主文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
弁護人海野賢三郎の上告趣意第一点について。
憲法二五条一項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を營みうるよう国政を連營すべきことを国の責務として宣言したものであつて、この規定により直接に個々の国民が国に對し、具体的現実的にかかる権利を有するものでないこと、および食糧管理法が右憲法の条項に違反するものでないことは当裁判所の屡々判例とするところである(昭和二三年(れ)第二〇五号、同年九月二九日大法廷判決「集二巻一〇号一二三五頁」参照)。従つて本件食糧管理法違反行為が、仮りに被告人の生活維持のためなされたものであつたとしても、これを処罰した原判決を目して憲法二五条一項に違反するということのできないことは云うまでもない。論旨は單に食糧管理法の解釋適用を非難するに帰し、採用することを得ない。同第二点は事実審の認定しない事実に基いて量刑不当を主張するもので適法な上告理由とならない。
なお記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて同四〇八条、一一八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和二九年三月五日
最高裁判所第二小法廷
裁判官 栗山茂
裁判官 小谷勝重
裁判官 藤田八郎
裁判官 谷村唯一郎
裁判長裁判官霜山精一は出張につき署名押印することができない。
裁判官 栗山茂
出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/72467/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
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