主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
本件損害賠償の請求が、民法四一六条二項の特別事情によつて生じたものについてなされたことは、所論のとおりである。原審は、被上告人が本件土地を訴外Dに売り渡し、同人から手附金として一八万円を受け取つたことを上告人に告げていた事実を認定した。この認定は原判決のあげている証拠からみて正当である。ところで一般に手附といえば、特約がなければ解約手附とみらるべきものであるから、上告人としてはたとい右売買契約において手附倍戻しの特約がなされていたことを知らされなかつたとしても、上告人が被上告人に対する明渡義務を履行しないため、被上告人が訴外Dに対する売買契約上の義務を履行することができず、やむなく受け取つた手附の倍額を償還して契約を解除するに至るかも知れぬことを当然予見していたものということができる。それ故、論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 真野毅
裁判官 斎藤悠輔
裁判官 岩松三郎
裁判官 入江俊郎
出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/76996/detail2/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。
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