中小企業庁設置法案
参議院 決算・商業・鉱工業連合委員会
衆議院 商業委員会
参議院 決算・商業・鉱工業連合委員会打合会
参議院 決算・商業・鉱工業連合委員会中小企業庁設置法案に関する小委員会
昭和23年法律第83号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院決算・商業・鉱工業連合委員会・決算委員会・決算・商業・鉱工業連合委員会打合会・決算・商業・鉱工業連合委員会中小企業庁設置法案に関する小委員会
- S23.3.29趣旨説明・質疑決算・商業・鉱工業連合委員会 132
- S23.4.14議案(衆議院修正部分)決算委員会 630
- S23.4.16質疑決算・商業・鉱工業連合委員会打合会 147
- S23.5.20質疑決算・商業・鉱工業連合委員会中小企業庁設置法案に関する小委員会 129
- S23.5.26小委員長報告・質疑決算・商業・鉱工業連合委員会 219
- S23.5.28質疑決算委員会 1381
- S23.6.1質疑決算委員会 1522
- S23.6.2修正案趣旨説明・討論決算委員会 167
- S23.6.4委員長報告・討論・採決(修正)本会議 4350
- S23.6.4採決(修正)・討論・修正案趣旨説明決算委員会 1847
衆議院商業委員会鉱工業委員会連合審査会・商業委員会
- S23.3.29趣旨説明・質疑商業委員会鉱工業委員会連合審査会 146
- S23.3.30質疑商業委員会鉱工業委員会連合審査会 271
- S23.3.31質疑商業委員会 452
- S23.4.6質疑・修正案趣旨説明・討論・採決(修正)商業委員会 523
- S23.4.6委員長報告・採決(修正)本会議 4027
- S23.6.29参議院回付案不同意・参議院回付案・採決(再議決)本会議 73123
提案理由
水谷長三郎 商工大臣 昭和23年3月29日長らくお待たせいたしまして、まことに恐縮でございます。これから中小企業廳設置法案の提案理由を説明させていただきます。
中小企業問題は、現下の最も深刻かつ重大な問題の一つでありまして、この中小企業の健全な育成をはかりますことは、焦眉の急を要すると信ずるものであります。今のこれを次の三つの角度から考えてみたいと思います。
第一に、小中企業問題は、單なる経済問題に止まらず、実は深刻なる社会問題であります。元來百人未滿の工場が数において全体の九九%、労務者の数におきまして五四%を占めているのが、わが國の工事の察態であります。この事実は、わが國の産業構成上、中小企業の存立いかんがいかに重大なる意味をもつかということを明らかに示しているのであります。その中小企業が現在大多数非常に苦しい状態に追こまれておることは、單に経済政策の上からだけでなく、社会の治安にもかかわるゆゆしい問題であると考えるのであります。
第二に、今後わが國の経済のあるべき姿を考えますならば、これが自由公正な競爭を原則とするものでなければなりませんことは、経済民主化の上から必然の結論であると思います。これは独占禁止法が明確に示しているところでありますが、國際的に考えましても、將來自由公正な國際交流経済をもつて、その理想的原則といたすであろうということは、國際貿易憲章の考え方などから推して考えましても、おおむね予測し得るところでございます。從いまして、このような公正自由な競爭という立場に立つてみます場合に、社会的競爭單位にも達し得ない中小企業を育成して、独立して公正競爭場裏に立ち得るだけの実力をもたせることが、絶対的に必要なことでございます。
第三は、將來のわが國経済の構造を考慮いたします場合、さらに問題は重大となつてまいるのでございます。御承知の通り、わが國は戰爭によりまして、多くの生産設備や資産を失つたのでありますが、このことは、今後におきまして、中小企業問題の性格をさらに一層深刻なものといたすであろうと思われるのでございます。すなわち、あわ國はもともと資源に乏しい國情をありますため、原料を國外に仰いで、これに加工して輸出を行い、これをもつて國民生存の経済的基礎とせざるを得ないのでありますが、ただいま申し上げましたわが國の國際的地位及び経済條件の根本的変化に伴いまして、この加工貿易のきわめて大きな部分は、中小企業の手によつて担つていかざるを得ないであろうということは明らかでございます。しかるに現在の中小企業が、はたして國際的水準に達しているかどうか、すこぶる寒心に堪えないのでございまして、この点に鑑みますと、中小企業の水準向上は、わが國経済存立上、緊急不可欠の問題でございます。
以上申し述べましたように、國内における社会情勢から見ましても、自由公正競爭の確保による経済民主化の観点から申しましても、はたまたわが國の置かれるべき國際経済上の自立ということから考えましても、中小企業の健全なる発達をはかることは、この際何としても行わねばならぬことであると思うのであります。中小企業は現在非常に苦しい立場にあります。しかして今中小企業の苦境は、一体何に起因しているかと考えますれば、大体三つの大きな原因があると思われるのでございます。すなわち第一には、何ということなく一般的に潜在している大企業偏重の傾向であります。優秀な中小企業でも、單に規模が小さいために無視されるような傾きははたしてないか。われわれはこのような傾向はまことに好ましくないものといたしまして、その是正をはからねばならぬと考えている次第でございます。第二には、中小企業が数多く規模小さいため、発言の中心をもたないことであります。このことが中小企業を常に不利な立場に追こむ一つの原因をなしているのではないかと考えております。第三には、また、中小企業の中には、事実弱体かつ低水準のものもあるということであります。中小企業の資材難、資金難、経営難も、いずれもせんじ結めればこの三つに基因しているのでございまして、この三点を打開いたしますことは、中小企業の健全なる発達を期する上に、最も重要なことであると信ずる次第でございます。しかし、これだけのことを確実に行いますためには、具体的にこれらの諸問題の解決に当るべき專任機関を必要といたすのであります。すなわち、廣汎な中小企業問題を打開いたしますためには、大企業と中小企業同時に取扱う機関のみではどうしても不十分でございまして、中小企業の公正なる利益の代表者といたしまして、中小企業を護り、かつ一面においては中小企業自体の体質向上について、專心その指導に当る機関が必要と相なるのでございます。これがすなわち今回この中小企業廳設置法案を國会に提出いたしまして、中小企業專門の機関として、新たに中小企業廳をつくろうとするゆえんであります。
本法案の詳細につきましては、いずれ御審議に際しまして、個々具体的に申し述べたいと考える次第でございますが、以上申し述べましたような理由から、中小企業廳は二つの重要な機能を中心といたしているのであります。すなわち、中小企業者全体の公正な利益の代弁者として、政府内外に対してその擁護に当る機能がその第一であります。次は、具谷的に中小企業の技術、経営その他の指導を行い、相談相手となりまして、中小企業の水準を向上させる機能、これがその第二であります。このような機能を有しますために、一面中小企業の大部分を構成する商工業の実体と密接なる関連を保ちつつ、他面においては独立の地位を必要といたす次第でございまして、これが中小企業廳を商工省の外局といたす理由でございます。またこの権限といたしましては、これらの目的を達成するに必要な事項を渇げておるのでございまして、中小企業廳長官には、特に強い独立的地位を與えておるのでございます。また中小企業振興の上に特に重要な点は、施策の具体的運営いかんにあるのでございますが、この点に関しましては特に中小企業の特殊性に鑑み、各地方の公共團体、その他地方商工局等、廣範囲の機関の機能を十分活用いたしますとともに、中小企業連絡調整委員会の活用により、各政府機関全体の総合的連繋をもはかることによりまして、強力かつ着実なる施策を推進いたすつもりでございます。同時に右のような特殊の任務に鑑みまして、その実質的効果をあげるために、画一的形式主義の排除に努力をいたしますとともに、特に各方面の專門家を多数包容し、運営の完全を期する所存でございます。中小企業問題はわが國の当面する重要問題の一つであります。しかして中小企業廳の設置こそは本問題解決のための施設の第一歩をなすものでございまして、この重大性に鑑み、何とぞ本法案に対しましては愼重御審議の上、なるべく速く御賛同あるんことを切に希望いたす次第でございます。
第2回国会衆議院商業委員会鉱工業委員会連合審査会議録第1号1頁(昭和23年3月29日)〔水谷長三郎商工大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100201017)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。