教育委員会法案
衆議院 文教委員会
参議院 文教・治安及び地方制度連合委員会
衆議院 文教委員会公聴会
昭和23年法律第170号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院文教委員会・文教・治安及び地方制度連合委員会
衆議院文教委員会・文教委員会公聴会
提案理由
森戸辰男 文部大臣 昭和23年6月18日今回政府より提出いたしました教育委員会法案につきまして、その提案の理由及び本法案制定について、政府のとりました根本方針を御説明いたします。
先づ本法案が制定されるに至りました経緯を御説明いたしたいと思います。各種の教育刷新の施策の一つとして、終戰後間もなく教育行政、特に地方教育行政の在り方について改革の必要が叫ばれ、政府におきましても愼重に研究を重ねたのでありますが、教育刷新委員会におきましても、教育行政の改革を我が国教育民主化の一重要支桂と考えられ、愼重審議の結果、これに関する建議を内閣総理大臣あて提出いたされました。又米国教育使節團報告書にも、教育行政の改革について極めて有意議な勧告が提出されておるのであります。一方昨年三月三十一日公布施行されました教育基本法は、その第十條におきまして、「教育は、不当な支配に服することなく、國民全体に対し、直接責任を負つて行われるべきものである。教育行政は、この自覚の下に、教育の目的を遂行するに必要な諸條件の整備確立を目標として行われなければならない。」と規定いたしてありますが、教育基本法は、教育憲法或いは教育宣言とも申すべき性格を有する法でありますので、教育行政改革の方針は、前述の規定に基きまして、その方向付けがなされたものと考えられます。教育刷新委員会の建議の趣旨、米国教育使節團報告書に示された貴重な勧告、及び教育基本法の規定する方針に基きまして、政府において関係各方面と連絡の上、愼重研究の結果、地方教育行政に関する根本的改革を企図する本法案を提出するに至つた次第であります。
次に今回のこの法律を制定するに当つて、政府のとりました地方教育行政改革の根本方針につきまして申述べたいと思います。教育の目的は、個人の尊嚴を重んじ、眞理と平和を希求する人間の育成を期するにあることが教育基本法で宣言されておりますが、この教育の目的を達成するために行政が、民主主義一般の原理の下に立つ在り方としては、権限の地方分権を行い、その行政は公正な民意に即するものとし、同時に制度的にも、機能的にも教育の自主性を確保するものでなければならないのであります。
先ず、教育行政の地方分権としては、都道府縣、市、東京都の特別区及び人口一万以上の町村に、それぞれ原則として権限上一般行政機関から独立した教育委員会を設置して、その地域の教育に関する責任行政機関といたしまして、從來国が教育内容の細部に亘るまで規定し、且つこれを監督していた態度を改めまして、教育の基本的事項のみを定めて、これが実際上の具体的運営は、これら委員会の手に委ねることとしたのであります。
次に、前述の地域に設けられる教育委員会の委員の選任方法は、一般公選といたしまして、地方住民の教育に対する意思を公正に反映せしめることによつて、教育行政の御主化を徹底いたすこととしました。從つて地方の教育は、國の基準に従つて、地方民の代表者の手によつて、その地方の実情に即して行われることになるわけであります。
最後に教育の本質的使命と、從つてその運営の特殊性に鑑みまして、教育が不当な支配に服さぬためには、その行政機関も自主性を保つような制度的保障を必要といたします。教育委員会は原則として、都道府縣又は市町村における独立の機関であり、知事又は市町村長の手に属しないのでありまして、直接國民にのみ責任を負つて行われるべき教育の使命を保障する制度を確立することにいたしました。
以上三つの眼目が、本法案制定に当りましてとられた根本方針であります。この法案は、すでに実施を見ております新学制を初め、その他の教育刷新に関する諸施策を急速に促進すると共に、他面後に続く諸改革の強力な主桂となるべき重要な意義を持つものであります。この法律は一應本年七月一日より施行いたしますが、目下実施途上の六・三制の完成及び地方財政の実情等に鑑みまして、町村及び特別教育区については、その実施を尚二ケ年延期いたすことにいたしております。從つて本年は都道府縣と市及び東京都の特別区の教育委員会のみ実施いたしまして、これらの委員会の委員の第一回の選挙は、本年十月五日に行うことにいたしてあります。何とぞ愼重に御審議の上、御決議あらんことをお願い申上げる次第でございます。尚詳細の点につきましては、関係官から御説明申上げることにいたします。
第2回国会参議院文教委員会会議録第3号1頁(昭和23年6月18日)〔森戸辰男文部大臣発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100201158)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。