TaiLexi AI日本の判例・法令
国会審議›第1回国会›閣法第37号
閣法第1回国会 第37号成立

皇室経済法施行法案

昭和22年法律第113号 皇室経済法施行法
提出昭和22年8月11日 内閣
付託衆議院 皇室経済法施行法案特別委員会
参議院 皇室経済法施行法案特別委員会
成立昭和22年9月18日
昭和22年法律第113号
審議会議 8回・発言 230(政府答弁等 83)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院皇室経済法施行法案特別委員会

  1. S22.8.19趣旨説明皇室経済法施行法案特別委員会 24
  2. S22.8.22質疑皇室経済法施行法案特別委員会 341
  3. S22.8.26質疑・討論・採決皇室経済法施行法案特別委員会 452
  4. S22.8.29委員長報告・採決本会議 3112

参議院皇室経済法施行法案特別委員会

  1. S22.8.20趣旨説明・質疑皇室経済法施行法案特別委員会 234
  2. S22.8.27質疑皇室経済法施行法案特別委員会 352
  3. S22.9.17質疑・採決・討論皇室経済法施行法案特別委員会 445
  4. S22.9.18委員長報告・採決本会議 3125

提案理由

齋藤隆夫 國務大臣 昭和22年8月19日

ただいまから御審議をお願いいたします皇室經濟法施行法案について御説明申し上げます。

 本法案は、皇室經濟法の施行に必要な事項を規定いたすことを、内容といたしておりますので、まず本法案に關連する限度において、皇室經濟法の御説明をいたしてから、本法案の内容を御説明いたしたいと存じます。

 新憲法施行前は、皇室の經濟は國の經濟のほかにあるものとして、ただ年額四百五十萬圓が國庫から皇室に支出せられて、その經費の一部に充てられるほかは、帝室林野會計による收入等によつて賄われる、獨立の經濟となつておりました。しかるところ、日本國憲法は、その第八十八條において「すべて皇室財産は、國に屬する。すべての皇室の費用は、豫算に計上して國會の議決を經なければならない。」旨を規定し、皇室に關する經濟が、國の經濟の一部となるべきことを明確にいたしました。

 またその第八條において「皇室に財産を讓り渡し、又は皇室が、財産を讓り受け、若しくは賜與することは、國會の議決に基かなければならない。」旨を規定し、皇室を一方當事者とする財産の授受について、制限を設けました。

 皇室經濟法は主としてこの二箇條に基いて規定することを要する事項を中心とし、皇室の經濟關係に關する事項をとりまとめて規定いたしているのであります。その第二條においては憲法第八條の規定を受けて、皇室を一方當事者とする財産の授受について、その授受の性質の點から考え、あるいはその財産の價額の點から考えて、一件ごとに國會の議決を要せずに行い得るもの、國會の議決は必要としないが、皇室經濟會議の議を經ることを必要とするものについて規定いたしましたが、その一件の價額は別の法律をもつて規定すべきものといたしております。さらに同條においては、一件ごとの價額としては、今申し上げましたように一定の制限額を超えないが、これが短時日の間に反復して行われるようなことがあれば、法の趣旨を沒却するに至るべきことを考慮して、かかる事態を防止すべき規定を置いておるのてあります。

 第三條においては、豫算に計上せられる皇室の費用は、内廷費、宮廷費及び皇族費の三つであることを規定し、第四條以下の三箇條においてこの三つについてそれぞれの規定を設けております。すなわち内廷費とは、天皇竝びに皇后、皇太后、皇太子、その他内廷にある皇族の日常の費用、その他の諸費に充てられるものとして、國庫から支出すべきものと定めておりますが、その年々の定額は、別の法律で定めることに規定いたしております。次に宮廷費は、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てられるべきものと規定しておりますが、その金額は毎年度の豫算により定まるものであります。また皇族費については、皇族に對する年額として支出されるもの及び皇族がその身分を離れる際に一時金額として支出されるものの二つがあることを規定いたしておりますが、これはいずれもこれらの方々の品位保持の費に充てらるべきもので、その金額は別の法律によつて定められる定額を基礎として計算されるべき旨を規定いたしております。

 以上申し上げましたように、皇室經濟法において、別の法律で定めるべきものと規定いたしました諸點を規定するとともに、その他同法施行のため必要な規定を集めたのが、ただいまより御審議をお願いいたします皇室經濟法施行法案であります。

 この施行法については、政府といたしましては、先般の第九十二囘帝國議會に提案をいたすべきものかとも考えたのでありますが、事柄の重要性に鑑み、會期の都合その他を勘案いたしまして、本格的な法律案はこれを第一囘國會に讓ることといたしまして、前の議會ではとりあえず暫定法たる皇室經濟法の施行に關する法律案を提出して、これが議決されたのでありまして、本格的な立法は、これを第一囘國會に讓つたのであります。この點は、右法律の規定中にも「日本國憲法施行後の最初の國會において定められるまで」というような字句をもつて明らかにされているのでありまして、今囘ここに皇室經濟法施行法案の提出をいたし、御審議を仰ぐこととした次第であります。

 以下本法案の逐條につき、その内容を御説明申し上げます。

 第一條には、まずこの法律の目的を明らかにいたしました。第二條には、皇室を一方當事者とする財産の授受のうち、その一件ごとの價額として、國會の議決も皇室經濟會議の議決をも必要としないものの金額を五萬圓、皇室經濟會議の議決は必要とするが、國會の議決は必要としないものの金額を十萬圓といたしました。いずれも從前の賜與進獻の實際と、現下の物價状況等を考慮して定めたものであります。

 次に皇室經濟法第二條第三項によりますれば、一件ごとの價額としては、この法律の第二條に規定した金額の制限を超えないものについても、これが反復的に行われる場合において、一年に滿たない期間内において一定の價額に達した以後は、個々の授受ごとに、國會の議決を要することと定めているのでございますが、皇族一人について、その一定の價額を十五萬圓と定めましたのが、この法律案の第三條であるのであります。これまた現下の物價その他諸般の事情を考慮して決定した額であります。第四條においては、天皇及び皇后、太皇太后、皇太后については、第二條において十萬圓と定めた金額、すなわち國會の議決を要せず、皇室經濟會議の議決のみで授受し得る財産の價額を、十萬圓の三倍三十萬圓と定めました。これの立法理由は、天皇及び三后の特別の地位を考慮いたした結果であります。

 第五條においては、天皇及び内廷にある皇族については、個々の授受について國會の議決を要せずして行われ得る賜與進獻の通計額の一年内の限度を、百二十萬圓といたしました。このように一般皇族と異なり、天皇及び内廷にある皇族については、御一人御一人でなく、全員を通じて計算するものとした理由は、内廷費についても皇族費と異なり、これを一括して計上しておりますように、天皇を中心とする一つの御世帶を中心として事柄を考えることを適當と考え、また實際上、賜與の場合に天皇、皇后兩陛下から行つたものが多く、その内部的分擔を明らかにするのは、かえつて實情に即しないものと考えたことによるものであります。また金額の點は、第二條に規定した一年間における財産讓受けの通計額の限度である十五萬圓に、天皇及び内廷皇族の方々の數を乘じてこれを定めたものであります。第六條は、皇室經濟法中において、一年間における財産授受の合計額とか、同一の者について一年間に行われる財産の授受というような規定がありますので、その始期、終期を明らかにして運用の適切を期せんとしたものであります。

 第七條及び第八條はそれぞれ内廷費及び皇族費の定額の規定であります。いずれも從來の實際物價の状況、今後の皇室のあり方等を總合勘案して算出いたした額であります。ただ皇族費の定額は、暫定法たる皇室經濟法の施行に關する法律においては、一應十五萬圓とせられておりましたが、物價の現状その他諸般の事情を考慮いたしまして、皇族費の定額を、この法律においては二十萬圓といたすこととなりました。

 第九條は、この法律により内廷費及び皇族費は、具體的に定額を定められるわけではありますが、その金額が豫算に計上せられ、國會の議決を經た後に、はじめて支出せられ、支出手續がとられるべきものである旨を規定したものでありまして、憲法第八十八條後段「すべて皇室の費用は、豫算に計上して國會の議決を經なければならない。」との規定に對應するものであります。

 その他附則においては、昭和二十二年度については、この法律が八月一日から適用されること、その他の施行上必要な規定を設けております。

 以上概略の御説明を申し上げました。可分の御審議を御願いいたします。

 次に日本國憲法第八條の規定による議決案提案の理由を御説明いたします。

 ただいま御説明致しました皇室經濟法施行法案第五條によりますれば、これらの方々が一年内になされる賜與または讓り受けの財産の價額が百二十萬圓、本年度は八十萬圓でございますが、この額に達しますれば、その後の期間においてなされる賜與または讓り受けについては、その價額の多寡にかかわらず、國會の議決を經ることを要するものとなつております。しかしながら天皇初めこれらの皇族が、特に災害の場合の罹災民に對するお見舞あるいは各種の御奬勵のために賜與される價格は、今後明年三月末までの期間において、百二十萬圓近くに上ることが見込まれておりまして、上述の八十萬圓をその他の一般的な賜與に充當いたしますとすれば、これらお見舞、御奬勵のための賜與は、そのたびごとに個個に國會の議決を煩わすことになるのであります。しかるにこれらの賜與は、災害に對するお見舞のように、その都度實際の必要に當面して一々國會の議決を經ることが、事實上困難である場合も多く、またその賜與せんとする目的も定まつていますので、あらかじめ價額を限り一括國會の御議決をいただきたいと存ずるのであります。

 皇室經濟法施行法案第五條の價額中に、これらの目的の明らかな賜與、すなわちお見舞、御奬勵のための賜與の價額を加え、國會の議決を要しない通計額の限度を高めることを法定することも考えられるのでありますが、日本國憲法第八條の趣旨に、できるだけ副う意味で、これらの賜與については、今後各年度ごとに一括して國會の御議決を煩わすという方法によりたいものと考えた次第であります。

 以上が御議決を願う理由の大要でございます。何とぞよろしく御審議あらんことをお願いいたします。

 なお本案の内容は、數字に關するこまかしいことでありまするから、それらの點につきましては、法制局長官、法制局次長、その他政府委員において、詳しく御質問に應じて御説明があると思います。

 大要提案の理由は右のような次第であります。

第1回国会衆議院皇室経済法施行法案特別委員会議録第2号1頁(昭和22年8月19日)〔齋藤隆夫國務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100101037)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。