雇用保険法等の一部を改正する法律案
参議院 厚生労働委員会
令和4年法律第12号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生労働委員会
- R4.3.3趣旨説明・質疑本会議 824
- R4.3.4趣旨説明厚生労働委員会 3138
- R4.3.9質疑厚生労働委員会 4214
- R4.3.11質疑・修正案趣旨説明・修正案厚生労働委員会 5181
- R4.3.15参考人招致・参考人質疑厚生労働委員会 689
- R4.3.16質疑・内閣意見聴取・討論・採決・附帯決議厚生労働委員会 7122
- R4.3.17委員長報告・採決本会議 1281
参議院厚生労働委員会
- R4.3.18趣旨説明・質疑本会議 848
- R4.3.24趣旨説明・質疑厚生労働委員会 4252
- R4.3.25参考人招致・参考人質疑厚生労働委員会 561
- R4.3.29質疑・討論・採決・附帯決議厚生労働委員会 6236
- R4.3.30委員長報告・採決本会議 1129
提案理由
後藤茂之 厚生労働大臣 令和4年3月3日ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を説明いたします。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が雇用に大きな影響を与える中、雇用の安定と就業の促進を図ることが重要な課題となっています。また、雇用保険財政の安定運営を図るため、その費用負担について所要の措置を講ずるなどの必要があります。
こうした状況を踏まえ、失業等給付の特例の継続、求人メディア等のマッチング機能の質の向上、地域のニーズに対応した職業訓練の推進等の措置を講ずるとともに、雇用保険について、保険料率の暫定的な引下げ、機動的な国庫負担の仕組みの導入等を行うため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、雇用保険制度における失業等給付について、雇い止めによる離職者等に係る基本手当の給付日数の特例及び教育訓練支援給付金制度等を継続するほか、離職後に事業を開始した者に係る基本手当の受給期間の特例を創設するとともに、公共職業安定所長が受講を指示する公共職業訓練等の対象に求職者支援制度に基づく訓練を追加することとしています。
第二に、職業安定法における募集情報等提供事業について、その機能強化と事業運営の適正化を図るため、労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供事業に係る届出制の創設や、募集情報等提供事業を行う者に対する求人等に関する情報の的確な表示等の義務づけを行うとともに、必要な指導監督規定の整備等を行うこととしています。
第三に、職業能力の開発及び向上の促進のため、地域の実情に応じた取組が適切かつ効果的に実施されるよう、都道府県の区域ごとに関係者による協議会を組織する仕組みの創設等を行うこととしています。
第四に、雇用保険財政について、令和四年度の保険料率を激変緩和のため引き下げるとともに、雇用情勢や雇用保険財政に応じ、失業等給付に係る国庫負担を機動的に行える仕組みを導入するなどの措置を講ずることとしています。
加えて、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国庫負担の特例措置を継続するとともに、積立金から雇用安定事業費に充てるために借り入れた金額について、一定の範囲内で返済の猶予を可能とするなどの措置を講ずることとしています。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和四年四月一日としています。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
――――◇―――――
雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
第208回国会衆議院会議録第8号1頁(令和4年3月3日)〔後藤茂之厚生労働大臣発言・発言番号7〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一雇用保険の各種給付の水準をできる限り維持することを前提に、必要となる財源の確保に努めること。
二労働政策審議会の委員に対し、雇用情勢及び雇用保険の財政状況の推移を逐次報告するとともに、委員から求めがあった際には審議会を開催し、安定的な労働保険特別会計雇用勘定の運営に向け、これまで以上に臨機応変な検討を行うこと。
三労働保険特別会計雇用勘定については、必要な積立金の水準を達成するまでの間は、単年度においても黒字となる収支構造を目指し、一般会計からの繰入れ等により必要な積立金水準の確保を図るとともに、積立金が必要な水準に達した後もその水準の維持を図ることを中期的な雇用保険財政の運営方針とすること。
四令和四年度の失業等給付においては、労働保険特別会計雇用勘定の安定の観点から、機動的に一般会計を雇用勘定に繰り入れられる仕組みの活用も含め、対応に万全を期すこと。
五社会保障関係費に現在位置付けられている失業等給付の国庫負担について、負担割合を将来的に従来の本則の水準(二十五パーセント)とする措置も含め、国の財政・財源の構造から検討すること。
六失業等給付の国庫負担割合の判定基準とされる「基本手当受給者実人員七十万人以上」について、新型コロナウイルス感染拡大後の雇用構造も踏まえ、実態に応じて適宜見直しの検討をすること。
七雇用保険部会報告に示された新たな国庫繰入制度の運用の考え方を尊重し、雇用保険法第七十二条における重要事項として労働政策審議会の意見を聴くとともに、省令等への規定について検討すること。
八令和六年度までに、育児休業給付等の国庫負担割合の引下げの暫定措置の見直しだけでなく、育児休業給付の財源確保の在り方を含め、雇用労働者に限らず、フリーランスとして就業する者など育児・子育てを広く社会で支援する体制の構築を検討すること。
九失業者の再就職を促進するためには受け皿となる産業・企業、雇用機会の創出が不可欠であり、厚生労働省においても、雇用政策の一環として、必要な予算措置を行った上で、地域における雇用機会の創出にこれまで以上に取り組むこと。
十雇用調整助成金等については、特に業況が厳しい企業・地域において、今後も最大十分の十の特例措置を含め、あらゆる必要な制度設計や手続の検討を行うこと。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一国民の雇用の安定と安心を確保することは国の重大な責務であることを再確認し、その実現に万全を期すこと。特に、今般の新型コロナウイルス感染症が雇用に与えた影響や、これまで実施されてきた各種の雇用施策の効果等を十分に検証し、その教訓も踏まえ、今後の雇用安定化施策に活かすこと。
二雇用保険の各種給付の水準をできる限り維持することを前提に、必要となる財源の確保に努めること。
三労働政策審議会の委員に対し、雇用情勢及び雇用保険の財政状況の推移を逐次報告するとともに、委員から求めがあった際には審議会を開催し、安定的な労働保険特別会計雇用勘定の運営に向け、これまで以上に臨機応変な検討を行うこと。
四労働保険特別会計雇用勘定については、必要な積立金の水準を達成するまでの間は、単年度においても黒字となる収支構造を目指し、一般会計からの繰入れ等により必要な積立金水準の確保を図るとともに、積立金が必要な水準に達した後もその水準の維持を図ることを中期的な雇用保険財政の運営方針とすること。
五令和四年度の失業等給付においては、労働保険特別会計雇用勘定の安定の観点から、機動的に一般会計を雇用勘定に繰り入れられる仕組みの活用も含め、対応に万全を期すこと。
六社会保障関係費に現在位置付けられている失業等給付の国庫負担について、従来の国庫負担の位置付けについての基本的な考えを堅持した上で、負担割合を将来的に従来の本則の水準(二十五パーセント)とする措置も含め、国の財政・財源の構造から検討すること。
七失業等給付の国庫負担割合の判定基準とされる「基本手当受給者実人員七十万人以上」について、新型コロナウイルス感染拡大後の雇用構造も踏まえ、実態に応じて適宜見直しの検討をすること。
八雇用保険部会報告に示された新たな国庫繰入制度の運用の考え方を尊重し、雇用保険法第七十二条における重要事項として労働政策審議会の意見を聴くとともに、省令等への規定について検討すること。
九超高齢化と人口減少に直面する我が国において、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大等の機能を担う雇用安定事業については、政府の雇用施策の中でもその位置付けや重要度がこれまで以上に高まっていることや、同事業が今般の新型コロナ禍で果たした役割等に鑑み、同事業について、国庫負担の在り方を含めた真摯な議論を早期に開始すること。
十令和六年度までに、育児休業給付等の国庫負担割合の引下げの暫定措置の見直しだけでなく、育児休業給付の財源確保の在り方を含め、雇用労働者に限らず、フリーランスとして就業する者などを含む全ての働く者の育児・子育てを広く社会で支援する体制の構築を検討すること。あわせて、男性の出生時育児休業及び育児休業の取得促進に向けて、先般の改正法の施行状況を踏まえた上で、更なる施策の充実を検討すること。
十一失業等給付の積立金からの借入額に係る雇用安定資金からの返済必要額については、労使が拠出した失業等給付に係る保険料を保全する観点から、返済の在り方について、一般会計からの繰入れとの関係も含めて検討すること。その際、雇用保険二事業の実施の状況、使用者側の負荷の状況等を勘案すること。加えて、育児休業給付資金についても、失業等給付の積立金から借入れを行った場合には、同様の検討を行うこと。
十二失業者の再就職を促進するためには受け皿となる産業・企業、雇用機会の創出が不可欠であり、厚生労働省においても、雇用政策の一環として、必要な予算措置を行った上で、地域における雇用機会の創出にこれまで以上に取り組むこと。
十三雇用調整助成金等については、特に業況が厳しい企業・地域において、今後も最大十分の十の特例措置を含め、あらゆる必要な制度設計や手続の検討を行うこと。特例として創設された休業支援金制度の効果、適用対象範囲の妥当性及び申請手続の在り方等について検証を行い、休業を余儀なくされた方の支援に関する実効性のある仕組みの検討を行うこと。
十四改正後の職業安定法の規定により新たに対応が必要となる苦情処理体制の整備や募集情報の的確表示等の措置が全ての募集情報等提供事業者において確実に実施されるよう、従前の募集情報等提供事業者に加え、募集情報等提供事業の定義の拡大により新たに募集情報等提供事業者となる事業者に対しても、改正内容の周知を徹底すること。
十五募集情報等提供事業者等が求人等に関する情報を正確かつ最新の内容に保つために講ずるべき措置等の内容については、事実と異なる募集情報を信じた結果、不利益を受ける者が生じることのないよう、求職者保護の観点を最大限重視した上で検討を進めること。
十六虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示によって不利益を受けた求職者を適切に救済できるよう、労働局等における相談体制を強化・拡充すること。また、募集情報等の的確性を確保することは労働市場が的確かつ効率的に機能するために重要であることに鑑み、虚偽の表示等を繰り返すような悪質な事業者に対しては、立入検査や助言・指導、改善命令等の措置を躊躇なく実施すること。
十七業務委託や請負など雇用形態以外の仕事を仲介するサービスを利用して仕事を探す者の適切な保護が図られるよう、改正後の職業安定法の運用によって得られた知見やフリーランス・トラブル一一〇番に寄せられた相談内容等を踏まえて、必要な対策を検討すること。
十八雇用仲介サービスに係る人工知能の利用に関し、実態の把握及び調査研究を実施し、労働者保護の観点から、必要な対策を検討すること。
十九職業能力開発施策に係る財源も含めた労働者の職業能力開発機能の在り方について、幅広く労働政策審議会で議論を行うとともに、雇用保険二事業の能力開発事業、すなわち雇用保険制度の枠内での対応には限界もあることから、一般会計等の活用の検討を含め、関係省庁の連携を強化して政府全体で推進していくこと。
二十改正後の職業能力開発促進法第十五条により法定化される協議会の構成員の選定に当たっては、企業や地域の実情だけでなく、産業構造の変化とそれによる雇用の変化等に対応できるよう留意するとともに、多様な事情を持つ求職者や就労困難者の就職につながる訓練メニューの開発に資するよう、同条第一項第七号に規定する「その他関係機関が必要と認める者」を十分に活用するよう努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=120801014)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。