TaiLexi AI日本の判例・法令
← ホーム
最高裁第三小法廷判決一部破棄差戻民集20巻4号548頁

最三小判 昭和41年4月12日

昭和38年(オ)第350号 所有権移転登記等抹消請求

裁判所
最高裁判所第三小法廷
裁判年月日
昭和41年4月12日 (1966-04-12)
事件番号
昭和38年(オ)第350号
事件名
所有権移転登記等抹消請求
裁判の種類・結果
判決 一部破棄差戻
判例集等
民集20巻4号548頁
集民83号91頁
原審
大阪高等裁判所 昭和35年(ネ)第997号 昭和37年12月18日
分野
民事
意見
裁判官全員一致個別意見なし

判示事項

権利移転経過の認定について弁論主義違反の違法があるとされた事例

裁判要旨

物件の所有者であることを理由とし、その物件についての所有権移転登記の抹消を求める訴訟において、被告が、抗弁として、原告が甲に対し代物弁済により右物件の所有権を移転した旨を主張したところ、原告から甲への所有権移転を認容したうえ、さらに、原告は甲から右物件を買い戻したが、後にこれを乙に対し譲渡担保として移転し、結局、原告は右物件の所有権を失つた旨を判示して原告の請求を排斥したのは、当事者の主張しない事実を認定した違法がある。

参照法条

主文

本訴請求中、被上告人B1、同B2、同B3、同B4に対し、第一番判決添付別紙目録記載の土地につきなされた大阪法務局受付昭和二九年八月二八日第一八、二九一号原因同年同月同日代物弁済予約の所有権移転請求権保全の仮登記の抹消登記手続を求める部分に関する本件上告を棄却する。

本訴請求中、その余の部分に関する原判決を破棄し、、右部分を原審大阪高等裁判所に差し戻す。

第一項の請求に関する上告費用は、上告人の負担とする。

理由

まず、上告人(原告)の本訴請求中、被上告人B1、同B2、同B3、同B4に対し、所有権移転請求権保全仮登記の抹消登記手続を求める部分に関する上告の当否について判断する。

上告代理人蝶野喜代松の上告理由第一点は、右仮登記の原因である代物弁済予約契約は、民法九〇条に違反し無効であるのに、原審は、上告人がこれを立証するために申請した鑑定の申出を採用せず、また、右被上告人らの被相続人D(一審被告)は上告人の軽卒、無経験に乗じて上告人と本件契約を締結したものであることが証拠上認められるのであるから、原判決は、法律解釈の誤り、理由不備の違法があるという。

しかしながら、原判決およびその引用する第一審判決挙示の証拠によれば、この点に関する原判決の事実認定は肯認できるから、原判決に所論の違法があるということはできない。論旨は採用できない。

なお、右上告代理人のその余の上告理由は、右仮登記の抹消登記手続請求に関するものではない。

よつて、本件上告中、右請求に関する部分は理由がない。

つぎに、本訴請求中、被上告人B1、同B2、同B3、同B4に対し、代物弁済を原因とする所有権移転登記の抹消登記手続を求める部分、および、被上告人(被告)B5に対し、売買を原因とする所有権移転登記の抹消登記手続を求める部分に関する上告の当否について判断する。

右上告代理人の上告理由第二点は、原判決に当事者の主張しない事実に基づいて判断した違法があるという。

原審における前記請求に関する当事者の主張は、上告人において、本件土地(第一審判決別紙記載の土地)は、上告人の所有であるが、有効な登記原因がないのに被上告人B1、同B2、同B3、同B4の被相続人であるDに対し大阪法務局受付昭和二九年一二月一〇日第二六、〇七五号をもつていた同年一一月二八日代物弁済を原因とする所有権移転登記がなされ、ついで、被上告人B5に対し同局受付昭和三〇年一二月一四日第二四、九〇四号をもつてした同年同月同日売買を原因とする所有権移転登記がなされているから、被上告人らに対し、それぞれその抹消登記手続を求める旨主張し、被上告人らにおいて、上告人の本件土地に対する所有権喪失原因として、右Dは、上告人に対し金六五万円を貸与し、右貸付金に対する停止条件付代物弁済契約の条件成就もしくは代物弁済予約契約に基づく予約完結の意思表示により上告人より本件土地の所有権を取得し、上告人主張のD名義所有権移転登記手続をなした。そして、その後、Dは、Eに対し本件土地を譲渡し、被上告人B5名義で上告人主張の所有権移転登記手続をなした旨主張したものであること記録上明らかである。

原判決は、その理由において、本件土地が代物弁済によりDに所有権が移転した旨認定したが、さらに進んで、上告人は、その後Eより金八五万円を借り受けてDより本件土地を買い戻し、Eに対し本件土地を右借入金の売渡担保として譲渡し、二箇月の期間内に金九五万円で買い戻しうる旨約したが、上告人において右買戻期間を徒過したので、Eの子供である被上告人B5名義に所有権移転登記手続がなされたものであつて、上告人は、一旦取り戻した本件土地の所有権を右のようにして失つたものであるから、上告人の請求は理由がない旨を判示したものであることは所論のとおりである。

しからば、原判決は、上告人において本件土地をDより買い戻した旨を認定した以上、上告人が現に本件土地所有権を有しないのは、上告人よりEへ本件土地を譲渡したという理由によるものであつて、Dが上告人より本件土地を代物弁済により取得したという理由によるものではないといわなければならない。しかるに、上告人よりEへの本件土地譲渡の事実は、原審口頭弁論において当事者の主張のない事実であるから、原判決は、当事者の主張のない事実により上告人の前記請求を排斥したものというべく、右の違法は判決に影響があること明らかであるから、原判決中前記請求関する部分は、その余の上告理由の当否について判断するまでもなく、この点において破棄差戻を免れない。

よつて、民訴法三九六条、三八四条、四〇七条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 柏原語六

裁判官 五鬼上堅磐

裁判官 横田正俊

裁判官 田中二郎

裁判官 下村三郎

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/57747/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1674035)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。