主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人牛島定の上告趣意について。
(一)論旨(第二)は、本件起訴状が違法であることを前提として、原判決は憲法三七条一項に違反するものであると主張するのであるが、憲法の右の条項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所による裁判という意味であること、当裁判所の判例「昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決等)の示すとおりであるから、原判決がこの条項に違反するものでないこと明らかである。論旨は理由がない。
(二)論旨(第三の前半)は又、第一審第二回公判において弁護人から起訴状記載の事実につき釈明を求めたにもかかわらず裁判長が釈明権を行使しなかつたことを憲法三七条一項に違反するものであると主張するけれども、その理由なきことは前記の判例に徴して明らかである。論旨は採用できない。(論旨第一の憲法違反の主張は以上の二点を指すものと認める)
(三)論旨(第三後半)引用の第一審第二回公判調書を調べてみると、所論裁判長の質問の内容は、各公訴事実毎に被告人の弁解を求めこれによつて争点を明らかにしたに過ぎないものであることがわかる。この程度の質問をもつて刑事手続に違反するものということはできない。(昭和二五年(あ)三五号同年一二月二〇日最高裁判所大法廷判決参照)。論旨引用の東京高等裁判所の判例は本件に適切でない。それ故論旨は採用することができない。
なお記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。よつて刑訴四〇八条に従い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
昭和二七年三月一一日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井上登
裁判官 島保
裁判官 河村又介
裁判官 小林俊三
裁判官 本村善太郎
出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/71007/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
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