関税法の一部を改正する等の法律案
参議院 大蔵委員会
昭和24年法律第65号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院大蔵委員会
- S24.5.6趣旨説明・質疑・討論・修正案趣旨説明・採決(修正)大蔵委員会 25197
- S24.5.7委員長報告・採決(修正)本会議 2542
提案理由
中野武雄 政府委員(大蔵政務次官) 昭和24年5月6日ただいま議題となりました関税法の一部を改正する等の法律案について、提案の理由を御説明いたします。
わが國に輸出入されるすべての貨物は、関税法第三十一條の規定により、税関に申告し、檢査を経て、その免許を受けることとなつており、税関はその面において最終的取締り官廳とも言い得るのでございますが、他の法令で、輸出または輸入に関して、それぞれ当該行政官廳の許可、承認等を要する旨を規定している貨物については、その取締りの万全を期するために、税関檢査の際、その許可、承認等を受けたことを証明するか、または証明の上、その認定を受けさせるようにし、もつて行政効果を最も確実にする必要がありますので、この趣旨を関税法に規定しようとして新たに一條項を設けたいのであります。
次に郵便物中、小形包裝物等に対しては、郵便物による密輸出入を防止する見地からも、その輸出入に際して税関の檢査を受けさせる必要がありますので、これを法制化することとし、また收容貨物を税関で処分し得る期間は現在六箇月でありますが、それではあまりにも長期に失し、現状にそぐわないきらいがありますので、これを三箇月に短縮し、もつて港頭上屋の利用の回轉率を高めるとともに、收容貨物の早期活用をはかるためと、これら收容貨物または腐敗のおそれのある收容貨物及び犯則事件の差押え物件も、公益上必要があるときは、その貨物につき統制機関のあるものはまずその統制機関に賣却し、統制機関のない場合は、税関長の適当と認める者に随意契約をもつて賣却し、なお一層の早期処分をはかるために、関税法に所要の改正を加えようとするものであります。
次に現在外國貿易実績の相当量に上つている細島、津久見両港はこれを開港に指定して、その利便に資するとともに、開港の指定が関税法と横須賀港を開港に指定する等の法律(昭和二十二年法律第百九十二号)の二本建になつているのを、この際関税法で一本としてその整理をはかり、かつ外國貿易の消長に伴つて、開港の中にもその價値を失つて來るものも生ずるので、一定の閉鎖條件を定めて自動的に開港の整備を行い、從つて税関支署等の整理をなし得るよう規定したのであります。
次に本邦に入出國する旅客に対し、その旅券の査証を行つて、身分等を確認し、もつて税関檢査の完璧を期するために、新たに規定を設けるとともに、現在税関で行つている外國貿易等に関する税関統計の作成につきこれを法制化して、もつて税関にその作成を義務づけ、税関統計をさらに権威あるものとするために、その規定を設ける必要があるのであります。
次に朝鮮、台湾等は密貿易取締り及び税関統計作成上の見地から、関税法の手続面では現在も外國とみなされているのでありますが、関係方面の意見も一致しましたので、当分の間これを関税法上全面的に外國とみなし、あわせて関税定率法、トン税法上も同樣外國とみなして、これらの地域をわが國関税法規しまつたく外國と同樣の取扱いをしようとするのであります。
次に現行トン税率総トン数一トン七銭は、現在の経済情勢から見てあまりに低きに失するので、これを五円に改め、もつてその適正をはかり、あわせて租税増收の一助とするとともに、その他税関の事務遂行上及び最近におけるわが國貿易事情から見て、関税法に所要の改正を加える必要があると考えられますので、本法律案を提出した次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
次に國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案提出の理由を御説明申し上げます。
從來國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関しては、会計法の施行規定である予算決算及び会計令及び政府から物件を賣り拂う場合の代金の延納に関する勅令の定めるところに從つて、実行して参つたのでありますが、これらの規定は、現下の状況から、その内容について変更を加える必要もあり、また國有財産の賣拂代金等の納付については、すでに國有財産法の改正の際、これを整備し、法律中に規定しました関係上、物品の賣拂代金納付の原則についても法律で規定することが望ましいので、今回その整備をはかるため、この單行法律を制定しようとするものであります。すなわち賣拂代金の納付に関しては、從來も当該物品の引渡しのときまでに納付させることになつておりますが、この原則規定を法律に引き上げまするとともに、從來特に制限を設けられていなかつた賣拂代金の延納に関し、第二條に列挙いたしましたごとく、必要やむを得ない範囲においてのみこれを認め、担保の提供を免除する等の場合におきましても一定の條件を付し、必要最小の範囲にとどめることといたした次第であります。なお延納の特約をしようとするときは、從來の通り大藏大臣に協議を要するものとして、さらにその濫に流れることを防止することを考慮いたしております。
以上の理由によりましてこの法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
次に協同組合による金融事業に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
協同組合による金融事業につきましても、その健全な経営を確保し、預金者その他の債権者の利益を保護し、健全な一般の金融秩序を維持いたしますために、所要の規律を設ける必要があると思われるのでありまして、從來この点につきましては、当時立案いたしておりました金融業法におきまして、他のすべての金融規律とともに、所要の規律を設けるという方針で進んで來たのであります。しかるにこの金融業法は、さらに別の観点から再檢討することになりまして、金融業法としては今國会に提出しないことになつたのであります。今般農業、水産業及び消費生活協同組合以外の協同組合の組織法でありまする中小企業等協同組合法案が、今國会に提出されることになつたのでありますが、これは中小企業等の協同組合の民主的な組織化をはかろうとするものでありまして、金融事業の監督に関する規律がまつたくなく、このままでは協同組合による金融事業の健全な経営と一般金融秩序の維持は期し得ないのであります。從つて本法によりまして、協同組合につきましては、銀行等と同じように、金融事業を行うにあたつては、大藏大臣の免許を要することとし、その行う金融事業に関しましては、おおむね銀行法または貯蓄銀行法の例によりました規律を設け、もつて一般金融秩序の中におきまする協同組合による金融の健全な発達をはかろうとするものであります。
以上協同組合による金融事業に関する法律案の提案理由を御説明いたしたのでありますが、すみやかに御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
次に國庫余裕金の繰替使用に関する法律案提案の理由を説明申し上げます。
現行会計法規におきまして、短期資金を一時借入金または融通証券によつて調達するものと定められている特別会計は、総計二十一に上るのでありますが、そのうち右の調達方法にかえ、國庫余裕金を繰替使用することを認められておりますのは、專賣局及び印刷局特別会計外七会計にすぎないのであります。これがため政府收支の年間推移の過程におきまして、相当巨額の國庫余裕金が発生し、その利用の道に苦しむごとき事態を生ずるとともに、一方には短期の資金繰りに苦しみ、融通証券を発行し、または一時借入金を起さねばならぬ特別会計が、多々存在する実情と相なつておるのであります。ゆえに國庫余裕金の繰替使用の制度を、右の二十一特別会計のすべてに拡張いたしますとともに、融通証券または一時借入金の期限前償還のためにも繰替使用を認めることといたしまして、國庫金を合理的かつ効率的に運用し、あわせて融通証券または一時借入金の利子予算を節減することを、可能ならしめたいと存ずるのであります。
以上の理由によりましてこの法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
第5回国会衆議院大蔵委員会議録第25号19頁(昭和24年5月6日)〔中野武雄政府委員発言・発言番号14〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100501157)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。