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高裁判決原判決取消

東京高判 平成14年10月23日

平成13年(ネ)第5691号 各給付金請求控訴,同附帯控訴

AI 要約AI

保険契約者が告知書の「過去5年以内に、病気やケガで、7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬」との質問に「いいえ」と回答したが、初診から終診まで約1か月間医師の管理下にあった場合に、悪意又は重過失による告知義務違反があるとされた事例。

ほか 1 項目を見る ↓AI が判決本文から作成した要約です(誤りを含む可能性があります)。
裁判所
東京高等裁判所第20民事部
裁判年月日
平成14年10月23日 (2002-10-23)
事件番号
平成13年(ネ)第5691号
事件名
各給付金請求控訴,同附帯控訴
裁判の種類・結果
判決 原判決取消
判例集等
—
原審
東京地方裁判所 平成12年(ワ)第16924号
分野
民事

AI 要約AI

要旨

  • 保険契約者が告知書の「過去5年以内に、病気やケガで、7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬」との質問に「いいえ」と回答したが、初診から終診まで約1か月間医師の管理下にあった場合に、悪意又は重過失による告知義務違反があるとされた事例。
  • 主としてガンに罹患したことに関連して保険給付を行う疾病保険契約において、慢性C型肝炎、肝硬変及び肝嚢胞に罹患していた事実は商法678条の重要な事実に該当し、告知しなかったことに悪意又は重過失があるとされた事例。
事案の概要・争点・判断などを表示

事案の概要

  • 亡Aは、控訴人との間で、同人を保険契約者兼被保険者とし、主としてガンに罹患したことに関連して保険給付を行う生命保険契約(チューリッヒ生命のガン保険)を締結した。
  • 亡Aは平成11年6月4日に肝細胞ガンと診断され、入退院を繰り返した末、平成13年12月19日に死亡し、子である被控訴人ら3名が各3分の1宛相続した。
  • 被控訴人Bは当初の保険金受取人として、亡Aは変更後の受取人として、控訴人に対し、ガン診断給付金150万円・入院給付金・退院療養給付金等の支払を求めた。原審は亡Aらの請求を認容した。
  • 亡Aは控訴提起後に死亡し、被控訴人らが訴訟を承継して附帯控訴により請求を拡張し、各215万円(うち各80万円に対する平成12年12月27日から、各135万円に対する平成14年4月20日から年6分の遅延損害金)の支払を求めた。

争点

  • 亡Aの告知事項③に対する「いいえ」との回答が悪意又は重過失による告知義務違反に当たり、本件保険契約が解除されたか否か。
  • 亡Aが慢性C型肝炎等に罹患していた事実を告知しなかったことが商法678条の解除事由に当たるか否か。
  • 亡Aの告知事項②に対する「いいえ」との回答が告知義務違反に当たるか否か。

判断

  • 告知事項③の解除の効力:告知事項③は、保険会社の説明、改正経過及び「7日間以上にわたる」と「継続して7日間以上」の文言の使い分けから、過去5年以内に初診から終診まで7日間以上医師の管理下にあったかを問う趣旨と解される。亡Aは平成8年5月8日の初診から同年6月5日の終診まで約1か月間医師の管理下にあったから、告知事項③に該当するのに「いいえ」と回答した。亡Aは当然この受診の事実を認識していたか容易に認識し得たから、悪意又は重過失があった。よって約款31条に基づき平成11年8月12日に有効に解除された。
  • 商法678条の解除の効力:慢性C型肝炎、肝硬変及び肝嚢胞は肝臓にガンを発症させる可能性のある疾患であり、これらの罹患事実は商法678条の重要なる事実に該当する。告知書に記載がない事項でも重要事実と判断される限り告知義務違反の問題が生ずる。本件告知時点において慢性C型肝炎が肝硬変や肝ガンに移行する可能性のある疾患であることは一般にも広く知られており、亡Aには悪意又は重過失があった。よって商法678条に基づく解除も有効である。

判旨(本文から引用)

  • 告知事項③の趣旨は,過去5年以内に,初診から終診まで7日間以上医師の管理下(観察下)にあったかどうかを問う趣旨の質問であると解するのが相当である。
  • 商法678条の重要なる事実とは,保険会社がその事実を知っていたならば契約を締結しないか,少なくとも同一の条件では契約を締結しなかったと客観的に認められるような被保険者の生命の危険を予測する上で影響のある事実(換言すれば,保険会社が当該保険契約における事故発生の危険率を測定しこれを引き受けるか否か及び保険料額を判断するに際し,その合理的判断に影響を及ぼすべき事実)をいうものと解される。

結論

  • 原判決を取り消す。
  • 被控訴人らの本件各請求(附帯控訴により当審で拡張された請求を含む。)をいずれも棄却する。
  • 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。

AI が本文から作成した要約です。引用の際は本文をご確認ください。

お知らせ

さきに掲載したこの判決の一部に判決原本の内容と相違する箇所がありましたので,平成15年8月1日に修正しました。

主文

1 原判決を取り消す。

2 被控訴人らの本件各請求(附帯控訴により当審で拡張された請求を含む。)をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。

事実

第1 当事者の求めた裁判

1 控訴人

主文と同旨

2 被控訴人ら

(1) 本件控訴を棄却する。

(2) 原判決主文第2項を次のとおり変更する(附帯控訴)。

控訴人は,被控訴人らそれぞれに対し,各215万円及びうち各80万円に対する平成12年12月27日から,うち各135万円に対する平成14年4月20日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(3) 当審における訴訟費用は,控訴人の負担とする。

第2 事案の概要

本件は,訴訟承継前の控訴人Aが,同人を保険契約者兼被保険者として,保険会社である控訴人との間に締結した,名称を「チューリッヒ生命のガン保険」とする主としてガン(悪性新生物)に罹患したことに関連して保険給付を行う生命保険契約の一種であるいわゆる疾病保険契約(以下「本件保険契約」という。)に基づいて,亡Aが肝臓ガンに罹患したことを理由に,控訴人に対し,被控訴人B(当初の保険金受取人)が,ガン診断給付金150万円及び入院給付金3万円合計153万円の支払,亡A(変更後の保険金受取人)が,入院給付金210万円及び退院療養給付金30万円合計240万円の支払並びにこれらの各金員に対する支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。原審は,亡Aらの請求を認容したが,亡Aは,控訴人より控訴が提起された後に死亡したため,その相続人である被控訴人らが,上記亡Aに係る訴訟を承継した上,附帯控訴を提起してその請求を拡張し,上記入退院後の亡Aを保険金受取人とする入院給付金315万円及び退院療養給付金90万円合計405万円について,これを各3分の1宛(被控訴人らにつき各135万円)相続したとして,その支払を求めている。

1 前提となる事実(証拠の摘示のない部分は,当事者間に争いがない。)

(1) 本件保険契約の締結

ア 亡Aは,別紙のとおり,平成10年10月26日付けで本件保険契約に係る契約申込書・告知書に所定の事項を記載の上控訴人に郵送し,そのころ,控訴人との間で次の内容の本件保険契約を締結した。

(ア) 責任開始日平成10年12月14日(ただし,ガン保険は同日から90日を経過した日の翌日)

(イ) 終期平成21年1月1日

(ウ) 保険契約者兼被保険者亡A

(エ) 死亡保険金及び給付金受取人被控訴人B

(オ) 死亡保険金及び給付金

(a) ガン診断給付金150万円

(b) ガン入院給付金3万円(日額)

(c) ガン退院療養給付金30万円

(d) ガン手術給付金手術の種類による。

(e) ガン死亡保険金600万円

(f) 病死による死亡保険金30万円

イ 亡Aは,控訴人との間で,平成11年6月22日,死亡保険金の受取人を被控訴人Cに,給付金の受取人を亡Aに変更した。

(2) 亡Aのガン罹患,入退院等

ア 亡Aは,平成11年5月14日に国立名古屋病院で受診し,同年6月4日に肝細胞ガンと診断され,同日その告知を受けた。(乙3,16)

イ 亡Aは,ガン治療の目的で,国立名古屋病院に平成11年6月21日から同年8月30日まで71日間入院し,同日退院した。

ウ 亡Aは,次のとおり,ガン治療の目的で国立名古屋病院での入退院を繰り返した。(甲10)。

(ア) 平成12年3月22日から同年4月17日まで27日間入院,同日退院。

(イ) 平成12年12月12日から平成13年1月15日まで35日間入院,同日退院。

(ウ) 平成13年6月11日から同年7月9日まで29日間入院,同日退院。

(エ) 平成13年12月6日から同月19日まで14日間入院

エ 亡Aは,平成13年12月19日,国立名古屋病院に入院中に肝細胞ガンに基づく肝機能障害,腎機能障害により死亡し,その子である被控訴人ら3名が亡Aを相続し,同人の権利義務を各3分の1宛承継した。(甲10,弁論の全趣旨)。

(3) 本件保険契約締結前の亡Aの受診歴等

亡Aは,平成8年5月8日に国立名古屋病院で受診し,引き続き同月14日,同月22日,同月24日及び同年6月5日と同病院に通院し,この間,採血検査,胃十二指腸の内視鏡検査及び肝臓の超音波検査を受け,慢性C型肝炎との診断を受けた。

この診断結果について,控訴人は,亡Aは慢性C型肝炎のほかに肝硬変,肝嚢胞との診断も受け,その旨告知されたと主張し,被控訴人らは,亡Aは慢性C型肝炎としか告知されていないと主張している。

(4) 本件保険契約の約款,告知書等

ア 本件保険契約の約款には,次のような定めがある。

(ア) 控訴人が,保険契約の締結の際,控訴人所定の書面で質問した事項について,保険契約者又は被保険者はその書面により告知することを要する(約款30条)。

(イ) 保険契約者又は被保険者が,上記の告知の際,故意又は重大な過失により事実を告げなかったか又は事実でないことを告げた場合には,控訴人は,将来に向かって本件保険契約を解除することができる(約款31条)。

イ 本件保険契約の告知書(約款30条の所定の書面)には,別紙のとおり被保険者本人について①から⑦までの質問事項(以下「告知事項①」のようにいう。)が記載され,概ね「はい」,「いいえ」を選択して回答するようになっている。亡Aは,これらの告知事項に対して平成10年10月26日付で別紙のとおり回答した。(甲1,弁論の全趣旨)。

(5) 告知義務違反による本件保険契約解除の意思表示

ア 控訴人は,平成11年8月12日,亡Aに対し,同人が上記(3)の受診歴があるにもかかわらず,平成10年10月26日の告知日現在(以下「本件告知時点」という。)において,告知事項③(過去5年以内に,病気やケガで,手術や7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬又は継続して7日間以上の入院をしたことがありますか。)に「いいえ」と回答したことが約款31条の故意又は重大な過失による告知義務違反に当たるとして本件保険契約を解除する意思表示(以下「告知事項③の解除」という。)をした。(乙5,弁論の全趣旨)

イ 控訴人は,亡Aが上記受診により慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞と診断された事実等が商法678条の重要な事実に該当し,亡Aは,悪意又は重大なる過失によりこの事実の告知をしなかったとして,本訴において,同条本文に基づき本件保険契約を解除する意思表示(以下「商法678条の解除」という。)をした。

ウ 控訴人は,亡Aに対し,同人が本件告知時点において告知事項②(現在,次の症状がある等,身体に変調がありますか。また,今後診察の予定がありますか。[胸痛・腰痛・腹痛・最近やせてきた・動悸・むくみ・貧血・血尿・下血・血便・生理の異常・しびれ・神経痛・乳房のしこりなど])に「いいえ」と回答したことが約款31条の故意又は重大な過失による告知義務違反に当たるとして,平成13年12月5日に被控訴人ら訴訟代理人に到達した控訴理由書により本件保険契約を解除する意思表示(以下「告知事項②の解除」という。)をした。

なお,以下においては,約款31条の「故意又は重大な過失」と商法678条の「悪意又は重大なる過失」とを区別しないで,いずれも「悪意又は重過失」という。

2 争点及び争点に関する当事者の主張

(1) 告知事項③の解除の効力

ア 控訴人

亡Aは,前提となる事実(3)のとおり,国立名古屋病院で平成8年5月14日(初診)から同年6月5日(終診)まで診察等を受け,慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞等と診断された。したがって,亡Aは,本件告知時点から約2年半ほど以前において,初診から終診までの約1か月の期間中,上記の診察等を受けていたもので,本件告知時点において,告知事項③の,過去5年以内に病気やケガで7日間以上にわたる医師の診察等を受けていた事実があったことになる。それにもかかわらず,亡Aは,告知事項③について「いいえ」と回答し,事実と異なる告知をした。亡Aは,上記の受診の事実を当然認識していたはずであるから,悪意又は重過失により事実と異なる告知をしたものである。

告知事項③の「過去5年以内に,病気やケガで,7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬」とは,初診から終診まで7日間以上医師の管理下にあったかどうかを問う趣旨であり,亡Aは,上記のとおり,初診から終診まで約1か月の間,医師の管理下にあったものである。

イ 被控訴人ら

(ア) 告知事項③の「過去5年以内に,病気やケガで,7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬」とは,その文言からして,一般の契約者を基準に考えると,「一定の期間内に7日以上継続して医師の診察・検査・治療・投薬」が行われた場合を指すものと解するのが自然である。亡Aは,平成8年5月14日から同年6月5日までの上記受診期間内に,間隔をおいて5日間通院したにすぎないから,これは告知事項③には該当せず,亡Aが「いいえ」と回答したことは告知義務違反には当たらない。

(イ) 告知事項③の上記の趣旨を控訴人主張のように解するとしても,以下のとおり,亡Aが告知義務違反をしたことについて悪意又は重過失はない。

(a) 本件保険契約は,控訴人の本件保険に関する新聞広告を契機として,亡Aと控訴人が契約書等の必要書類を郵送によりやり取りすることで締結されたもので,契約締結の過程で亡Aと控訴人が面接する機会は皆無であった。このような場合,告知事項③について,控訴人の主張するような解釈が正しいものとすれば,控訴人としては,亡Aがそのように理解できるような方策を講ずる必要があった。控訴人は,これをしていないのであるから,亡Aが,告知事項③について,一般の契約者が考えるような解釈に従って回答をしたとしても,やむを得ないものであり,同人に悪意又は重過失はない。

(b) 亡Aは,健康診断の目的で上記受診をし,その間に,採血検査,内視鏡検査及び超音波検査と種類の異なる検査を別々に受け,その検査結果を聞くために通院しただけで特別の治療は受けていないし,各検査の間に継続性を窺わせるような診察も全く行われていない。このような関連性のない検査とその結果を聞くだけの通院について,亡Aが,この受診期間中において,7日以上医師の管理下にあったと考えなかったとしても,一般の契約者としては無理からぬものがあり,同人に悪意又は重過失があったとはいえない。

(2) 商法678条の解除の効力

ア 控訴人

亡Aは,前提となる事実(3)の受診の結果,慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞と診断され,医師から半年に1回の超音波検査又はCTスキャンを,年に1回の内視鏡検査を定期的に受けるように指示された。慢性C型肝炎や肝硬変は肝臓ガンに進行する可能性のある疾患であり,このような疾患であると亡Aが診断された事実は,ガンに罹患したことに関して給付を行うこと目的とする保険契約の引き受けを業とする控訴人にとっては,亡Aとの間で保険契約を締結するかどうか又はどのような条件で保険契約を締結するかを決定する上で重要な要素として当然考慮されるべき事柄であり,商法678条に定める重要な事実に該当する。しかるに,亡Aは,同人が慢性C型肝炎,肝硬変と診断された事実を告知していない。亡Aは,この診断の事実を当然認識していたはずであるから,同人が告知しなかったことについては悪意又は重過失がある。

イ 被控訴人ら

亡Aは,慢性C型肝炎であるとの告知を受けたが,肝硬変や肝嚢胞であるとの告知は受けていないので,そのような診断がされたかどうかについては知る由もない。医師からは,肝ガンは存在しないので特に心配する必要もないし,治療もする必要がないと言われたが,定期的に検査を受けるようにとの指示はなく,実際にも,亡Aは,その後,平成11年5月14日の受診まで3年近く投薬や治療は受けていない。国立名古屋病院の外来診療録(乙16号証)中には,上記受診に際し,亡Aが慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞の診断を受け,定期的に検査を指示されたかのような記載があるが,その記載者も不明で明確な指示の文言もなく,同号証は,控訴人の主張を裏付けるには足りない。

本件保険契約締結後に改定された告知書によると,慢性C型肝炎について罹患の有無を問う告知事項が新たに付け加えられており,このことは,本件告知時点においては,慢性C型肝炎に罹患している事実が重要事実に当たるかどうかが不明確であったからにほかならない。本件告知時点において,告知書に記載がなく,重要事実かどうか不明確な事柄について告知しなかったとしても告知義務違反にはならない。

C型肝炎ウイルスが発見されたのは平成元年(1989年)であり,C型肝炎について医学関係者以外の一般人が知るようになったのはごく最近のことである。本件告知時点では,一般人が慢性C型肝炎やこれとガンとの関係などについて十分な知識があったとはいえず,亡Aも同様であった。また,C型肝炎に罹患してもその進行の程度は一様ではなく,症状が進行しないままの者も多く,将来の病状を予測することは医学の専門家でも困難であり,まして,一般人に取っては不可能である。本件告知時点で,一般にもその性質について十分な知識があったとはいえない慢性C型肝炎について,亡Aがその罹患の事実を重要事実と認識せず,この事実を告知しなかったとしても,これについて悪意又は重過失があったとはいえない。

(3) 告知事項②の解除の効力

ア 控訴人

亡Aは,前提となる事実(2)のとおり,平成11年6月4日に肝細胞ガンと診断され,その時点で肝臓に6センチメートルのガンの腫瘍があり,腎臓にも転移があった。いわば末期ガンの状況に近く,この診断の半年程前である本件告知時点において,告知事項②に記載しているような全身のだるさなどの自覚症状があり,身体に変調を来していたはずである。亡Aは,このような身体の変調を認識しながら告知事項②に「いいえ」と事実と異なる告知をした。

イ 被控訴人ら

亡Aは,前提となる事実(3)の受診後,平成11年6月に肝細胞ガンと診断されるまでの間,身体の変調もなく,診察の予定もなかったので告知事項②に「いいえ」と回答したものであり,告知義務違反はない。

第3 争点に対する判断

1 争点1(告知事項③の解除の効力)について

(1) 亡Aの受診歴等

ア 亡Aは,昭和12年(1937年)9月3日生まれの男子で,昭和60年(1985年)6月に吹田市民病院で胃を3分の2切除する手術を受け,そのときの輸血が原因で肝炎に罹患し,輸血肝炎との診断を受け,その治療のため約5か月入院して一応症状は治まった。その後は,特別の症状を自覚することも,肝炎の治療を受けることもないまま,普通に生活を送ってきた。(甲17の2,乙16)。

イ 亡Aは,上記アの治療後11年程経過した平成8年5月8日,この日の3か月程前から疲れやすい,身体全体がだるい等の症状(全身倦怠感)が続いたため,これを主訴として検診目的で,国立名古屋病院の内科外来で受診した。D医師が担当医となり,上記アの既往歴,症状等を問診し,血圧測定,尿検査を実施し(これらの検査の結果では異常がなかった。),検査のための採血を行い,さらに,上記症状の原因検索の目的で,胃上部消化管(胃十二指腸)の内視鏡検査及び肝臓の超音波検査(精密検査)を受けることを指示した。亡Aは,この指示に従い,同日,同月14日に胃上部消化管の内視鏡検査を,同月24日に肝臓の超音波検査(精密検査)を受けることを予約した。同月14日,上記予約に従い,亡Aは,胃上部消化管の内視鏡検査を受け,その際,検査のための投薬がされた。同月22日,亡Aは,内視鏡検査の結果を告知されたが,それによると,上記アの手術の吻合部に炎症があり,慢性胃炎であるとのことであり,同日,抗潰瘍薬を投薬された。同月24日,亡Aは,上記予約に従い肝臓の超音波検査(精密検査)を受け,同年6月5日,採血検査及び超音波検査の結果を告知された。採血検査の結果によると,HCV抗体(C型肝炎ウイルス抗体)が+2と強陽性を示し,肝機能の状態を示すGOTが110(正常値40以下),GPTが110(正常値35以下),γ-GPTが105(正常値60以下)といずれも正常値を大きく超えており,また,肝硬変の指標の1つであるZTTも23.1(正常値14.0以下)と高値を示していた。超音波検査の結果によっても,その画像上肝硬変の様相を呈しており,これらの検査の結果,亡Aは,慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞と診断され,その旨の告知を受け,併せて,以後,肝臓について半年に1回超音波検査又はCTスキャンによる検査を受けること及び年に1回胃上部消化管内視鏡検査を受けることを指示された。(甲5,17の1及び2(ただし,後記認定に反する部分を除く。),乙16,17)。被控訴人らは,亡Aは,慢性C型肝炎であるとの告知を受けたが,肝硬変や肝嚢胞であるとの告知は受けていない,医師からは,肝ガンは存在しないので特に心配する必要も,治療もする必要がないと言われ,定期的に検査を受けるようにとの指示はなかった旨主張し,甲7の1及び2(いずれも亡Aの陳述書)には同主張に沿う趣旨の陳述部分が存する。しかし,上記認定のとおり,亡Aの採血及び超音波の各検査結果によると,同人のHCV抗体は強陽性を示し,また,肝機能の状態を示すGOTなどの数値は正常値を大きく超え,肝硬変の指標であるZTTも高値を示し,超音波検査の画像上も肝硬変であることを示していたのであるから,これらの検査に基づく診断結果について,慢性C型肝炎とだけ告知し,告知をするについて格別不都合があるとも思われない肝硬変及び肝嚢胞との診断結果について告知しなかったとは到底考えられない。また,上記のような診断結果であれば,医師としては,定期的に検査をしてその推移を観察するのが通例と思われるから,あえて治療の必要がないと述べたというのも不自然としかいいようがない。したがって,被控訴人らの上記主張に沿う甲7の1及び2の亡Aの各陳述部分は容易に採用できず,ほかに同主張を認めるに足りる証拠はない。

なお,国立名古屋病院に対する調査嘱託の結果中には,上記の告知,検査の指示の有無は,D医師が転勤のためにカルテ(乙16)の記載からは不明である旨の記載があり,確かにカルテ(乙16)には,告知や指示について直接そのような文言の記載はない。しかし,それは慢性C型肝炎についても同様であり,カルテ上疾患名の記載があり,定期検査については「follow」との記載のあることからして,むしろ,疾患名の告知及び定期検査について指示があったものと推認するのが合理的である。上記調査嘱託の結果は,前記の認定を妨げるものではない。

ウ 亡Aは,上記イのとおり,定期的に検査を受けるように指示されたのに,それを守らずに上記イの終診日である平成8年6月5日から3年余り診察や検査を受けることなく過ごし,前提となる事実(2)のとおり,平成11年5月14日に国立名古屋病院で受診し,同年6月4日に肝細胞ガンと診断され,入退院を繰り返し,死亡した。そして,前提となる事実(1)のとおり,この間の平成10年10月26日付で本件保険契約に係る契約申込書・告知書に所定の事項を記載の上控訴人に郵送し,そのころ,控訴人との間で本件保険契約を締結したのである。

(2) 告知義務違反の有無

ア 控訴人は,告知事項③の「過去5年以内に,病気やケガで,7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬」とは,初診から終診まで7日間以上医師の管理下にあったことを意味すると主張し,被控訴人らは,その文言からして,一般の契約者を基準に考えると,一定の期間内に7日以上継続して医師の診察・検査・治療・投薬が行われた場合を指すものと解すべきであると主張する。

(ア) 本件保険契約の告知書は,生命保険会社に共通の統一告知書に準じて作成されているところ,この統一告知書のひな形を作成した日本保険医学会医務委員会は,告知事項③の「過去5年以内に,病気やケガで,7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬」との告知事項について,保険契約を締結する上で告知を要しない7日未満で治療等を終えた軽微な病気やケガを除き,当該病気やケガの初診から終診まで7日間以上医師の管理下にあったことの有無を問う趣旨の質問であり,この統一告知書は,平成2年10月に改正されたものであるが,改正前は「7日間以上にわたる」との部分が「7日以上」とされていて,この「7日以上」が,必ずしも上記のような趣旨には読みとれず,誤解を生ずるため,その趣旨を明らかにするために「7日間以上にわたる」と改めた旨説明している。(乙4,弁論全趣旨)。この日本保険医学会医務委員会の説明は,生命保険会社に共通のものと考えられるから,控訴人を含む生命保険会社は,告知事項③の趣旨を上記の説明と同様の趣旨のものと理解しているものと考えられる(なお,乙21の生命保険協会作成の「生命保険の診査について」と題するパンフレットにも同様の説明がされている。)。また,告知事項③は「過去5年以内に,病気やケガで,手術や7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬または,継続して7日間以上の入院をしたことがありますか。」と記載されていて,「7日間以上にわたる」と「継続して7日間以上」とを使い分けており,「7日間以上にわたる」が単に「継続して7日間以上」の意味ではないことを明らかにしており,これは,「わたる」という言葉の通常の意味に照らしても首肯されることである。以上のような,告知事項③についての保険会社の説明,改正の経過及び上記文言の使い分けからすると,告知事項③の趣旨は,過去5年以内に,初診から終診まで7日間以上医師の管理下(観察下)にあったかどうかを問う趣旨の質問であると解するのが相当である。

(イ) 被控訴人らは,告知事項③の趣旨を,その文言からして,一般の契約者を基準に考えると,一定の期間内に7日以上継続して医師の診察・検査・治療・投薬が行われた場合を指すものと解すべきと主張するが,告知事項③の趣旨を一般の契約者が当然に被控訴人らの主張するように解するとは到底考えられない。なお,例えば,成人病などの慢性疾患の多くは,治療や検査を放置しておけば,重大な疾病をもたらす危険性のあるものが少なくないが,これらは症状が安定している場合には,年に数回程度の治療や検査で医師が経過を観察していることは稀ではない。このような疾患については,間隔をおいて年に数回しか治療等を受けていない場合であっても,それが被保険者の生命の危険を予測する上で影響のある事実として,保険契約を締結する上で考慮すべきことがあることは,生命保険契約の性質上,当然のことと考えられる。被控訴人らの主張するように告知事項③の趣旨を限定的に解するものとすれば,上記のような医師の観察下(管理下)にある病気については,通院回数が少ないとか通院が継続していないとかの理由で告知義務を免れることとなり,相当とはいえない。

イ 亡Aは,上記(1)イのとおり,国立名古屋病院で,平成8年5月8日から同年6月5日まで診察,検査を受けているもので,この5月8日の初診から6月5日までの終診まで約1か月間,医師の管理下(観察下)にあったものというべきであり,本件告知時点(平成10年10月26日)において,告知事項③の「過去5年以内に,病気やケガで,7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療・投薬」を受けた場合に該当する。亡Aは,告知事項③に対し,前提となる事実(4)イのとおり「いいえ」と事実と異なる回答をしたのであるから,これが告知義務に違反することは明らかというべきである。

(3) 悪意又は重過失の有無

ア 被控訴人らは,本件保険契約は,控訴人の新聞広告を契機として,亡Aと控訴人が契約書等の必要書類を郵送によりやり取りすることで締結されたもので,契約締結の過程で亡Aと控訴人が面接する機会は皆無であり,このような場合,告知事項③について,控訴人の主張するような解釈が正しいものとすれば,控訴人としては,亡Aがそのように理解できるような方策を講ずる必要があったのに,控訴人は,これをしていないのであるから,亡Aが,告知事項③について,一般の契約者が考えるような解釈に従って回答をしたとしても,やむを得ないものであり,同人に悪意又は重過失はない旨主張する。しかし,前記(2)のとおり,告知事項③の趣旨を一般の契約者が当然に被控訴人らの主張するように解するとは到底考えられず,それを前提とする被控訴人らの主張は理由がない。仮に亡Aが被控訴人ら主張のように考えたとしても,それは亡Aの独自の見解というべきであり,それについて,控訴人が正しい理解を求めるような方策を講じなかったとしても,亡Aの悪意又は重過失の認定の妨げとなるものではない。

イ 被控訴人らは,亡Aは,健康診断の目的で上記(1)イの受診をし,その間に,採血検査,内視鏡検査及び超音波検査と種類の異なる検査を別々に受け,その検査結果を聞くために通院しただけで特別の治療は受けていないし,各検査の間に継続性を窺わせるような診察も全く行われていないのであるから,このような関連性のない検査とその結果を聞くだけの通院について,亡Aが,この受診期間中において,7日以上医師の管理下にあったと考えなかったとしても,一般の契約者としては無理からぬものがあり,同人に悪意又は重過失があったとはいえない旨主張する。

しかし,上記(1)イのとおり,亡Aは,全身倦怠感を訴えて受診し,その原因を探るために内視鏡検査,超音波検査及び採血検査等の各種の検査を受け,その結果,慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞等と診断され,定期的な内視鏡検査,超音波検査等の検査を受けるように指示されたもので,これらの検査は,亡Aの症状の原因を探るための一連の検査であり,その結果として慢性C型肝炎等の特定の疾病が判明し,これらの疾病について定期的な検査を指示されたというのであるから,終診日以降も医師の管理下にあったに等しく,このような状況下で,亡Aが7日以上医師の管理下にあったと考えなかったことが無理からぬとは到底いえない。

ウ 以上のとおり,被控訴人らの主張は理由がなく,亡Aは,上記(1)イのとおり受診したのであるから,本件告知時点において,当然この受診の事実を認識していたか,又は容易に認識し得たはずであり,告知事項③に対し,事実と異なる回答をしたことについては,悪意又は重過失があったというべきである。

(4) むすび

以上のとおり,告知事項③については,亡Aに悪意又は重過失による告知義務違反があったというべきであるから,本件保険契約は,約款31条に基づき,平成11年8月12日に有効に解除されたものといわざるを得ない。

2 争点2(商法678条の解除の効力)について

上記1のとおり,告知事項③の解除が有効である以上,被控訴人らの本件請求は,その余について判断するまでもなく理由がないこととなるが,念のため争点2についても,当裁判所の判断を示しておくこととする。

(1) 告知義務違反の有無

ア 商法678条の重要なる事実とは,保険会社がその事実を知っていたならば契約を締結しないか,少なくとも同一の条件では契約を締結しなかったと客観的に認められるような被保険者の生命の危険を予測する上で影響のある事実(換言すれば,保険会社が当該保険契約における事故発生の危険率を測定しこれを引き受けるか否か及び保険料額を判断するに際し,その合理的判断に影響を及ぼすべき事実)をいうものと解される。本件保険契約のような主としてガン(悪性新生物)に罹患したことに関連して保険給付を行う生命保険契約の一種であるいわゆる疾病保険契約の場合,将来,ガン発症の可能性のある疾患についてそれに罹患している事実は,上記のような趣旨での重要なる事実に該当することは明らかと考えられる。

上記1(1)イのとおり,亡Aは,平成8年6月5日に慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞と診断され,以後の定期検査を指示されていたものである。ところで,慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞は,いずれも肝臓にガンを発症させる可能性のある疾患であり,このこと,とりわけ,慢性C型肝炎及び肝硬変については,医師等の医学専門家にとっては広く知られた事柄であった。(甲11,乙3,14,15,17,24ないし26)。したがって,亡Aが慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞に罹患していた事実は,本件保険契約の締結に関し,重要なる事実に該当するものというべきであり,この罹患の事実について亡Aが控訴人に告知しなかったことは,弁論の全趣旨から明らかであるから,亡Aには重要なる事実についての告知義務違反があったものというべきである。

イ 被控訴人らは,本件保険契約締結後に改定された告知書によると,慢性C型肝炎について罹患の有無を問う告知事項が新たに付け加えられており,このことは,本件告知時点においては,慢性C型肝炎に罹患している事実が重要事実に当たるかどうかが不明確であったからにほかならなず,本件告知時点において,告知書に記載がなく重要事実かどうか不明確な事柄について告知しなかったとしても告知義務違反にはならない旨主張する。

本件保険契約の告知書には慢性C型肝炎や肝硬変について罹患の有無を問う告知事項の記載はなく,その後に改定された告知書(乙13)には,被控訴人らの主張のとおり,C型肝炎について罹患の有無を問う告知事項が新たに付け加えられている。しかしながら,このことは,本件告知時点において慢性C型肝炎や肝硬変に罹患している事実が商法678条の重要事実であることを否定するものではない。なぜならば,告知書にはその作成の時点で保険会社が重要事実と考える事項を告知事項として記載するものであるが,それはいわば標準的あるいは典型的な重要事実というべきものであり,商法678条に定める重要事実のすべてを告知書に網羅することは不可能というべきだからである。したがって,告知書に記載されていない事項でもそれが商法678条の重要事実と判断される限り,当然告知義務違反の問題が生ずるものであり,上記イで判断したとおり,亡Aが慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞に罹患していた事実は,同条の重要事実というべきであるから,これを告知しなかった亡Aには告知義務違反があるということになる。

(2) 悪意又は重過失の有無

ア 亡Aは,上記(1)イのとおり,慢性C型肝炎,肝硬変及び肝嚢胞と診断されてその告知を受け,定期検査を指示されていたのであるから,この診断,告知から2年余りしか経過していない本件告知時点おいて,上記の疾患に罹患し,定期検査が必要な状況にあることを認識していたか,又は容易に認識し得たものというべきである。そうすると,亡Aは,悪意又は重過失により上記の告知義務に違反したものと認めるのが相当である。

イ 被控訴人らは,本件告知時点において,一般にその性質について十分な知識があったとはいえない慢性C型肝炎について,それに罹患している事実を告知しなかったとしても告知義務違反には当たらない旨主張する。

C型肝炎ウイルスが発見されたのは平成元年(1989年)であるが,平成8年ころまでには,その症状の特徴や病状の進展の状況,肝ガンへの移行の可能性などについて一般にも広く知られるようになった。例えば,読売新聞は,同年10月10日から10月24日まで,「健やかへのデザインC型肝炎」と題して合計12回にわたり,C型肝炎ウイルスのキャリアは日本全国で250万人くらいおり,新しい国民病といわれるようになっていること,慢性C型肝炎の治療にはインターフェロンの投与が有効であるが,効果のない者もいること,慢性C型肝炎は放置すると肝硬変や肝ガンに進行する可能性が高いこと,慢性C型肝炎は感染後20年から30年経過して肝硬変や肝ガンに進行する可能性が30%から40%であること,このように慢性C型肝炎は肝硬変や肝ガンに進行する可能性が高いので適切な治療が必要であること等とのC型肝炎患者の個人的な経験や専門家の意見等に基づく特集記事を掲載している。各種の文献によると,C型肝炎ウイルスは主に輸血を介して人に感染し,感染者のうち60%から80%がキャリア(ウイルス保有者)となり,そのうちの多くが慢性C型肝炎に移行し,その後,20年から30年の間にさまざまな経過を経て,その一部の者は,肝硬変や肝ガンに移行するとされている(感染後20年から30年して慢性C型肝炎のうち30%から40%が肝硬変となり,そのうちの70%から80%が肝細胞ガンになるとの報告もあるが(乙25),それよりも少ないとの報告もあり(甲11),慢性C型肝炎から肝硬変更には肝ガンへの移行の割合については文献上必ずしも一致していないが,慢性C型肝炎が肝硬変さらには肝ガンに移行する可能性のある疾病であることは共通の理解である。)。(甲8,9,11,乙14,15,24ないし26)。

したがって,遅くとも,本件告知時点(平成10年10月26日)においては,慢性C型肝炎が肝硬変さらには肝ガンに移行する可能性のある疾患であることは一般にも広く知られるようになっていたものといえるから,亡Aも慢性C型肝炎についての同様の知識を有していたものというべきであり,同人は,同人が慢性C型肝炎及び肝硬変に罹患していた事実が重要な事実であることを認識していたか,又は容易に認識し得たものであり,同人にはこの罹患の事実を告げなかったことにつき,悪意又は重過失があったものと認められる。

ウ 以上のとおり,控訴人の商法678条に基づく解除も有効にされたものというべきである。なお,解除の意思表示のあったことは前記前提となる事実(5)ウのとおり当事者間に争いがなく,解除の日については明確ではないが,遅くとも原審の口頭弁論終結日(平成13年7月2日)までにされたものと認めるのが相当であり,この日までに本件保険契約は解除されたものである。

第4 結論

以上のとおり,本件保険契約は約款31条あるいは商法678条に基づき解除されたものというべきであるから,その余の点について判断するまでもなく,被控訴人らの本件保険契約に基づく保険金(給付金)の請求は,いずれも理由がない。したがって,これと判断の異なる原判決は不当であるからこれを取り消し,被控訴人らの請求(附帯控訴により当審で拡張された請求を含む。)をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。東京高等裁判所第20民事部

裁判長裁判官 小田泰機

裁判官 大橋弘

裁判官 長谷川誠

別紙(省略)

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/68/detail4/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。