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最高裁第一小法廷判決棄却刑集6巻12号1429頁

最一小判 昭和27年12月25日

昭和25年(れ)第1929号 傷害

判示事項

弁護権を制限したと認められない事例

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裁判所
最高裁判所第一小法廷
裁判年月日
昭和27年12月25日 (1952-12-25)
事件番号
昭和25年(れ)第1929号
事件名
傷害
裁判の種類・結果
判決 棄却
判例集等
刑集6巻12号1429頁
集刑71号601頁
原審
東京高等裁判所  昭和25年9月29日
分野
刑事
意見
裁判官全員一致個別意見なし

判示事項

弁護権を制限したと認められない事例

裁判要旨

被告人に甲、乙両弁護人がある場合、公判調書に甲弁護人は別紙弁論要旨に基いて弁論をなしたと記載してあるのに、同公判調書の末尾に編綴してある同弁護人の弁論要旨には相被告人の弁論のみ記載してあつて、直接被告人の弁論に触れた事項が記載してなくても、右公判調書によれば乙弁護人が甲弁護人とともに同公判に出廷し、被告人のために詳細な弁論をし、また甲弁護人に対しても弁論の機会が与えられたことが明らかで、これが弁論を妨げた事跡の窺われないときは、その弁護権の制限があつたとはいえない。

参照法条

旧刑訴法410条

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人徳岡二郎の上告趣意は末尾添付の別紙書面記載のとおりである。論旨第一点について。

しかし、原審第一回公判調書によると、被告人は裁判長より公訴事実について陳述すべきことの有無を問われて「別にない」と答え(記録五一六丁裏)、司法警察官意見書記載の昭和二二年一一月七日の強盗傷人の公訴事実を解示の上「この事実はどうか」と問われたのに対しても「沈を殴つて傷を負わせたことは相違ありません」と答え(同五一七丁)、又、論旨が自ら摘記しているとおり、「どういうわけで殴りましたか」と尋ねられて「私は腹もたちましたが密酒等をさせない為めに殴りました」と答えた旨の記載がある。これ等の記載によつて観ると、被告人は原審公判廷で、少くとも、原判示の日時、場所でAを殴打したことだけはこれを認めたものということができる。従つて、原判決が被告人のかかる供述を証拠として採用したのは固より正当で、これを目して虚無の証拠を採つた違法があるということはできない。

又、所論司法警察官の被告人に対する訊問調書(記録一二七丁乃至一四二丁)は、一五葉より成る書面であるが、その形式及び内容よりいえば、これが編綴の順序には明らかに前後していると認められる個所があるのであつて、記録に一三八丁として編綴してある部分(第一二葉)裏面末行には曹京換の氏名の下に被告人のものと認むべき拇印が為されていることが明らかであるから、右訊問調書を以つて被告人の拇印を欠く無効なものということはできない。従つて、原判決がこれを採証したからといつて証拠能力のない書面を証拠とした違法があるとすることはできない。論旨はいずれも理由のないものである。

同第二点について。

本件公判請求書に司法警察官作成の意見書を引用してあることは所論のとおりであつて、その意見書を精査すると、同書面の毎葉にはその作成者たる司法警察官千葉県警部補Bの契印がしてあることが看取できるから、論旨は既にその前提において理由がない。

同第三点について。

しかし、原審第七回公判調書(記録五九四丁以下)によると、相弁護人徳岡二郎が所論村上弁護人と共に同公判に出廷し、被告人の為めに詳細な弁論をしており、又所論弁護人に対しても弁論の機会が与えられたことが明らかであつて、これが弁論を妨げた事跡は毫もこれを窺うことはできないから、たとい所論弁論要旨中に直接被告人に触れた事項が記載してなくても、これを以つて直ちに弁護権の制限であるということは無論できない。論旨は採用できない。

同第四点について。

しかし、記録を調べても、被告人並びに弁護人が原審で被告人の本件行為を論旨にいわゆる正当行為であるとの主張又は弁解をした形跡はなく、また、かゝる行為であることを疑わしめる特段の事情も見当らない。されば、原審がその点につき特に審判をしなかつたからといつて審理不尽であるということはできない。同第五点について。

所論は量刑不当の主張であつて、固より上告適法の理由でない。

よつて、刑訴施行法二条旧刑訴四四六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のように判決する。

検察官安平政吉関与。

昭和二七年一二月二五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩松三郎

裁判官 真野毅

裁判官 斎藤悠輔

裁判官沢田竹治郎は退官につき署名捺印することができない。

裁判長裁判官 岩松三郎

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/53404/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1349046)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。