講ずること。
八駅ホームからの視覚障害者の転落事故が全国で毎週一件以上発生していることに鑑み、ホームドアの設置、バリアフリー設備の表示や駅の構造等情報提供の充実を進めるよう、必要な措置を講ずること。
九障害者が居住可能な共同住宅についての実態把握の調査等必要な措置を講ずること。
十ホテルの一般客室におけるユニバーサルデザイン化の推進及びバリアフリールームの設置率を国際的な水準に引き上げるために、必要な措置を講ずること。
十一ユニバーサルデザインタクシーが活用されるためには、運転者の負担軽減とともに、研修支援に必要な措置を講ずること。
十二建築物やユニバーサルデザイン等の設計に際しては、当事者からの意見を反映させるため、建築士の資格取得における教育内容や設計業務に当たる者に対する研修等においてインクルーシブデザインによる設計が行われるよう制度の構築を検討すること。
十三移動等円滑化評価会議及び同地域分科会において、地域の特性に応じた施設、先進的な施設の整備等を通じ、多様な障害当事者が参画を継続的に実施する等必要な措置を講ずること。
十四障害者権利条約に則り、歴史的建造物のバリアフリー化を進めるため、歴史的建造物を再現する場合等におけるバリアフリー整備の在り方について、高齢者、障害者等の参画の下検討が行われるよう、必要な措置を講ずること。
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一本法の基本理念に則り、社会的障壁の除去のために合理的配慮について理解が深まり的確に提供されるため、必要な環境整備を推進すること。
二障害者が公共交通機関の利用において、様々な制約が存在する状況に鑑み、障害者権利条約の理念を踏まえて移動の権利について検討を進めること。
三車両の優先席、車椅子用駐車施設、障害者用トイレ等の適正な利用の推進に当たっては、国民の具体的な行動につながるよう、関係事業者等と連携して積極的かつ集中的な広報活動及び啓発活動を実施すること。
四インクルーシブ教育の推進及び災害時の避難所として利用する必要性から、設置主体の別、規模を問わず、高校、大学も含めた全ての学校施設のバリアフリー整備を推進すること。
五公立の小中学校が災害時の避難所になっているケースが多いことに鑑み、既設であっても、数値目標を示し、そのような施設のバリアフリー化を積極的に進めること。また、既設の公立小中学校のバリアフリー化に対する財政支援を充実すること。
六移動円滑化基準適用除外認定車両を見直し、鉄道のない地方空港の空港アクセスバス路線に重点的にバリアフリー車両の導入が促進されるように必要な措置を検討すること。
七生活利便施設である物販、飲食店の数は二千平米未満の小規模店舗が大半を占めることに鑑み、二千平米未満の小規模店舗及び特別特定建築物内における店舗内部の障壁となっている入口の段差解消、扉幅の確保、可動席の設置等のバリアフリー整備を進めるため、ガイドラインを定めること。あわせて、条例によるバリアフリー基準適合義務の対象規模の引下げ及び建築物特定施設の見直しを要請すること。
八地方の旅客施設のバリアフリー化を進めるため、基本方針に一日の平均的な利用者数が三千人未満の駅も含めた整備目標を定めるよう検討すること。
九無人駅の増加が当該駅を利用する障害者の社会的障壁とならないよう個々の障害に対応した合理的配慮を推進するために、介助を希望する障害者に対しては介助要員の常設配置を進める取組や乗降時に即応できる支援体制の整備を検討し、介助を要しない障害者に対しては単独乗降可能な駅ホームの整備等、事業者が取り組むべき事項をガイドラインに定めた上で、当該事業者が遵守するように必要な措置を講ずること。
十介助が必要な障害者の公共交通機関の利用に際しては、必要な介助が安心して受けられるよう、事業者、行政、ボランティア団体等の連携の下、社会全体で障害のある利用者の安全を確保し、支えていくための取組を推進すること。
十一障害者の公共交通機関の利用が拡大してきている中、国は車椅子使用者や視覚障害者を始めとする移動制約者と事業者双方との対話を重ねた上で、障害特性に応じた介助の要否の事例の整理などを行い、介助の在り方に対する考え方の明確化を図ること。
十二駅ホームからの視覚障害者の転落事故が全国で多数発生していることに鑑み、事業者に加えて国・地方公共団体による積極的な支援など官民協力の下、ホームドアの設置、必要な介助要員の配置、バリアフリー設備の表示や駅の構造等情報提供の充実を進めるよう、必要な措置を講ずること。
十三障害者が居住可能な共同住宅を増やすため、そのバリアフリー整備の実態調査、建築設計標準の見直し等必要な措置を講ずること。
十四観光施設等における移動等円滑化に関する措置に係る情報提供の促進に当たっては、情報提供を行う事業者等と連携し、正確な情報が分かりやすく効果的に発信されるよう努めること。また、宿泊施設については、一般客室におけるユニバーサルデザイン化を推進するとともに、バリアフリー客室の設置率を国際的な水準に引き上げるため、必要な措置を講ずること。
十五ユニバーサルデザインタクシーが活用されるため、運転者の負担軽減とともに、研修支援に必要な措置を講ずること。
十六東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムである新国立競技場の整備に当たり行った当事者からの意見反映の仕組みをレガシーとして残す観点からも、建築物やユニバーサルデザイン等の設計に際しては、当事者からの意見を反映させるため、建築士の資格取得における教育内容や設計業務に当たる者に対する研修等においてインクルーシブデザインによる設計が行われるよう制度の構築を検討すること。
十七移動等円滑化評価会議及び同地域分科会において、地域の特性に応じた施設、先進的な施設の整備等を通じ、多様な障害当事者が参画を継続的に実施する等必要な措置を講ずること。
十八障害者権利条約に則り、歴史的建造物のバリアフリー化を進めるため、歴史的建造物を再現する場合等におけるバリアフリー整備の在り方について、高齢者、障害者等の参画の下検討が行われるよう、必要な措置を講ずること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=120101014)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。