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高裁判決控訴棄却

東京高判 平成22年6月10日

平成21年(行コ)第406号 開発基準適合確認通知差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成21年(行ウ)第164号)

判示事項

市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消訴訟につき,開発事業計画地の近隣住民の原告適格が肯定された事例

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裁判所
東京高等裁判所
裁判年月日
平成22年6月10日 (2010-06-10)
事件番号
平成21年(行コ)第406号
事件名
開発基準適合確認通知差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成21年(行ウ)第164号)
裁判の種類・結果
判決 控訴棄却
判例集等
—
分野
行政

判示事項

1市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消訴訟につき,開発事業計画地の近隣住民の原告適格が肯定された事例

2市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

1市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消訴訟につき,同条例79条が,事業者は開発事業の計画及び工事の実施に当たり,「近隣住民の住居の日照に及ぼす影響を軽減させること」などからすると,同条例50条1項の開発適合審査基準において,同条例別表第3の3の項が,建築物の高さを規制している趣旨として,当該建築物の近隣の建築物の日照,採光等を良好に保ち快適な居住環境を確保することにより,近隣住民の健康に著しい被害を及ぼすことを防止する趣旨も含まれているものと解するのが相当であるところ,前記条例が,開発地域の近隣で当該開発区域から一定の距離以内の区域に住所を有する者等を「近隣住民」として具体的に規定した上で,開発基準適合確認通知に至る手続に関与することを認めていること,前記規制が保護しようとする利益が個人の健康という重要な利益であることなどを考慮すると,前記条例は,開発基準適合確認に係る開発事業で建築される建物により日照を阻害される近隣住民の健康を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解されるから,開発事業により建築される建物により日照を阻害される近隣住民は,開発基準適合確認通知の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するとした事例

2市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消請求につき,開発事業が前記条例別表第3の3の項1号に規定する「良好な地域環境の創出に特に寄与する」と認められるか否かは,同項が例示する「緑地の積極的な確保,公開空地の創出」を主要な判断要素としつつ,他の様々な要素も加味して総合的に判断すべきものであり,同項の文言が抽象的なものであることからすれば,その判断は市長の合理的な裁量に委ねられているとした上,前記開発事業申請書において計画されている緑化,空地率及び緑化率は前記条例の規定する基準を相当上回っていること,公開空地については,本来設置義務はないものの,市長の指導や助言を受けて確保する計画であること,前記申請に係る建物の高さや形状についても市長の指導や助言いより一定程度の改善を図っていることなどの事情を市長が総合的に判断した結果,良好な地域環境の創出に特に寄与するものと認めて前記通知をしたものと認められるから,その判断は合理的な裁量の範囲内であるということができるなどとして,前記請求を棄却した事例

主文

1 本件控訴をいずれも棄却する。

2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。

2 国分寺市長が国分寺市まちづくり条例51条1項に基づき原判決別紙1開発事業目録記載の開発事業について平成21年8月3日付けでした開発基準適合確認通知を取り消す。

第2 事案の概要

1 本件は,国分寺市長(以下「市長」という。)が,国分寺市まちづくり条例(以下「本件条例」という。)に基づき,A株式会社(以下「本件事業者」という。)に対して,平成21年8月3日付けで原判決別紙1開発事業目録記載の開発事業(以下「本件開発事業」という。)についてした開発基準適合確認通知(以下「本件処分」という。)につき,本件開発事業の計画地(以下「本件計画地」という。)の近隣住民である控訴人らがその取消しを求めた事案である。

原審は,近隣住民である控訴人らはいずれも本件訴えの原告適格を有するが,市長がした本件処分は合理的な裁量の範囲内にあるから適法であり,裁量権の逸脱又は濫用に当たらないとして,控訴人らの請求をいずれも棄却した。そこで,控訴人らは,これを不服として控訴した。

2 関係法令等の定め及び前提事実

原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」1及び2記載のとおりであるから,これを引用する。

3 争点及び当事者の主張

次のとおり当審における主張(原審主張の補充)を付加するほか,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」3及び4記載のとおりであるから,これを引用する。

(1) 控訴人らの主張

ア 本件計画地は,自然的・物理的にはα崖線そのものであり,近隣商業地域として条例上α崖線区域から外れていること自体が特例であり,さらに高さ制限緩和の特例を認めるとすれば,大幅な計画変更が必要であり,市民会議の答申は,その議論を踏まえて見れば,階数減少を含めた大幅な計画変更を求めていることは明らかであるのに,指導書は,抽象的に改善事項を指摘するのみであり,特に大幅な計画変更を求めるものではなく,市民会議の意見をねじ曲げたものである。

イ α崖線という特殊環境において斜面地の基盤土壌を最大9m近く堀り,150トンもの土砂を取り除く工事を行うに当たって,水脈が遮断され地下水が流出し,地盤沈下等が生じる可能性が高く,大規模な被害が生じることが危惧される。

ウ β街道側の公開空地は,工事のために必要不可欠な空地スペースであったのであり,環境に配慮しての空地でなく,高さ特例の評価要素にすべきでない。

エ 指導書後の計画と助言後の計画について緑化率・空地率を比較するに,

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「壁面緑化面積を38.63mから18.09m…に変更」(甲39の2)を前提とすると,空地面積は85.81mとなり,指導書段階と比較すると,空地面積,緑化・空地面積が減少し,緑化・空地率は-2.17%,緑化率は-1.62%となる。仮に,上記18.09mが誤記であったとしても,緑化・空地率の改善は0.03%,緑化率は-1.62%であり,とても指導書を受けて改善したという評価がされるようなものではない。

(2) 被控訴人の反論

ア 本件計画地が自然的・物理的にα崖線に含まれるとしても,「緑地の積極的な確保,公開空地の創出」を主要な判断要素とし,これに他の様々の要素も加味して総合的に判断した市長の判断に裁量権の逸脱・濫用はない。

イ 環境に配慮して計画された公開空地であることと,それを工事中に工事車両の駐車スペースとして利用することとは別の問題であり,同駐車スペースとして利用することから,「公開空地」とはいえないということはできない。

ウ 甲39の2の18.09mは明らかな誤記であり,変更後の壁面緑化面積は33.70mである(甲39の1,乙13)。

第3 当裁判所の判断

当裁判所も,控訴人らには原告適格が認められるが,控訴人らの本訴請求はいずれも理由がないものと判断する。

その理由は,次のとおり付加,訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」記載のとおりであるから,これを引用する。

(1) 原判決20頁1行目の末尾に「その後,屋上緑化面積は4.04mか

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ら11.54mに,壁面緑化面積は38.63mから33.70mに変更されている(甲39の1,乙13。控訴人ら主張の甲39の2の18.09mは,誤記と認める。)。」を加える。

(2) 23頁1行目の「場合には,」の次に「建物建築に際しての容積率の制限は,本件条例による建物の高さの特例適用の有無によって変わらないのであるから,本件特例基準の適用が認められなければ,建物の高さは20mに抑えられるが,他方において,基準緑化・空地率の最低基準により建物が建築される蓋然性があり,そうすると,建物建築面積が増大し,」を加える。

(3) 同頁8行目の末尾に「また,控訴人らは,α崖線という特殊環境において斜面地の土壌を掘削し,土砂を除去する工事を行うに当たって,水脈が遮断され地下水が流出し,地盤沈下等が生じる可能性が高く,大規模な被害が生じることが危惧されると主張するが,これを裏付ける証拠はなく,控訴人らの単なる憶測にすぎないものといわざるを得ず,本件特例基準の適用を否定する理由にならない(仮に,控訴人ら主張の事態が生じ得る可能性があるとすれば,これは本件特例基準の適用の可否,当否の問題ではない。)。」を加える。

(4) 同頁14行目の末尾に「控訴人らは,β街道側の公開空地は,工事のために必要不可欠な空地スペースであるから,高さ特例の評価要素にすべきでないと主張するが,当該空地が本件建物建築工事中に工事車両の駐車スペースとして利用することとされているとしても,同工事完了後に当該スペースが公開空地として環境に配慮した空地とされることを否定的に評価することは相当でなく,控訴人らの同主張は,採用することができない。」を加える。

(5) 同頁17行目の「周辺環境に対する寄与が微々たるものという根拠は不明である。」を「緑地により空地とされる部分が確保されることにより周辺環境に対する寄与があることが明らかであるから,これをもって微々たるものと評価することはできない。」に改める。

(6) 24頁4行目の「その主張の根拠は不明であり,採用することはできない。」を「本件計画における屋上又は壁面の緑化計画が,本件特例基準の適用を受けるためだけの一時的な措置として計画されたものであることはうかがわれず,同主張を採用することはできない。」に改める。

よって,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。東京高等裁判所第7民事部

裁判長裁判官大谷禎男

裁判官

杉山正己

裁判官

相澤哲

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/80937/detail5/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。