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高裁棄却高民集11巻9号545頁

広島高判 昭和33年10月21日

昭和32年(ツ)第27号 和解手続無効確認請求事件

裁判所
広島高等裁判所第三部
裁判年月日
昭和33年10月21日 (1958-10-21)
事件番号
昭和32年(ツ)第27号
事件名
和解手続無効確認請求事件
裁判の種類・結果
 棄却
判例集等
高民集11巻9号545頁
分野
民事

判示事項

裁判上の和解に商法第二六二条適用の有無

裁判要旨

裁判上の和解は一面訴訟行為であるから私法上の法律行為に関する規定である商法第二六二条の適用はないものと解すべきである。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

本件上告理由は末尾添付の上告代理人提出の上告理由書の通りで、これに対して次のように判断する。

第一点について

裁判上の和解の法律上の性質については種々の見解があるが一面において訴訟行為であることは間違いなく、只一般にその成立の過程において私法行為の面に重点が置かれているに過ぎない。

従つてそれが有効に成立するためには訴訟法上も私法上も共に有効であることを要すると解するところ、原判決の確定したところによると、本件和解手続において被上告会社が参加しているのは無権限者Aによつてなされたもので代理権が欠缺しているに拘らず今日に至るまで裁判所に対して追認がなされていないと謂うのであるから、被上告会社と上告人間の本件裁判上の和解が無効であることは勿論である。所論のように商法第二六二条の表見代表取締役の規定が本件和解の私法上の契約の面において適用ありと解される余地のあることは格別、本件裁判上の和解は前示のように訴訟行為であるから私法上の法律行為に関する規定従て商法第二六二条の規定の如きも適用なしと解するのが相当である。如上と同趣旨の見解の下に本件裁判上の和解は訴訟行為であり上告人、被上告人間の無権限者Aの行為によるものとして無効と解した原判決はもとより相当で、所論のように法律解釈、適用を誤つた不法もなく、理由を明白に示さない不備もないものと謂うべく、結局所論は裁判上の和解が訴訟行為である面を看過し専ら私法上の契約の面を強調して原判決を論難するものでこれを採用し難い。

第二点について

所論の原判決の説示は用語において不足し事実の認定と法的判断が合一してなされていて所論のような誤解を招く嫌いはあるが被上告会社が裁判上の和解金の内払として金一万円を支払つて黙示の追認をなした事実は各証拠によつても認められないと説示して追認の事実関係を否定していることが明白である。従て無権代理追認に関する法の適用を判示する要をみなかつたものであるから所論のような理由を附しない不法は存しない。

以上のように論旨は採用できないので本件上告を棄却することとし民事訴訟法第四〇一条第三九六条第三八四条第九五条第八九条を適用して主文のように判決した。

(裁判長裁判官 岡田建治裁判官 佐伯欽治裁判官 松本冬樹)

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/23391/detail3/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。