主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人根本孔衛の上告趣意第一、一について。
所論は判例違反を主張するけれども、引用の判例は、公職選挙法一四二条の選挙運動のためにする文書、図画の頒布とは、右文書図画を不特定又は多数人に対して頒布することを要するが、その現に配布を受けた者が特定の少数人にすぎない場合でも、そのものを通じて当然もしくは成行上不特定又は多数人に配布さるべき情況の下に配布したときは、右文書図画の頒布罪はそこに成立があるものと解するを相当とする旨判示するものであるところ、原判決も、同法一四八条二項にいう頒布とは不特定又は多数人に交付することを指称するものと解されるとし、被告人が本件各神奈川時事新報を、多数有権者に無料で新聞折込みにより配布することを企て、いずれも原判示新聞専売所であるAら四名方において、同人らにそれぞれ交付した以上、既に同法条にいわゆる頒布があつたとするに足りる旨判示していること原判文上明白であるから、原判決が右引用の判例に違反しているものとは認められない。所論は理由がない。
同二について。
所論は、原判決は同法一四八条にいう新聞紙の頒布行為の成立時点の解釈について最高裁判所の判例に違反している旨主張するけれども、原判決は、右に摘記したとおり判示しているのであるから、所論の点についても、何ら引用の判例に違反する判断を示しているものとは認められない。所論は理由がない。
同三について。
所論は、原判決は右頒布の既遂の時期の解釈について判例に違反している旨主張するけれども、原判決の右判示は、所論の点についても、引用の最高裁判所判例に違反する判断を示したものとは認められず、また、引用の各大審院判例は事案を異にする本件には不適切であり、所論の実質は単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
同第二について。
所論は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。また、記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて、同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。昭和四〇年一一月二日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 柏原語六
裁判官 五鬼上堅磐
裁判官 横田正俊
裁判官 田中二郎
裁判官 下村三郎
出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/58905/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1349102)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。