金融機関再建整備法の一部を改正する法律案
参議院 財政及び金融委員会
昭和22年法律第162号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
小坂善太郎 政府委員(大藏政務次官) 昭和22年11月1日次に金融機關再建整備法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明申し上げます。
今囘の法律案は金融機關の再建整備に伴いまする未拂込資本金の徴收及び再建整備中に解散いたしました金融機關の措置に關して、新たに規定を設けることといたしたのであります。金融機關の最終處理をなすにあたりまして株主に確定損を負擔させる場合において、もし資本に未拂込金があれば、これを徴收しなくてはならないことになつておるのであります。この場合未拂込資本金の徴收につきまして再建整備の趣旨に則りまして、かつ株主側の事情をも考慮いたしまして、商法の一般原則によることなく、特別の手續によることといたしたのであります。その骨子は大體次の三點にあります。第一點は未拂込資本金の拂込の責任は、指定時すなわち昭和二十一年八月十一日午前零時、この指定時の株主がこれを負うということであります。從つて指定時前に株主であつた者及び指定時後新たに株主となつた者には責任がないことになります。ただ指定時後の新株主が拂込に應じたい場合には、拂込をなし得る機會は與えてあります。指定時後の新株主が拂込に應じなかつた場合は、その新株主は失權し、その株式は指定時の株主に歸屬し、これに對し拂込催告が發せられます。
第二點は、指定時株主の責任は、その株主が個人であるか法人であるかによつて、責任の態樣を異にしてゐるということであります。すなわち個人及び閉鎖機關は失權によつて拂込債務を免れることができますが、閉鎖機關以外の法人は、拂込債務を免れることができません。もちろん法人の中には金融機關または特別經理會社たる法人もあるわけでありまして、これらのものの未拂込資本金の拂込債務は舊勘定に屬することとなりますから、再建整備の一般原則に從つて、打切り整理せられることは當然であります。
第三點は、指定時後の新株主が、その株式の取得にあたつて、再建整備による未拂込資本金の拂込徴收のあるべきことを豫想しなかつたものである場合には、その新株主が失權によつてこうむつた損失は、直接の讓渡人に對し求償をなし得、逐次指定時株主までこの求償を及ぼさしめるということであります。指定時の株主はいかなる場合にも求償權は認められておりません。
次に再建整備中の金融機關が解散した場合の措置に關する部分でありますが、再建整備法により整備中の金融機關が解散した場合は、再建整備の整理と清算措置との調整をいかにするかということについて問題を生ずるので、その調整に關し大要次のように措置したのであります。まず解散金融機關の清算人の作成する財産目録及び貸借對照表竝びに債權者に對する債權の申出の催告は、新勘定に屬するもののみに限定して、舊勘定については清算措置をとらないことといたします。
次に新勘定に屬する債務の辯濟は、舊勘定の再建整備による最終處理が完了するまで停止し、最終處理完了後に一般原則による清算措置を進行せしめることといたしたのであります。
なお最終に、未拂込資本金の徴收に關する部分はすでに施行せられている企業整備法に基く特別經理會社の未拂込資本金の徴收に關する規定と同一の原則によつたものであることを附言いたします。
以上本案の内容の大要につき御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御贊成あらんことを切望いたします。
次に補助貨幣損傷等取締法案及びすき入紙製造取締法案つきまして、その提案の理由を説明いたします。
昭和十五年大藏省令第四十號は、地金として販賣し、または使用する目的をもつて補助貨幣を蒐集、鑄改または毀傷することを得ない旨及びこれに違反した者は懲役または罰金に處する旨を規定しており、また明治二十年勅令第三十六號すき入紙製造取締規則は、文學畫紋をすき入れた紙を製造する者には見本を提出することを命ずるとともに、紙幣、兌券換銀行券、公債證書、大藏省證券、その他政府發行の證券にすき入れてある文字畫紋と同じ文學畫紋をすき入れたり、あるいは同じでなくとも、すき入れを行つた紙、いわゆる黒ずきを製造したりすることを禁じ、これに違反する者は罰金に處する旨を規定しています。ところがこれらの罰則を委任した根據法であるところの明治二十三年法律第八十四號命令の條項違反に關する罰則に關する法律は、昭和二十二年四月法律第七十二號第三條によつて廢止せられたのであります。しかるに省令については昭和二十三年四月法律第六十九號、行政官廳法でありますが、第六條第二項において、また政令については憲法第七十三條第六號において、いずれも法律の委任がある場合でなければ罰則を設けてはならない旨を明定してあり、他方昭和二十二年法律第七十二號第一條は、日本國憲法施行の際、現に效力を有する命令の規定で法律をもつて規定すべき事項を規定するものは、昭和二十二年十二月末日まで法律と同一の效力を有することを規定しておりますので、結局昭和十五年大藏省令第四十號及び明治二十年勅令第三十六號は、ともに本年末日までは法律と同一の效力を有するが、それ以後は失效することになります。しかるに右の省令及び勅令によつて取締つている事項は、今後も引續き取締る必要がありますので、この際取締の範圍及び罰則につき、最近の他の取締法規との關係及び輕重を勘案して多少の修正を加え、新たに法律を制定することといたした次第であります。
以上につき御説明申し上げたわけでありますが、四件につきまして、何とぞ速やかに御協贊を與えられんことを切望いたします。
第1回国会衆議院財政及び金融委員会議録第31号6頁(昭和22年11月1日)〔小坂善太郎政府委員発言・発言番号9〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100101083)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。