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地裁判決

福島地いわき支判 令和8年7月6日

令和8年(ワ)第8号 補助金返還等請求事件

裁判所
福島地方裁判所いわき支部
裁判年月日
令和8年7月6日 (2026-07-06)
事件番号
令和8年(ワ)第8号
事件名
補助金返還等請求事件
裁判の種類・結果
判決
判例集等
—
分野
民事

裁判官認电

第3回口頭弁論調書(判決)

事件の表示令和8年(ワ)第8号

期日令和8年7月6日午後1時10分

場所及び公開の有無等福島地方裁判所いわき支部民事法廷で公開

判官鬼頭忠広

裁判所書記官野呂克己

出頭した当事者等 (なし)

弁論の要領等

裁判官

別紙の主文及び理由の要旨を告げて判決言渡し

裁判所書記官野呂克志

(別紙)

口頭弁論終結の日令和8年6月12日

第1 当事者の表示

原告富岡町(以下、「原告」という。)

被告被告A、被告NPO

第2 主文

1被告Aは、原告に対し、被告NP〇と次項の限度で連帯して、525万1180円並びにうち338万6000円に対する令和7年10月17日から支払済みまで、うち138万7800円に対する令和7年10月29日から支払済みまで、及びうち47万7380円に対する令和8年3月10日から支払済みまで、それぞれ年3パーセントの割合による金員を支払え。

2 被告NPOは、原告に対し、被告Aと連帯して、525万1180円並びにうち338万6000円に対する令和7年10月17日から支払済みまで、うち138万7800円に対する令和7年10月29日から支払済みまで、及びうち47万7380円に対する令和8年3月18日から支払済みまで、それぞれ年3パーセントの割合による金員を支払え。

3・訴訟費用は被告らの負担とする。

4この判決は、仮に執行することができる。

第3 請求

1請求の趣旨

別紙訴状訂正申立書写しの「第1 請求の趣旨」のとおり(ただし、被告Aに対する「本訴状送達の日の翌日」は令和8年3月10日、被告NPOに対する「本訴状送達の日の翌日」は令和8年3月18日である。)

2 請求の原因

別紙訴状訂正申立書写しの「第2請求の原因」及び別紙第1準備書面写しの1ないし3のとおり

第4理由の要旨

請求原因事実は、当事者間に争いがない。

以上

別紙

令和8年(ワ)第8号補助金返還等請求事件

本ページ中の当事者等の表示部分は省略した。

令和8年2月26日

訴状訂正申立書

福島地方裁判所いわき支部御中

頭書事件について、令和8年1月7日付「訴状」を添付の通り訂正致します(訂正箇所に二重線を付します。)。

以上

令和8年1月7日

訴状

福島地方裁判所いわき支部御中

本ページ中の当事者等の表示部分は省略した。

当事者の表示

事件の表示

事件名:補助金返還等請求事件

訴訟物の価額:525万1180円

貼用印紙額:3万2000円

第1 請求の趣旨

1 被告らは原告に対し、連帯して、525万1180円及び

内338万6000円について、令和7年10月17日から支払済みまで、内138万7800円について、令和7年10月29日から支払済みまで、内47万7380円について、本訴状送達の日の翌日から支払済みまで、それぞれ年3%の割合による金員を支払え

2訴訟費用は、被告らの負担とする

との判決並びに仮執行宣言を求める。

第2 請求の原因

1 当事者

(1) 原告は、地方自治体として「富岡町心の復興事業補助金」(以下「本補助金」)(甲1)を設けており、補助金申請に対する検討・決定・取消等の処分権を有する者である。

(2) 被告NPOは、地域社会の活性に貢献することを目的に、まちづくりの推進を図る活動等を実施している非営利活動法人である(甲2)。被告Aは、被告NPOの唯一の理事として選任され、活動していた(甲3)。令和4年以降、被告NPOの主な活動としては、「富岡町つつじ再生プロジェクト」(以下「本プロジェクト」)が実施されていた。

本プロジェクトの概要は、甲4の通り、被告NPOが有限会社B

で養育されたつつじの苗木を買い受け、Cの会等の関係団体を

通じて養育・植樹・管理し、以て富岡町の「町の花」であるつつじを広める他、東日本大震災からの地域復興を図ろうとするものである。被告NPOでは、つつじの苗木の購入費用や事務員らの人件費を賄うべく、本補助金を令和4年度から受給していた。

2 本補助金の概要

本補助金は、甲1に基づき、補助対象事業(甲1内第2条)を運営・実施する補助対象者(甲1内第3条)から交付申請を受け(甲1内第4条)、原告の交付決定を受けて支給されるものである。そして、事業完了後には事業実績を報告(甲1内第7条)し精査・清算を行う(甲1内第8条)ことになる。甲1内8条の規定によれば、事業実績報告をふまえて「事業が適切に行われ、その成果が得られたと認めたとき」に補助金額が確定するとされているところ、本補助金は、あくまでも補助金であるため、補助対象者の自己資本で事業を実施し、その実績に鑑みて補助金を後払いするというのが建前である。しかし、実際には、補助金を実施原資にしなければ事業の実施自体が成り立たない事業者が大多数であるため、申請時点で補助金の交付が見込まれた場合には、概算額を支払い、事業実施後清算する(多くの場合は過払金が生じるため、事業者から富岡町に過払金が支払われる)のが通例である。そして、実績報告の結果、補助金の目的外使用等、補助金支給決定取消事由(甲1内第14条)が判明した場合には、原告は、支給決定を取り消した上で返還命令を発し、事業者に対して返還請求権を有することになる(甲1内第15条)。

3令和6年度分の本補助金の状況

(1) 申請

令和6年3月22日、被告NPOは本プロジェクト実施の資金として本補助金の交付を申請した(甲5)。申請時点で見込まれていた事業費は349万3660円であり、その内、120万7800円は有限会社B

に対する業務委託費であった(甲5内6頁目、10頁目)。

(2) 交付决定·概括払い

原告は、申請書を精査した結果、申請された事業は本補助金の交付対象になると判断したため、349万3000円を交付する旨、令和6年4月4日に決定した(甲6)。被告NPOは、事業実施資金として本補助金が必要であったことから、概括払いの請求を行った(甲7)ところ、原告はこれを受け、令和6年5月24日に被告NP0の指定口座に349万3000円を交付した(甲8内25頁目)。

(3) 実績報告

令和7年3月31日、被告NPOは令和6年度事業の実績を報告した(甲9)。報告書に添付された精算額明細書によれば、被告NPOは事務員給与として年間72万円を支出した他、有限会社B に対する業務委

託費として120万7800円を支出した旨記載されており、かかる支出を示す資料として、事務員の領収書(甲10)及び有限会社B 発

行の領収書(甲11)を原告に提出した。いずれの領収書についても、受領者である D 及び有限会社B の記名押印があった。

原告は、甲9~甲11を精査の上、令和6年分の本補助金の確定金額は301万9000円であると認定した(甲12)。概括払い金との差額47万40000円については、令和7年5月29日に被告NP0から原告に対して返還済みである。

(4) 虚偽報告の発覚

ア令和7年4月以降、 D 及び有限会社B から原告

に対して、それぞれ「令和6年中に被告NPOから金銭を受領していないのであるが、どのように対応すればよいか」という旨の相談があった。原告において、両者からヒアリング調査を進めたところ、以下の事実が判明した。

イ D においては、令和7年1月分~3月分の給与に当たる合計

18万円が未払いであり、甲10の領収書に押印したことはないとのことであった(甲13)。

有限会社B においては、被告NPOが概括払いを受けてい

ることを被告Aから聞かされておらず、あくまでも「令和6年度末に本補助金額が確定しなければ業務委託費を支払えない」との説明であり、「補助金額確定のためには領収書が必要」との被告Aの説明に応じて、甲11のデータを送信したに留まり、業務委託費120万7800円は未払いとなっていること、甲11の原本は現在まで有限会社B が保

有していることが判明した(甲14)。

このようにして、支払いを遅らせた分、被告Aは、被告NPOが負う多額の負債の返済に本補助金を充てていた(甲15)。

ウ本来、本補助金の概括払いを受けておきながら、実際には支出していない場合、補助事業者は実績報告を通じて清算し、過払金は町に返還するべきものである。ところが、被告Aは、 D 名義の領収書(甲1.

0)を偽造し、あたかも給与が支払い済みであるかのように装って原告に報告をした(甲15)他、甲11を提出してあたかも業務委託費を

有限会社Bに支払い済みであるかのように装って原告に報告したこ

とで、この合計額である138万7800円の返還義務を免れた。

(5) 交付決定取消処分・返還命令の発付

このような虚偽報告及び目的外使用(事業目的で交付されたものを返済目的に使用したこと)が確認されたため、原告は、被告NPOに対して、補助金交付決定取消処分(甲1内第14条)及び返還命令(甲1内第15条)を発した(甲16)。ところが、訴状提出現在に至るまで、被告らからの返還は履行されていない。

4令和7年度分の本補助金の状況

(1) 申請

令和7年2月25日、被告NPOは本プロジェクト実施の資金として本補助金の交付を申請した(甲17)。申請時点で見込まれていた事業費は338万6050円であった。その内、120万9450円は有限会社B

に対する業務委託費であった(甲17内8頁目)

(2) 交付決定・概括払い

原告は、申請書を精査した結果、申請された事業は本補助金の交付対象になると判断したため、338万6000円を交付する旨、令和7年4月1日に決定した(甲18)。被告NPOは、事業実施資金として本補助金が必要であったことから、概括払いの請求を行った(甲19)ところ、原告はこれを受け、令和7年4月17日に被告NPOの指定口座に338万6000円を交付した(甲8内31頁目)。

(3)交付決定取消処分・返還命令の発付

本来、本プロジェクト実施のために令和7年度分の本補助金が概括払いされたものであるが、3に記載の通り、令和6年分の業務委託費自体が未払いであることから、有限会社B としては、未払いである限り、令

和7年度の業務委託を引き受けるという考えはなかった。それにも拘らず、被告NPOは概括払いを受けた本補助金について、返済に充てていたことが判明(甲8)したため、原告は、目的外使用を理由に、被告NPOに対して、補助金交付決定取消処分(甲1内第14条)及び返還命令(甲1内第15条)を発した(甲20)。ところが、訴状提出現在に至るまで、被告らからの返還は履行されていない。

5 被告Aの責任原因

被告Aは、被告NPOの唯一の理事として、本補助金の交付を受ける以上、要綱に則った適切な運用を行い、以て、被告NPOの目的達成に努める職務上の善管注意義務を負っていたにも拘らず、これを怠り、各費用未払いに至って、富岡町関係者に損失を与えた上、あろうことか故意に虚偽報告を行って、被告NPOの補助金返還債務を免れた結果、原告の財政にまで損害を与えた。したがって、民法709条に基づき、原告に対して損害賠償責任を負う。6被告NPOに返還債務があること

(1)甲16及び甲20において、補助金交付決定が取り消され、返還命令が発付されている以上、被告NPOは甲1内第15条に基づき、合計477万3800円の返還義務を負うことは明らかである。

(2) また、被告NPOは、「代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」(NPO法第8条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条)とされているところ、被告Aは、被告NP0の唯一の理事であり、本補助金の申請・交付・事業実施・実績報告・清算は、被告NPOの活動そのものであるため、「代表者が」「職務を行う」中で、「第三者」たる原告に損害を「加えた」といえる。

したがって、被告Aが原告に対して負う損害賠償責任について、被告NPOも連帯して負うことになる。

(3) 返還命令に伴う返還期限は、338万6000円について令和7年10月16日(甲20の2)、138万7800円について令和7年10月28日(甲16の2)と設定されている。そのため、各期限を徒過した日から遅延損害金が発生することになる。

7原告における損害

(1)補助金返還命令金額:477万3800円

(2)弁護士費用:47万7380円

原告が、東日本大震災からの復興を意図して、富岡町心の復興事業補助金を設立して以来、本件に至るまで、本件同様の虚偽報告及び目的外使用が問題になる事例は存在しなかった。本件が発覚し、富岡町財政へのダメージを少しでも回復するべく、原告は、訴外での金銭回収を試みたものの、被告らは一向に弁済せず、被告Aにいたっては、いよいよ居留守や不通といった対応を執り、原告からのコンタクト自体を避ける様子が窺われた。そこで、原告としては、原告訴訟代理人弁護士に依頼し、刑事告訴及び本件訴訟提起という法的手続の履践を行わざるを得なくなった。かかる経過にてらせば、委任のために生じた弁護士費用のうち、少なくとも本件訴訟での請求額の10%に相当する程度は、被告らの行為と相当因果関係のある損害と認められて然るべきである。

そのため、本件訴訟で請求する弁護士費用は、47万7380円である。(3)損害额合計:525万11.80円

8結論

(1)以上より、原告は、被告NPOに対して、富岡町心の復興事業補助金交付要綱第15条に基づく返還命令及びNPO法第8条が準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条に基づく損害賠償請求として、525万1180円及び内

338万6000円について、令和7年10月17日から支払済みまで、138万7800円について、令和7年10月29日から支払済みまで、47万7380円について、本訴状送達の日の翌日から支払済みまで、それぞれ民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(2) また、原告は、被告Aに対して、民法709条に基づく損害賠償請求として、525万1180円及び内

338万6000円について、令和7年10月17日から支払済みまで、138万780.0円について、令和7年10月29日から支払済みまで、47万7380円について、本訴状送達の日の翌日から支払済みまで、それぞれ民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(3) 以上2つの債務については、不真正連帯債務の関係に立つことから、被告らは連帯して、原告に支払責任を負うものである。

以上

別紙

令和8年(ワ)第8号補助金返還等請求事件

本ページ中の当事者等の表示部分は省略した。

令和8年5月14日

第1準備書面

福島地方裁判所いわき支部御中

頭書事件について、原告から:被告Aに対する請求原因について、補充する。

1 被告Aの責任原因に関する主張の補充(不法行為の態様・故意の内容)

(1) 不法行為1- 虚偽報告

被告Aは、被告NPOの唯一の理事として、本補助金の交付を受ける以上、要綱に則った適切な報告を行い、報告内容に沿って返金すべき立場にあった。ところが、被告Aは、名義の領収書(甲10)を偽造し、あた

かも給与が支払い済みであるかのように装って原告に報告をした(甲15)他、甲11を提出してあたかも業務委託費を有限会社B に支払い済

みであるかのように装って原告に報告した。この行為は、被告NPOが余剰金の返還を免れる目的で実施された故意による不法行為である。

(2) 不法行為② - 補助金流用

さらに、被告Aは、かかる虚偽報告によって返還を免れた金銭を、被告NPO又は被告A個人の負債返済に充てた。かかる行為は、原告と被告NPOとの関係では、補助金の目的外使用(被告NPOとは別主体である被告A個人の債務返済に充てられた点及び被告NPOにおいて、事業資金とすべきものを債務返済に充てた点)に当たるものであり、被告NPOの原告に対する不法行為を構成するものである。

被告A個人が所有していた自宅不動産を代物弁済として受領したのは、合同会社E である(甲22)。同社は、被告NPOに対する債権者と考えられた(甲15内5枚目)ものの、被告NPOではなく被告A個人に代物弁済をさせている点で、被告Aとの関係でも債権者であったことが窺われる。そうすると、原告への返還を免れた余剰金を原資として、

合同会社Eに弁済した点は、原告の補助金及び被告NPOの財産を用いて自身の負債を減らす行為であり、被告NPOとの関係で明確な横領行為である他、原告との関係でも、不法行為を構成する。

(3)したがって、被告Aは、民法709条に基づき、0②によって生じた原告の損害について損害賠償責任を負う。

2 原告の被告NPOに対する損害賠償請求(再掲)

被告NPOは、「代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」(NPO法第8条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条)とされているところ、被告Aは、被告NPOの唯一の理事であり、本補助金の申請・交付・事業実施・実績報告・清算は、被告NPOの活動そのものであるため、「代表者が」「職務を行う」中で、「第三者」たる原告に損害を「加えた」といえる。

したがって、被告Aが原告に対して負う損害賠償責任について、被告NPOも連帯して負うことになる。

3 原告の損害発生状況に関する主張の補充

(1) 不法行為による損害

被告NPOの唯一の理事として虚偽報告を行った結果、原告は、補助金交付決定に関する判断を誤ることとなり、被告NPOの無資力も相まって、原告の被告NPOに対する補助金返還請求権を実質的に無益なものに至らしめた。(2)不法行為②による損害

被告NPOの財産、ひいては原告の補助金を用いて、自身の債務を弁済した結果、被告NPOの財産状況を悪化させ、ひいては原告の被告NPOに対する補助金返還請求権を実質的に無益なものに至らしめた。

4今後の裁判手続の進行方針について上申

原告側としては、被告NPO及び被告Aに目ぼしい財産が見込めないことから、分割払いを前提とする和解を拒否し、判決を頂戴したく存じます。以上

出典:裁判所ウェブサイト「裁判例検索」(https://www.courts.go.jp/hanrei/97045/detail4/index.html)。本文は同サイト掲載の判決書PDFからTaiLexi AIがテキスト化・整形したもの(正確な文言は原本PDFを参照)。判示事項・裁判要旨・参照法条は裁判所の公表どおり。