円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案
参議院 経済産業委員会
令和7年法律第67号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院経済産業委員会
- R7.5.21趣旨説明経済産業委員会 15216
- R7.5.23質疑経済産業委員会 16134
- R7.5.28質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)・附帯決議・修正案経済産業委員会 17145
- R7.5.30委員長報告・採決(修正)本会議 3033
参議院経済産業委員会
- R7.6.3趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明経済産業委員会 129
- R7.6.5質疑・討論・採決・附帯決議経済産業委員会 13273
- R7.6.6委員長報告・採決本会議 2548
提案理由
武藤容治 経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構) 令和7年5月21日円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
日本企業の債務残高は、昨年六月には約七百兆円となり、コロナ禍前に比べて約百二十兆円増加しています。また、昨年の倒産件数は十一年ぶりに一万件を超えた状況であります。今後の円安や物価高、人手不足の状況等を踏まえると、債務負担が収益性向上の事業活動の足かせとなって事業再生の機会を逃し、倒産に至る企業が更に増加するおそれがあります。
こうした経済社会情勢の動向を受け、事業者が早期での事業再生に取り組み、事業価値の毀損や技術及び人材の散逸を回避できる制度基盤を整備し、経済の新陳代謝機能を強化しておくことが重要です。
こうした観点から、経済的に窮境に陥るおそれのある事業者の円滑な事業再生の実施を図るため、事業者の金融債務に係る権利関係の調整を行うことができる手続の創設等の措置を講ずるべく、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、本法律案に定める手続を利用する事業者に対して金融機関等が有する貸付債権等を対象債権と定義するとともに、対象債権を有する者であって手続開始の通知を受けた者を対象債権者と定義します。
第二に、対象債権者の権利の変更に関する手続を整備します。具体的には、経済的窮境に陥るおそれのある事業者が、事業者に対して貸付債権等を有する金融機関等の権利を変更しようとするときは、指定確認調査機関に申請し、権利の変更に関する方針が金融機関等の一般の利益に適合する見込みがある等の一定の要件に該当する旨の確認を受けなければならないこととします。また、同機関の確認を受けた事業者は、権利の変更に関する議案を決議するために対象債権者集会を招集することとするとともに、対象債権者集会において議案を可決する決議があったときは、裁判所に認可の申立てをしなければならないこととします。さらに、裁判所は、手続が法令に違反することや一般の利益に反すること等の一定の事項に該当する場合を除き、決議の認可を決定することとし、認可の決定により、対象債権者の権利の変更の効力が生じることとします。
第三に、経済産業大臣は、対象債権者の権利の変更に関する手続に関する業務を適確に実施するに足る経理的及び技術的な基礎を有する等の要件に該当する法人を指定確認調査機関として指定することができることとするとともに、同機関の監督のための所要の措置を講ずることとします。
以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
第217回国会衆議院経済産業委員会議録第15号32頁(令和7年5月21日)〔武藤容治経済産業大臣発言・発言番号214〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。
一本制度において、特に技術や人材の散逸を回避することや、従業員の協力の下で円滑に早期事業再生計画が実施されることが重要であることに鑑み、対象債権者や確認事業者の労使等となり得る関係者に対し、本制度の位置付け等について適切な情報提供を行うこと。
二早期事業再生に向け、確認事業者が会社分割や事業譲渡等によってその従業員の雇用や労働条件の変更等を実施する可能性がある場合は、過半数労働組合等との協議を通じてその理解と協力を得るよう促すとともに、早期事業再生計画にそれら協議の状況を明記することとし、指定確認調査機関による調査の対象とするとともに、上記の趣旨を踏まえ、確認事業者が労働組合との協議のために情報提供を行う場合には、手続開始の公告をせず権利変更の対象を金融債務に限定することで事業価値の毀損の回避を図るという本制度の趣旨に鑑み、情報の秘密保持が適切になされるための必要な措置を、指定確認調査機関がその業務規程において定める事項とすること。
三権利変更決議については、早期事業再生計画に基づく雇用や労働条件の変更等のほか確認事業者とその労働組合による労働協約等の変更等に法的な効力を及ぼすものでないことを明確にし、濫用的な取扱いがなされないよう必要な措置を講ずるとともに、認可後においても早期事業再生計画に基づく確認事業者の取組が従業員の協力の下で円滑に行われているかどうか等に留意し、必要に応じて適切に対応すること。
四指定確認調査機関の指定をする際には、対象債権者の権利変更手続全体の円滑な実施、早期事業再生計画の適確な調査、確認調査員の適正な選任等を実施するために十分な能力を有しているかどうか、特に確認をすること。
五確認調査員の選任については、そのプロセスの透明性を高めるとともに、多数決により金融債務の権利変更を行うことが可能になることを踏まえ、その選任要件は事業再生ADRにおける手続実施者に比較して、より厳格に定めること。また、確認調査員の見識を高め経験値を共有できるようにするため、研修の機会等の充実を図ること。
六中小企業の事業再生支援については、物価高や人手不足等の厳しい経営環境の中でその必要性が高まっていることを踏まえ、中小企業活性化協議会や中小企業の事業再生等に関するガイドライン等を活用した既存の支援に当たり、関係機関の緊密な連携の下で事業者に寄り添った支援を一層充実させること。
七本法の手続開始の要件が民事再生法等から緩和されていることを踏まえ、債務調整の必要性がない事業者が本制度を濫用することで債権者の利益が不当に害されることがないよう、指定確認調査機関が本制度の利用要件を確認する際に濫用を図る事業者を適切に排除するための運用における留意すべき点を整理し、広く周知・広報を行うこと。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一本制度において、特に技術や人材の散逸を回避することや、従業員の協力の下で円滑に早期事業再生計画が実施されることが重要であることに鑑み、対象債権者や確認事業者の労使等となり得る関係者に対し、本制度の位置付け等について適切な情報提供を行うこと。
二早期事業再生に向け、確認事業者が会社分割や事業譲渡等によってその従業員の雇用や労働条件の変更等を実施する可能性がある場合には、過半数労働組合等との協議を通じてその理解と協力を得るよう促すとともに、早期事業再生計画にそれら協議の状況を明記することとし、指定確認調査機関による調査の対象とすること。また、上記の趣旨を踏まえ、確認事業者が労働組合との協議のために情報提供を行う場合には、手続開始の公告をせず権利変更の対象を金融債務に限定することで事業価値の毀損の回避を図るという本制度の趣旨に鑑み、情報の秘密保持が適切になされるための必要な措置を、指定確認調査機関がその業務規程において定める事項とすること。
三権利変更決議については、早期事業再生計画に基づく雇用や労働条件の変更等のほか確認事業者とその労働組合による労働協約等の変更等に法的な効力を及ぼすものでないことを明確にし、濫用的な取扱いがなされないよう必要な措置を講ずるとともに、その効力の発生後においても早期事業再生計画に基づく確認事業者の取組が従業員の協力の下で円滑に行われているかどうか等に留意し、必要に応じて適切に対応すること。
四指定確認調査機関の指定をする際には、対象債権者の権利変更手続全体の円滑な実施、早期事業再生計画の適確な調査、確認調査員の適正な選任等を実施するために十分な能力を有しているかどうか、特に確認をすること。
五確認調査員の選任については、そのプロセスの透明性を高めるとともに、多数決により金融債務の権利変更を行うことが可能になることを踏まえ、その選任要件は事業再生ADRにおける手続実施者に比較して、より厳格に定めること。また、確認調査員の見識を高め経験値を共有できるようにするため、研修の機会等の充実を図ること。
六本法の手続開始の要件が民事再生法等から緩和されていることを踏まえ、債務調整の必要性がない事業者が本制度を濫用することで債権者の利益が不当に害されることがないよう、指定確認調査機関が本制度の利用要件を確認する際に濫用を図る事業者を適切に排除するための運用における留意すべき点を整理し、広く周知・広報を行うこと。
七中小企業の事業再生支援については、物価高や人手不足等の厳しい経営環境の中でその必要性が高まっていることを踏まえ、中小企業活性化協議会や中小企業の事業再生等に関するガイドライン等を活用した既存の支援に当たり、関係機関の緊密な連携の下で事業者に寄り添った支援を一層充実させること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=121701033)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。