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高裁判決控訴棄却高刑集15巻3号186頁

東京高判 昭和37年4月18日

昭和36年(う)第188号 犯人隠避恐喝未遂暴行被告事件

裁判所
東京高等裁判所第五刑事部
裁判年月日
昭和37年4月18日 (1962-04-18)
事件番号
昭和36年(う)第188号
事件名
犯人隠避恐喝未遂暴行被告事件
裁判の種類・結果
判決 控訴棄却
判例集等
高刑集15巻3号186頁
分野
刑事

判示事項

犯人が不起訴処分を受けた場合と犯人隠避罪の成否

裁判要旨

罸金以上の刑に該る罪を犯したものとして逮捕状が発布されている者であることを知りながら、その逮捕を免れしめる意図の下に、犯人を隠避せしめた以上、その後犯人が不起訴処分を受けたとしても、犯人隠避罪の成立に影響はない。

主文

本件各控訴を棄却する。

理由

本件各控訴の趣意は、末尾に添付した被告人らの弁護人細野良久各作成名義の控訴趣意書と題する書面記載のとおりであつて、これに対し、当裁判所は、弁護人の請求により、事実の取調として、A、Bをそれぞれ証人として尋問した上、次のとおり判断する。

被告人Cに関する論旨第二(事実誤認)について。

論旨は、原判決認定の犯人Dを隠避せしめた事実について、被告人に右Dを隠避せしめる意思は更にないばかりでなく、右Dは結局原判示のE株式会社社長Fに対する殺人未遂被疑事件について不起訴となつている事実に鑑み、被告人が犯人でない右Dに金員を供与しても犯人隠避罪を構成しないから原判決の認定は事実を誤つたものであつて、破棄を免れないというのであるか、原判決が事実認定に供した関係証拠を逐一検討すると、それらの証拠によつて犯意の点を含めて優に原判示の被告人がDを隠避せしめた事実を認定することができるのであつて記録を精査しても原判決には所論のような事実誤認の廉はない。論旨は右Dが前記殺人未遂被疑事件について不起訴となつた事実を捉えて本件犯罪の不成立を主張するが、およそ刑法第一〇三条の規定は司法に関する国権の作用を妨害する者を処罰する趣旨であるから(最高裁判所刑事判例集第三巻第九号一四四〇頁参照)現に捜査が行われている被疑事件に関連して罰金以上の刑に該る罪を犯したものとして逮捕状が発布されている者であることを知りながらその逮捕を免れしめる意図の下に犯人を隠避せしめれば直ちに犯人隠避の罪が成立し、よしんばその後犯人が当該被疑事件につき不起訴処分を受けたとしても、一旦成立した犯人隠避罪に何ら消長を来すものではないと解するのが相当であつて、被告人が前記Dをして逮捕を免れしめるため、同人に逃走のための資金を供与した当時、Dに対する逮捕状が発布されていて、所論のE株式会社社長Fに対する殺人未遂被疑事件が現に捜査中のものであつたことは証拠上疑いのないところであるから、所論のように被告人が本件で起訴された後、何らかの事由で右Dが不起訴処分を受けたとしても、そのために被告人の本件刑事責任が解消される理由は少しもないのである。所論は独自の見解に立脚して原判決の事実誤認を主張するもので採用の限りでない。従つて論旨は理由がない。

(その他の判決理由は省略する。)

(裁判長判事小林健治判事松本勝夫判事太田夏生)

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/21189/detail3/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。