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最高裁第二小法廷判決棄却民集14巻13号2944頁収録判例内の被引用 1

最二小判 昭和35年12月2日

昭和35年(オ)第871号 当選の効力に関する訴願裁決取消等請求

裁判所
最高裁判所第二小法廷
裁判年月日
昭和35年12月2日 (1960-12-02)
事件番号
昭和35年(オ)第871号
事件名
当選の効力に関する訴願裁決取消等請求
裁判の種類・結果
判決 棄却
判例集等
民集14巻13号2944頁
集民47号127頁
原審
広島高等裁判所  昭和35年5月12日
分野
民事
意見
少数意見小谷勝重

判示事項

候補者の代表取締役である会社名を附記し同一姓の他の候補者の氏名を記載した投票の効力。

裁判要旨

a組が候補者A久市が代表取締役である会社名であるとしても、他の候補者A道徳の氏名を明記しa組を附記した投票は右A久市に対する有効投票とはいえない。

参照法条

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士岩田宙造、同山根篤、同伊達利知の上告理由、同倉重達郎の上告理由、同長谷川一郎の上告理由は別紙のとおりである。

上告代理人岩田宙造外二名上告理由第一点、同倉重達郎上告理由一の(2)乃至(4)、同長谷川一郎上告理由第一点について。

原判決(9)の投票はシゲミと読むことができるけれども、本件選挙の候補者中に重村、滋、重田D等類似の氏名がある以上、上告人の姓の誤記とは断ずることはできず無効とするよりほかはなく、原判決(10)の投票は上告人の姓と他の候補者E丈一の氏名を混記したものと解すべく、「丈一」を「久市」の誤記とも認め難いから、この一票を上告人に対する投票とは認め難く、また(11)の投票には、附記されているa組(またはその誤記)が上告人が代表取締役である会社であるにしても、現にA道徳なる候補者があり、その氏名が明確に記載されている以上、上告人に対する有効投票とはいえない。原判決が右三票を無効としたのは正当であつて論旨は理由がない。論旨援用の当裁判所昭和三二年九月二〇日判決及び同二七年七月六日判決は本件と場合を異にし本件の先例とすることはできない。上告代理人倉重達郎上告理由一の(1)、同長谷川一郎上告理由第二点の二について。

原判決(1)、(3)、(17)、(19)の各投票は、不正確な記載ではあるが候補者鵜原の姓を誤記したものと認めることができ、植田、上田の姓の候補者があつても、これらの姓の誤記とは認められない。原判決が右各投票を候補者鵜原Fに対する有効投票としたのは正当であつて、その無効を主張する論旨は採用できない。

上告代理人倉重達郎上告理由一の(5)、同長谷川一郎上告理由第二点の一について。

原判決は検証の結果に基いて、(18)の投票は全部誤字であつても、なお鵜原Fを名指したものと判断できるとしているのであつて、その無効を主張する論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官小谷勝重の少数意見を除き、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

裁判官小谷勝重の少数意見は次のとおりである。

私は、上告各代理人論旨中、(11)の投票を除いたその他の投票の効力については多数意見と同意見であるが、(11)の投票については、多数意見とその見解を異にする。

即ち上告人は当時株式会社a組の代表者であつた事実は原判決の確定するところである、右(11)「A道徳/a組」なる投票は、上告人たるA久市の外に候補者A道徳あるも、右a組なる記載は上告人に関する職業を記載したものと解するを相当と考える。そして職業の記載は公職選挙法六八条五号により投票として有効な記載であることは明らかである。

そこで、右職業であるa組との記載と、姓であるAの記載との関連より考察し、そして同法六七条後段の規定の趣旨にのつとり右投票をした投票者の意思を推測するとき、右は上告人A久市に投票する意思をもつて先ず氏名である「A道徳」と記載したが、名の記憶に疑があつたため、特に職業を追記したものと解するに足る客観性を有しておるものと私は考える。けだし本件の場合、仮りに「A」とだけの記載投票は公職選挙法六八条の二により有効投票として上告人及びA道徳との両候補者の有効投票数に按分されるであろうが、之に反し「a組A」又は「A/a組」との投票があつた場合、右は何れも上告人に対する有効投票と解すべきこと殆んど疑なきところであろう。本件右投票の氏名の記載はA道徳候補者の氏名と全く一致するけれども、姓を同一にする二人以上の候補者ある場合、なかんづく特に職業の記載がなされておる場合、そしてその職業が同姓候補者中の唯一人の職業に適合する場合の如き、公職選挙法六七条後段規定の趣旨たる、当該投票が何人に投票したかの投票者の意思を推究する資料としては最重要の地位にあるものと私は考える。それは同姓候補者が二人以上ある場合その名については往々記憶違いや或は記憶の混こうする場合はあるけれども、職業についてのそれは殆どないというて然るべきことは凡そ常識であり或は経験則であるといつても過言でなないと考える。そして成年者による普通選挙制(憲法一五条三項)が採用され、殊に選挙権の行使は主権在民制憲法下における主権行使の唯一の方法であり且つ投票の秘密は憲法一五条四項の保障するところ、それに基く無記名投票制であつてみれば、公職選挙法六七条後段の規定は極めて重要且つ適切な規定であるというべきであり、投票者の真意の追及について欠くるところなく力むべきである。即ち原判決は、本件(11)の投票はA久市に対するものか、A道徳に対するものか確認できず無効投票であると認定判断したのは、公職選挙法六七条の解釈を誤つたか、ないしは審理不尽の違法があり、そして以上私の考えの結果は上告人の得票は鵜原Fよりも結局〇・三四票の多数となること明らかであるから、上告人を当選人と判定すべきである。よつて原判決を破棄し当裁判所で以上の如く自判すべきものとの意見である。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小谷勝重

裁判官 藤田八郎

裁判官 池田克

裁判官 河村大助

裁判官 奥野健一

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/57728/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1674011)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。