主文
本件各上告を棄却する。
理由
被告人AことB弁護人飛鳥田一雄、被告人C弁護人小泉英一、同桝井雅生、被告人D弁護人西村定雄、被告人E弁護人柿原幾男の各上告趣意は、後に添えた書面記載のとおりである。
被告人Bの弁護人飛鳥田一雄の上告趣意第一点について。
本件は旧刑訴事件であるから、刑訴施行法一三条に基いて定められた「旧刑事訴訟法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則」を適用すべきものであつて、同規則五条及び六条によれば、控訴申立人において不服がないことが明らかな事項については、被告人尋問及び証拠調を省略することができ、この場合、判決に事実の摘示及び証拠の説明をするには、「原判決の認定した事実のとおりであつて、控訴申立人に不服のない」ことを明らかにすれば足りるのである。故に原判決には所論の如き法令違反はなく、憲法違反の主張はその前提を缺き、とることを得ない。
同第二点について。
原審は、前記の如く右規則に基いて適法に審判したのであつて、その事実摘示及び証拠説明において、前記の如き簡略な記載をしてはいるが、それは一審公判廷における被告人等の自白を証拠として採用した趣旨ではなく、一審判決摘示の事実の認定に不服がない旨の被告人等の原審公判廷における供述に基いて、一審判決どおりの事実認定をしたこととなるのであるから、原判決にはなんら所論のような違反はない。
同第三点について。
所論は量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。被告人Cの弁護人小泉英一、同桝井雅生の上告趣意第一点及び第二点は、それぞれ前弁護人の論旨第一点及び第二点と同趣旨であつて、前説示のとおりである。同第三点は、量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。被告人Dの弁護人西村定雄の上告趣意について。
論旨は要するに量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。被告人Eの弁護人柿原幾男の上告趣意第一点について。
論旨は刑訴四〇五条の上告理由に当らない、また所論の如き事由から、訴因が特定していないともいえない。
同第二点について。
しかし憲法三七条一項の「公平な裁判所の裁判」というのは、構成その他において、偏頗の惧のない裁判所の裁判という意味であつて、被告人に対する量刑が相被告人に比し重いとしても、そのことの為に、本件の判決が不公平であるということはできないから(昭和二二年(れ)第四八号同二三年五月二六日大法廷判決、集二巻五号五一一頁参照)、論旨は理由がない。
その他記録を精査しても、刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。よつて刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条により、主文のとおり判決する。この判決は、裁判官井上登の、弁護人飛鳥田一雄上告趣意第二点に関する反対意見(昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日大法廷判決に記載)を除き全裁判官一致の意見である。
昭和二七年三月二五日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井上登
裁判官 島保
裁判官 河村又介
裁判官 小林俊三
裁判官 本村善太郎
出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/72088/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
出典:国立国会図書館「次世代デジタルライブラリー」(https://lab.ndl.go.jp/dl/)のOCRテキストデータ(原資料:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1349054)。TaiLexi AIが編集・加工(OCRの誤りを含む場合があります)。原データ(OCRテキスト)はパブリック・ドメイン・マーク(PDM)付きで、自由に二次利用できます。個人の氏名・住所等はTaiLexi AIがアルファベット等に置き換えています。