へい獣処理場等に関する法律案
衆議院 厚生委員会
昭和23年法律第140号
審議経過
右の数字は会議の発言数提案理由
赤松常子 政府委員(厚生政務次官) 昭和23年6月26日只今議題になりました「へい獸処理場等に関する法律案」につきまして提案の理由を御説明申上げます。
從來へい獸処理場等の衞生取締は各都道府縣令によつて行われて來たのでありますが、昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現の効力を有する命令の規定の効力に関する法律の規定によりまして、これらの都道府縣令はその効力を失うに至り、且つ各都道府縣令による取締を以てしては取締の対照、方法等が一定していなかつたため、取締の徹底と指導の適正等を十分行うことが困難で公衆衞生上遺憾の点がありましたので、この際統一的な基準を定めて、これらの衞生取締を徹底化するためこの法律案を提案した次第であります。何とぞ御審議の上速かに可決せられんことをお願いする次第でございます。
続いて温泉法案提案の説明を申上げます。我が國は世界に冠たる温泉國でありまして、古來温泉は國民の保養又療養に廣く利用されて参つたのでありますが、温泉地の発達に伴い或いは濫掘の結果、水位が下つて湧出量が減退又は枯渇するとか、或いは温泉に関する権利関係が複雜を極め、各種の紛爭を起す等、いろいろの問題が出て参つたのであります。これらの問題を処理いたしますため從来都道府縣令を以て温泉に対する取締を行なつて参つたのでありますが、新憲法の施行により昨年末これらの府縣令はその効力を失つたのであります。併しながら温泉は我が國の天然の資源として極めて重要なものでありまして、これは保護すると共にその利用の適正を図り、一面國民の保健と療養に資すると同時に、他面その國際的利用による外資の獲得に役立つてますことは國家再建上喫緊の要務と存じますので、この際從來の都道府縣令の内容とするところを基礎とし、これを若干拡充いたしまして、温泉の保護とその利用の適正化に遺憾なきを期するためこの法律案を提出した次第であります。
この法律は全部で三十ケ條でありまして、これを総則、温泉の保護、温泉の利用、諮問及び聽聞並びに罰則の五章に分けて規定しております。先ず総則におきましては、この法律の目的と温泉の定義を規定しておるのであります。即ちこの法律の目的といたしましては、温泉を保護すると共にその利用の適正を図りまして、公共の福祉の増進に寄與することにあることを明らかにし、温泉の定義といたしましては、地中から湧出する水又はガスで一定の温度を有するか又は一定の成分を含有しているものを温泉と称することといたしているのであります。
次に第二章におきましては、温泉源を保護するために必要な事項を規定しているのでありまして、温泉の掘鑿、湧出路の増掘、湧出量増加のための動力裝置につきまして都道府縣知事の許可を受けさせることとし、又温泉を枯渇させるような採取とか、他の温泉を侵害するような採取を防止するため、都道府縣知事に温泉を採取する者に対し採取の制限を命ずることができるようにいたしております。尚又温泉を湧出させる以外の目的、例えば池、井、構渠の工事とか、鉱業とかの目的で土地を掘鑿したため温泉の湧出量、温度又は成分に著しい影響を及ぼす場合が考えられますが、かかる場合におきまして、それを放置することが公益上適当でないと認めるときは、都道府縣知事はその影響を阻止するに必要な措置を命ずることができるようにしております。
第三章におきましては、温泉の利用の過正を図つて公共の福祉の増進に寄與せしめるに必要な規定を設けております。即ち温泉を公共の浴用又は飲用に供しようとするときは、都道府縣知事の許可を受けさせると共に、施設内の見易い所に温泉の成分、禁忌症、入浴又は飲用上の注意を掲示させまして、衞生上有害な温泉を公共の浴用又は飲用に供することのないようにいたしますことは勿論、その利用を十分合理的にいたして参りたいと存じております。又厚生大臣は必要に應じて施設の整備及び環境の改善に必要な地域を指定し、その地域内の温泉の利用施設の整備、その管理方法の改善等を指導いたしまして、理想的な温泉郷を建設して行くことによりまして、温泉の公共的利用の増進を期しているのであります。その他本章におきましては、所要の報告を聽する規定とか、立入檢査を行う規定等を設けておるのであります。
次に第四章におきましては、行政処分を民目的にするため、温泉審議会に対する諮問と公開による聽聞に関し規定しているのであります。即ち行政廳が、土地の掘鑿の許可のように利害関係の複雜な行政処分を行いますときは、関係行政廳の官公吏、関係業者、学識経驗者を以て組織した審議会に付議いたすこととすると共に、許可の取消のように、既存の地位を変更し制限する行政処分を行いますときは、その処分を受ける者に公開の聽聞において弁明し、且つ有利な証拠を提出する機会を與えるようにいたしているのであります。
次に第五章は罰則でありまして、最高一年以下の懲役から最低五千円以下の罰金に至る三階段の規定を設けているのであります。
尚最後に附則におきましては、施行明日と経過規定を設けているのでありますが、施行期日は審議会の設置、その他いろいろ準備が要りますので、公布後三十日を経過した日から施行することにいたしております。又経過規定におきましては、從前の法令下における状態はこの法律においてもこれをそのまま承認して行く建前の下に規定しておるのであります。
以上簡單でございますが、温泉法の提案の理由及び要旨を御説明申上げた次第であます。何とぞ御審議の上、速かに可決されんことをお願いいたします。
第2回国会参議院厚生委員会会議録第17号1頁(昭和23年6月26日)〔赤松常子政府委員発言・発言番号3〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100201191)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。