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最高裁第一小法廷判決棄却民集20巻9号1697頁収録判例内の被引用 1

最一小判 昭和41年11月10日

昭和36年(オ)第1198号 約束手形金請求

裁判所
最高裁判所第一小法廷
裁判年月日
昭和41年11月10日 (1966-11-10)
事件番号
昭和36年(オ)第1198号
事件名
約束手形金請求
裁判の種類・結果
判決 棄却
判例集等
民集20巻9号1697頁
集民85号35頁
原審
東京高等裁判所 昭和35年(ネ)第2471号 昭和36年6月28日
分野
民事

判示事項

一約束手形の受取人欄の抹消と手形の変造

二受取人欄の記載が変造された手形の所持人による手形金請求の許否

裁判要旨

一約束手形の受取人欄の記載が無権限で抹消された場合は手形の変造にあたり、振出人は、変造前の文言に従つて責任を負う。

二前項の場合、変造後の当該手形の所持人は、当初の受取人から同手形を取得した経路とその取得をもつて振出人に対抗しうる事由を主張立証しないかぎり、振出人に対し手形金の支払を請求することができない。

参照法条

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人伊賀満の上告理由について。

原審の認定したところによれば、被上告会社は昭和三四年二月九日訴外株式会社D商店を受取人として金額三一八、一七〇円、満期同年二月二六日、振出地及び支払地ともに東京都中央区という約束手形一通を振出したところ、受取人である右訴外会社の代表者Eは擅に受取人欄の「株式会社D商店」という記載を完全に抹消し恰も受取人白地の約束手形たる外観を顕出した上、これをFに交付し、Fはその受取人欄に上告人の氏名を記入してこれを上告人に交付し、上告人は現に右手形を所持するというのであつて、右認定は挙示の証拠によつて肯認し得るところである。しかして、およそ約束手形の変造とは、署名以外の手形の内容を権限なくして変更することを意味するのであるから、受取人として記載されている文言を何等の権限なく抹消して、恰も受取人白地の手形たるごとき外観を呈せしめることも、変造に該当するものと解するを相当とする。この見解に立つとき、右認定の事実関係の下においては、本件約束手形について手形文言の変造があつたものと認むべきであり、右手形に振出人として署名した被上告人は、変造前の原文言に従い、すなわち受取人株式会社D商店という手形について責任を負うべきものなのである(手形法七七条一項、六九条参照)。従つて、上告人は受取人欄に自己の氏名の記載ある手形を所持するとの一事によつて、直ちに被上告人に対し本件手形金の支払を請求し得ないことは当然であり、上告人において自己が正当の手形所持人なりとしてその手形金の支払を請求するには、受取人株式会社D商店よりいかなる経路によつて本件手形を取得したかを明らかにし、その取得をもつて被上告人に対抗し得る所以、すなわち本件手形債権取得につき被上告人に対する関係において債権譲渡の対抗要件を充たしている所以を主張し立証しなければならないのである。しかるに、上告人はこの点について何等の主張立証をなさない以上、上告人が本件手形を取得するに当り善意なりしや否やを判断するまでもなく、上告人の本訴請求は失当である。従つて上告人の本訴請求を排斥した原審の判断は結局正当に帰する。それ故、論旨はいずれも採用に値しない。

よつて、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長部謹吾

裁判官 入江俊郎

裁判官 松田二郎

裁判官 岩田誠

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/53745/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1674008)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。