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国会審議›第2回国会›閣法第36号
閣法第2回国会 第36号成立修正あり

民事訴訟法の一部を改正する法律案

昭和23年法律第149号 民事訴訟法の一部を改正する法律
提出昭和23年4月2日 内閣
付託衆議院 司法委員会
参議院 司法委員会
成立
昭和23年法律第149号
審議会議 9回・発言 100(政府答弁等 15)

審議経過

右の数字は会議の発言数

衆議院司法委員会

  1. S23.4.5趣旨説明司法委員会 94
  2. S23.4.13質疑司法委員会 1238
  3. S23.5.21討論・採決司法委員会 2027
  4. S23.5.26委員長報告・採決本会議 5022
  5. S23.7.1参議院回付案・参議院回付案同意本会議 7597

参議院司法委員会

  1. S23.4.6趣旨説明司法委員会 146
  2. S23.5.19補足説明司法委員会 255
  3. S23.6.25修正案趣旨説明・採決(修正)司法委員会 4744
  4. S23.6.28採決(修正)・委員長報告本会議 5464

提案理由

奧野健一 政府委員(訟務長官) 昭和23年4月5日

ただいま議題となりました民事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。

 裁判所法の施行により、裁判機構に著しい改革がもたらされましたので、「日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律」を制定して、日本國憲法及び裁判所法の施行上必要やむを得ない部分に限り、民事訴訟法に対する應急的措置を講じたのでありますが、この應急的措置に関する法律は、本年七月十五日を以てその効力を失いますので、この際、現行民事訴訟法に所要の改正を加え、新しい裁判機構のもとにおける訴訟手続の進行を円滑にし、國民の権利保護に遺憾なきを期そうとするのが、本改正法律案の趣旨であります。

 なお、民事訴訟法につきましては、廣範囲にわたり、最高裁判所の定める民事訴訟規則との調整をはかる等、根本的に檢討すべきものがありますので、鋭意研究を続けているのでありますが、諸種の事情のため、いまだこれを立法化するの域に達しておりませんので、民事訴訟法の根本的な改正はこれを他日に讓り、本改正法律案においては、右の應急的措置に関する法律の失効に伴い必要な最小限度の改正を主眼とし、併せて、新しい裁判機構のもとにおける民事訴訟制度の運営上適当と考えられる一、二の新しい制度をも取り入れることとして、その立案をいたした次第であります。

 以下本改正法律案の要点を御説明いたしますと、まず第一は、日本國憲法、裁判所法及び民法の一部を改正する法律の施行等に伴い、必要な條文の整理をしたことであります。たとえば、軍人軍属に関する特別規定を削除し、「区裁判所」を「簡易裁判所」または「地方裁判所」に改め、「家族」を「同居の親族」に改めたもの等で、本改正案中の大部分は、この部類に属するものであります。

 第二は、裁判所法により、地方裁判所の審理及び裁判についても單独制が認められましたので、これに伴い必要な規定を設けたことであります。たとえば、地方裁判所の單独の裁判官の除斥忌避に関する第三十九條の規定、準備手続に関する第二百四十九條の規定がそれであります。

 第三は、証拠調について、当事者の権利と責任とを拡張し、直接審理の建前をさらに推し進めたことであります。すなわち民事訴訟の性格に鑑み、職権による証拠調を廃止するとともに、証人、鑑定人に対する当事者の尋問権を適当に拡張し、かつ裁判官の更送のあつた場合、及び証拠保全手続において証人等を尋問した場合について、直接審理の建前に添う規定を設けたのであります。

 第四は、正当な理由がなくて出頭しない証人等に対する制裁を強化したことであります。裁判所から証人または鑑定人として出頭を命ぜられた者が、正当の理由がないにかかわらず、これに應じないことは、單に当事者の不利不便を招くというに止まらず、裁判所の命令を無視するものとして、また訴訟遅延の原因となるものとして、裁判所の機能の運営に重大な悪影響を及ぼすものでありますので、これらに対しては從來より金額を増額した過料を以て臨むほか、新たに場合によつては拘留、科料の刑罰をも科し得ることといたしたのであります。

 第五は、簡易裁判所の訴訟手続に関する特則を設けたことであります。すなわち簡易裁判所における審理及び裁判につきまして、場合により、調書に記載すべき事項を省略し得ることとしたこと、及び口頭弁論期日に出頭しない当事者の提出した書面の設載事項を陳述したものとみなす場合を拡張したこと等、簡易な手続により迅速に紛議を解決するための適当な規定を設けたのでありまして、第三百五十二條以下数條の規定が、これであります。

 第六は、上訴の制度について、新しい裁判機構に即應する規定を設けたことであります。

 日本國憲法及び裁判所法の施行により、從來の制度と比べ、特に大きい変革を見るに至つたのは、最高裁判所の機能でありますことは、すでに御承知の通りであります。この大きい変革に即應するために、裁判所法におきまして、簡易裁判所の事件に対する上告は、高等裁判所の権限に属するものと定められましたが、さらに上訴一般につきまして、不必要ないしは不当な目的を以てする上訴を能う限り防止し、上訴審理裁判所、殊に最高裁判所の負担の軽減をはかる必要があると考えられますので、本改正案におきましては、第三百八十四條ノ二により、事件の完結の遅延のみを目的とする上訴の防止をはかりますとともに、第百九十三條ノ二において、裁判に対する信頼を高め、かつ不必要な上訴を防止するため、明らかに法令に違背した判決は裁判所みずからこれを変更し得ることとしたのであります。

 しかして、かように不当または不必要な上訴の防止をはかります反面、最高裁判所を違憲の判断に関する終審裁判所とする日本國憲法第八十一條の精神に鑑み、いやしくも、法律、命令、規則または処分の立憲性が爭われる場合には、たとえそれが簡易裁判所の事件でありましても、また不服申立の方法のない決定、命令でありましても、常にその点につき最高裁判所の判断を受け得ることといたしました。本改正案第三百九十三條以下第五百條までが、この新しい上訴制度に関する規定であります。

 第七は、民事訴訟の全般にわたり、訴訟または強制執行の関係人の権利の伸張または利益の保護を全からしめるため必要な規定を設けたことであります。たとえば、口頭弁論を経ずして訴を却下する場合に関する第百十四條、債権の差押に関する第六百十八條第二項及び第六百十八條ノ二の規定等がそれでありまして、上告裁判所の判決に対しても、その裁判所に異議の申立をすることができることとした第四百九條ノ二以下の規定も、この部類にはいるものということができるのであります。

 最後に第八は、以上の改正に伴い必要な経過規定を設けたことであります。附則に掲げた諸規定がそれでありまして、改正法律施行の前後にわたる事件については、手続法としての性質上、原則として新しい規定によることを建前といたしましたが、他面当事者の利益をさかのぼつて奪う結果にならないように必要な配慮をいたしております。

 以上を以て民事訴訟法の一部を改正する法律案の大要の御説明を申し上げた次第であります。

第2回国会衆議院司法委員会議録第9号4頁(昭和23年4月5日)〔奧野健一政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム

出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100201036)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。