生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案
参議院 厚生労働委員会
令和6年法律第21号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生労働委員会
- R6.3.13趣旨説明厚生労働委員会 2318
- R6.3.15質疑厚生労働委員会 369
- R6.3.22質疑厚生労働委員会 494
- R6.3.26参考人招致・参考人質疑厚生労働委員会 5109
- R6.3.27質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議・修正案厚生労働委員会 6252
- R6.3.29委員長報告・採決(修正)本会議 1522
参議院厚生労働委員会
- R6.4.4趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明厚生労働委員会 4232
- R6.4.9質疑厚生労働委員会 5216
- R6.4.11参考人招致・参考人質疑厚生労働委員会 672
- R6.4.16質疑・討論・採決・附帯決議厚生労働委員会 7156
- R6.4.17委員長報告・採決本会議 1234
提案理由
武見敬三 厚生労働大臣 令和6年3月13日ただいま議題となりました生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
単身高齢者世帯の増加や、持家比率の低下等が進む中、今後、高齢者や生活困窮者等の住まいに関する支援のニーズはますます増加していきます。また、世代を超えた貧困の連鎖を防止するため、生活保護世帯の子供について早期から支援につなげつつ、その自立に向けた環境整備を促進するとともに、多様で複雑な課題を抱える生活困窮者等に対する支援体制を強化していくことが求められています。
こうした状況を踏まえ、生活困窮者等に対する安定的な居住確保の支援、生活保護世帯の子供に対する支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、生活困窮の相談窓口等における居住支援の明確化、住居確保給付金の支給対象者の拡充、生活困窮者に対して日常生活の見守り支援等を行う事業の努力義務化等を通じて、住まいの確保に関する相談から入居後の支援まで、切れ目のない支援を推進いたします。また、無料低額宿泊所について、事前届出の実効性確保のための措置を講じます。
第二に、子育て中の生活保護世帯への訪問等により、学習、生活環境の改善等に関する相談、助言等を行う事業を創設をいたします。また、生活保護世帯の子供が高等学校等卒業後に就職して自立する場合に、生活基盤を確立することができるよう、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することといたします。
第三に、生活困窮者の家計改善を支援する事業の国庫補助率を引き上げ、同事業の全国的な実施を推進するとともに、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との間で切れ目のない支援を実現できるよう、被保護者が生活困窮者向けの事業を利用できる仕組みを創設いたします。また、多様で複雑な課題を抱える生活困窮者等への支援を強化するため、支援関係者が情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置を推進します。
第四に、生活保護制度における医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を図るため、都道府県が広域的な観点からデータの分析等を行い、市町村に情報提供等の援助を行う仕組みを創設いたします。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和七年四月一日としております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。
御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。
第213回国会衆議院厚生労働委員会議録第2号43頁(令和6年3月13日)〔武見敬三厚生労働大臣発言・発言番号316〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一「住まい」は生活の基盤そのものであり、その確保に向けて入居時から入居中、退居時までの切れ目のない居住支援の体制を構築するため、住宅セーフティネット制度や居住支援法人との連携、空き家・公営住宅の活用も含め、居住支援に関する省庁横断的な施策の推進を図ること。また、生活困窮者居住支援事業の全国的な実施に向け、小規模自治体での広域実施の推進等、実施率の向上に資する効果的な支援策を講ずること。
二本法による見直し後の生活困窮者住居確保給付金の支給状況を把握するとともに、生活困窮者等が安心して暮らせる居住保障のあり方について引き続き議論を継続すること。
三子どもの貧困への対応として、子ども食堂等、学校や家庭以外の子どもの居場所の充実を図るとともに、重層的支援体制整備事業との連携を強化すること。また、教育行政やこども家庭庁の施策とも連携を図りつつ、被保護世帯の子どもの大学等への進学を促進するために必要な施策を行うこと。
四生活困窮者自立相談支援事業の機能を強化するため、社会福祉士等、専門性を持つ専任職員を配置するとともに、地域の実情に応じた適切な人員体制が確保されるよう、良質な人材確保を促す補助体系に見直すなど、相談支援員の処遇改善による人材確保及び定着促進を図ること。また、相談支援員の研修の充実などスキルの向上や資格の取得を支援するための必要な措置を講ずること。
五生活困窮者の早期支援につなげられるよう、支援会議等の設置を更に促進すること。その際、現場の業務負担に留意し、既存会議の活用等、効率的な運用の促進に努めること。
六生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業の質の改善を図るとともに、自治体間格差を是正するため、好事例の横展開、未実施自治体への丁寧な支援などで平準化を図りつつ、両事業の全国的な実施を目指すための方策を検討すること。
七生活困窮者就労準備支援事業における就労体験先への交通費負担を軽減する予算措置を実効的なものとすること。
八支援対象者の社会参加や就労体験・訓練の場をより多く確保し、地域で支える体制を整備するため、認定就労訓練事業者の認定方法を工夫するとともに、事業者に対する優先発注、税制優遇、事業の立上げ支援等の経済的インセンティブの活用や支援ノウハウの提供など、受皿となる団体や企業が取り組みやすい環境を整備すること。
九生活困窮者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業及び居住支援事業の全国的な実施等を図るための指針を策定するに当たっては、委託先となる法人の財政基盤の安定化及び相談支援員の処遇改善を図るため、地方自治体による委託先の選定において、複数年度契約の方法も採りうることや、経費の多寡のみで評価するのではなく、支援の質や実績、地域の実情への理解や関係機関との連携状況を総合的に評価すべきことを明記すること。
十生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携強化に当たっては、被保護者が生活困窮者向けの事業に参加する場合でも、ケースワーカーと連携し、保護の実施機関が継続的に関与する仕組みとするとともに、現場の業務負担の増加により支援の質が低下しないよう、両制度の実施機関の適切な人員体制を確保すること。
十一医療扶助の適正化を推進するとともに、地方自治体のガバナンス強化の観点から、被保護者の国民健康保険や後期高齢者医療制度への加入について検討を深めること。また、不正請求を行った医療機関の指定取消しを徹底すること。
十二地方自治体における保護の実施体制については、その質及び量の両面において必ずしも十分とは言えないのが現状であることに鑑み、本法に定めた被保護者等に対する支援施策の確実な実施を図るため、地方交付税措置の更なる拡充を含む必要な措置を講ずるよう検討すること。
十三社会福祉協議会における緊急事態対応の仕組みについて、平時から検討を行うこと。
十四ひきこもりを対象としたいわゆる「引き出し屋」による被害防止のために必要な措置を講ずるとともに、当事者及びその家族に対して生活困窮者自立相談支援事業やひきこもり地域支援センターの周知、アウトリーチの強化を行うこと。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一「住まい」は生活の基盤そのものであり、その確保に向けて入居時から入居中、退居時までの切れ目のない居住支援の体制を構築するため、住宅セーフティネット制度や住宅確保要配慮者居住支援法人との連携、空き家・公営住宅の活用も含め、居住支援に関する省庁横断的な施策の推進を図ること。また、生活困窮者居住支援事業の全国的な実施に向け、小規模自治体での広域実施の推進等、実施率の向上に資する効果的な支援策を講ずること。
二本法による見直し後の生活困窮者住居確保給付金の支給状況を把握するとともに、生活困窮者等が住居を確保し、安心して暮らせるよう、居住保障の在り方について引き続き議論を継続すること。
三貧困者の窮迫に付け込む貧困ビジネスの実態と原因について把握し、必要な対策を講ずること。
四子どもの貧困への対応として、子ども食堂等、学校や家庭以外の子どもの居場所の充実を図るとともに、重層的支援体制整備事業との連携を強化すること。また、教育行政やこども家庭庁の施策とも連携を図りつつ、被保護世帯の子どもの大学等への進学を促進するために必要な施策を行うこと。
五生活困窮者自立相談支援事業の機能を強化するため、社会福祉士等、専門性を持つ専任職員を配置するとともに、地域の実情に応じた適切な人員体制が確保されるよう、良質な人材確保を促す補助体系に見直すなど、相談支援員の処遇改善による人材確保及び定着促進を図ること。また、相談支援員の研修の充実などスキルの向上や資格の取得を支援するための必要な措置を講ずること。
六生活困窮者の早期支援につなげられるよう、生活困窮者自立支援法に規定する支援会議等の設置を更に促進すること。その際、現場の業務負担に留意し、既存会議の活用等、効率的な運用の促進に努めること。
七生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業の質の改善を図るとともに、自治体間格差を是正するため、好事例の横展開、未実施自治体への丁寧な支援などを行い、広域連携等の必要な環境整備に努め、両事業の全国的な実施を目指すこと。
八生活困窮者家計改善支援事業が、本人の尊厳の確保に配慮しつつ行われ、また、私生活への行き過ぎた介入が行われることがないよう、関係機関に改めて周知を行うこと。
九生活困窮者就労準備支援事業における就労体験先への交通費負担を軽減する予算措置を実効的なものとすること。
十支援対象者の社会参加や就労体験・訓練の場をより多く確保し、地域で支える体制を整備するため、認定生活困窮者就労訓練事業者の認定方法を工夫するとともに、事業者に対する優先発注、税制優遇、事業の立上げ支援等の経済的インセンティブの活用や支援ノウハウの提供など、受皿となる団体や企業が取り組みやすい環境を整備すること。
十一生活困窮者就労準備支援事業、生活困窮者家計改善支援事業及び生活困窮者居住支援事業の全国的な実施等を図るための指針を策定するに当たっては、委託先となる法人の財政基盤の安定化及び相談支援員の処遇改善を図るため、地方自治体による委託先の選定において、複数年度契約の方法も採り得ることや、経費の多寡のみで評価するのではなく、支援の質や実績、地域の実情への理解や関係機関との連携状況を総合的に評価すべきことを明記すること。
十二生活困窮者自立支援制度は誰もが利用者になり得ることから、必要な者に支援が届くように、引き続き必要な予算をしっかりと確保するとともに、支援が分かりやすいものであることを確保すること。
十三生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携強化に当たっては、被保護者が生活困窮者向けの事業に参加する場合でも、ケースワーカーと連携し、保護の実施機関が継続的に関与する仕組みとするとともに、現場の業務負担の増加により支援の質が低下しないよう、両制度の実施機関の適切な人員体制を確保すること。
十四医療扶助の適正化を推進するとともに、地方自治体のガバナンス強化の観点から、被保護者の国民健康保険や後期高齢者医療制度への加入について検討を深めること。また、不正請求を行った医療機関の指定取消しを徹底すること。
十五地方自治体における保護の実施体制については、その質及び量の両面において必ずしも十分とは言えないのが現状であることに鑑み、本法に定めた被保護者等に対する支援施策の確実な実施を図るため、地方交付税措置の更なる拡充を含む必要な措置を講ずるよう検討すること。
十六生活保護の申請、利用に当たっては、被保護者就労準備支援事業及び被保護者家計改善支援事業の利用を条件とするようないわゆる「水際作戦」はあってはならないことを地方自治体に周知徹底すること。
十七社会福祉協議会における緊急事態対応の仕組みについて、平時から検討を行うこと。
十八ひきこもりを対象としたいわゆる「引き出し屋」による被害防止のために必要な措置を講ずるとともに、当事者及びその家族に対して生活困窮者自立相談支援事業やひきこもり地域支援センターの周知、アウトリーチの強化を行うこと。
十九居住支援は生活困窮者支援の最重要課題の一つであることから、本法による見直し後の諸施策の達成状況を確認すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=121301009)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。