地方自治法の一部を改正する法律案
参議院 治安及び地方制度委員会
昭和22年法律第169号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院治安及び地方制度委員会
- S22.10.16趣旨説明・補足説明治安及び地方制度委員会 247
- S22.10.20質疑治安及び地方制度委員会 2530
- S22.10.22質疑治安及び地方制度委員会 2635
- S22.10.23質疑治安及び地方制度委員会 2745
- S22.10.28質疑治安及び地方制度委員会 2861
- S22.10.30質疑治安及び地方制度委員会 2923
- S22.12.4修正案趣旨説明・採決(修正)治安及び地方制度委員会 4412
- S22.12.5委員長報告・採決(修正)本会議 7217
提案理由
木村小左衞門 内務大臣 昭和22年10月16日本委員會に付託に相なりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
地方公共團體の自主性と自律性とをさらに強化し、新憲法の精神に基き地方自治の本旨を一層徹底せしめることについては、何人も異論のないところであると存じます。申すまでもなく、地方自治法は、從來の中央集權性を改め、後見的監督の制度を改めて、地方公共の事務は、住民の創意と責任とにおいてこれを處理せしめることを根本の建前としているのでありますが、地方自治法施行の状況及びその後の情勢の推移に應じまして、この際さらに地方公共團體の自主權を強化し、その自律性を徹底して、地方自治の本旨のより一層積極的な登場をはかることが適當であると存ぜられるのであります。よつて、地方事務所及び地方公共團體の協議會の設置竝びに使用料等に關する許可權を整理するとともに、市町村合併等の際における財産處分は、すべて關係團體の自主的協議によつて定められることといたしました。一面地方公共團體に委任せる国政事務處理のための経費の財源に對する措置及び地方公共團體の長に委任した國政事務に關する手數料の徴收等に關する規定を整備するととに、いわゆる起債自由の原則を認め、ただ現下の情勢に鑑み當分の間從來の制度を存續する建前といたしまして、財政自主權をさらに強化するとともに、その保障を厚くしたのであります。
次に國政の運營と地方自治行政との間に適切な調整をはかり、一面において、国の絶對必要とする要請を確保するとともに他面において、地自方治に對する保障を公正かつ民主的な方法によつて維持することは、國家の健全な再建と發展とをはかる上において特に必要であると存ぜられるのであります。最近特別地方行政機關設置の傾向が逐次強まり、現在都道府縣の區域内に設置されている主要なものの數は約九十に達する状況であります。もとよりこのような傾向の馴致されましたゆえんについては、現下當面しつつある經濟情勢から見てやむなき事情もあると存ずるつであります、しかしながら、これら各種機關の運用の實際を見ますとあるいは總合的地方行政の一環として廣い視野のもとに處理した方が、より一層適切であると認められるものがあるやに觀取され、國政の適切な遂行をはかる上からも、地方自治の圓滑な進展を明する上からも。今後單に局面的見地から出發した出先機關が濫立される傾向を防止することは特に必要と存ぜられるのであります。よつて、今後新たに地方行政機關を設置しようとする場合には、國會の承認を要するものとし、もつて國會によつてその間に公正かつ適切な調整が加えられることといたしたのであります。また反面におきまして、地方公共團體の長は、國の機關として各般の國政事務を處理しているのでありますが、その國政事務の處理が法令の規定もしくは主務大臣の處分に違反し、または著しくその職務を怠る等の場合におきましては、その遂行を確保する措置を講ずることは、これまた國政の運営と地方自治行政との間の調整をはかる上において特に必要があると存ぜられのるであります。よつて、地方自治法第百四十六條の知事、市町村長等の彈劾裁判の規定を改めて、新たな構想の下に、司法裁判所による公正な事実認定を基礎として、国政事務の遂行を強制し、確保する措置を規定することといたしたのであります。
次に地方公共團體の意思機關であるにかかわらず、從來とかく閑却されがちであつた地方議會の積極的活動と圓滑な運營を期することは、新しい地方自治の健全な發展を期する上において特に必要でありますので、この點に關し、地方自治法の規定をさらに補足する必要があると存ぜられるのであります。今後地方議會の議員は、條例の制定等について、積極的活動を行うことがいよいよ多くなつてくるであろうと豫想されますので、そのための調査研究を行い議員としての識見を養うことは、議員として當然の責務であります。また議會と執行機關との關係におきまして、殊に多くの問題を捲き起すものは、豫算の議決に關する事項であります。よつて政府は、地方議會に對し、官報及び政府の刊行物を地方公共團體の議會に送付し、圖書室を必ず設置しなければならないこととしました。また知事、市町村長等の發案權を侵害しない限り、地方議會は豫算の増額修正をすることを妨げない旨の規定を設けたのであります。
次に、選擧の民主化を徹底し、その公正な執行をはかることは、住民自治の本義に鑑特に必要であることは申すまでもないところでありますが、過般の選擧の結果等に鑑みまして、これらの點に關しさらに規定を整備する必要があると存ぜられるのであります。よつて補充選挙人名簿の調整を選擧の都度行うとともに、選擧人の年齢及び住所の期間を選挙期日により算定することとし、選擧に参加し得る選擧人の範圍を極力擴充して選擧の民主化をはかることといたしました。また地方公共團體の長の決選投票または選擧において、一旦有競争の状況になつたにかかわらず、候補者死亡、辭退のため候補者が一人となつたときは、無投票とせず、選擧の期日を延期して、第三位の得票者を候補者とし、または、あらたに補充立候補を認めることとして、極力選擧の民主化と公平とをはかることとしました。またさらに同一政黨の候補者は、二人を越えて各種立會人を出すことができないことといたす等、選擧手續の公正を期することとしたのであります。
以上が本法律案中に規定いたしました主要な改正事項であります。なお、近く行われる内務省の解體に伴いまして、先般政府は、その後継機關として地方自治委員會を設置することとし、所要の法律案を提案いたしましたところ、その後情勢の推移により、右法律案を撤囘し、地方自治委員會の機構について再検討を加えなければならないこととなつたことは、すでに各位の御承知のことと存じます。從つて政府としては、この後継機關の機構等につき成案を得ました後に、その関係法律案とともに、本法律案を同時に提出する豫定で準備を進めて参つたのでありますが、何分にも會期も切迫し、その時期を待つていては、重要なる地方自治法の改正自體についての御審議を願う期間がいよいよ少くなると存ぜられますので、とにかく速やかに本法律案を國會に提案して御審議を願うことに方針を定め、今囘急遽提案いたした次第であります。從つて、本法律案におきましては、從來地方自治法及び衆議院議員選擧法等において内務大臣の有していた權限は、特に重要な權限を内閣總理大臣の權限といたしましたほかは、すべて一應地方自治委員會の權限に改めてあるのであります。從いましてこの點については、内務省の後継機關に關する成案の決定と相まつて、本委員會の御審議の途中において、適當なる措置を講ずることといたしたいと思います。今囘政府がこのような便法をとりましたことにつきましても、またその間の事情を篤と御了察願いたいと存ずるのであります。
以上本法律案の提案の理由及びその内容中主要な事項を説明いたしましたが、なお本法律案に規定いたしました主要事項につきましては、林政府委員をして説明いたさせます。何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられんことをお願いいたします。
第1回国会衆議院治安及び地方制度委員会議録第24号5頁(昭和22年10月16日)〔木村小左衞門内務大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100101079)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。