地方行政調査委員会議設置法案
参議院 地方行政委員会
昭和24年法律第281号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院地方行政委員会
提案理由
小野哲 政府委員(地方自治政務次官) 昭和24年11月17日地方行政調査委員会議設置法案の提案理由及びその内容の概略を説明いたします。
地方自治を拡充強化することは、新憲法の基本方針の一つでありまして、新憲法の施行以来、この線に沿つて地方自治法、地方財政法、地方税法等の制定改正が行われ、着着その成果を見つつあることは、各位の御承知の通りであります。しかしながら今日までの地方自治制度の改革によりほぼその成果をあげ得ましたのは、主として地方公共団体の機構及び運営に関する部面における民主化の徹底についてでありまして、地方公共団体の処理すべき自治事務、及びその裏づけとなるべき財源の賦與等の部面につきましては、遺憾ながらいまだ十分な成績を收めておらず、新憲法の理想といたしまする地方分権の確立は、まだまだ不徹底のそしりを免れない状態にあるのであります。
先般来朝したシヤウプ使節団は、この地方自治の欠陷を指摘して、わが国の民主化を推進するためには、強力な地方公共団体をつくる必要があること、そのために地方公共団体の財政力を強化する方策と並んで、国と地方公共団体の事務の配分を再検討し、まず市町村に、次に都道府県に優先権を置き、国は地方公共団体では有効に処理することができない事務のみを引受けるように、事務の再配分を行うべきことを勧告しているのであります。そしてこの事務の再配分の目的のために、五人の委員からなる特別の委員会を即刻設置すべきことを勧告しているのであります。政府はこの勧告の趣旨を尊重いたしまして、思い切つて地方分権を断行し、地方自治を充実強化して国政の民主化を推進する見地から、地方自治を基底とする市町村、都道府県及び国相互間の事務の配分の調整等に関する計画につき調査立案し、その結果を内閣及び内閣を経由して、国会に勧告する任務及び権限を有する地方行政調査委員会議を設置するこことし、これに関する法律案を今期国会に提案いたすこととしたのであります。
次にこの法律案の内容の概略を説明いたします。
地方行政調査委員会議は、国家行政組織法第八條第一項の規定に基いて、総理府の機関として臨時に設置するものとしたのでありますが、その任務の重要性にかんがみて、総理府に置かれる各種の審議会のごとき従属的性格を帯びる総理府の附属機関とすることなく、日本学術会議と並び、相当独自的性格を持つ機関とすることとしたのであります。
会議は、地方分権の本旨にのつとり、地方自治を拡充強化して、国政の民主化を推進するため、地方自治を基底とする市町村、都道府県及び国相互間の事務の配分の調整等に関する計画につき調査立案し、その結果を内閣及び内閣を経由して、国会に勧告することをもつてその任務とするものであります。その計画の内容となるべき事項をさらに具体的に申し上げれば、市町村、都道府県及び国相互間の事務の配分の調整及び地方公共団体の機関に対する委任事務の調整、並びにこれらに照応する国庫補助金等に関する制度の改正、その他事務の配分の調整に伴い起るべき必要な事項であります。従いましてこの事務の配分の調整に関する計画の立案に伴つて、たとえば府県、市町村等の規模の適正化ということについても、研究を進めることになるであろうと予想せられるのであります。なお会議の勧告に基いて、もし内閣において直接それを具体化する法律案を作成し、国会に提出するという場合におきましては、できる限りその勧告を尊重するように明記したのであります。
次に会議の組織でありますが、会議は内閣総理大臣が任命する委員五人で組織することとなつておりますが、五人の委員のうち、三人はシヤウプ報告書に従い、全国の知事、市長及び町村長の各連合組織の代表者が、それぞれ推薦する者でなければならないものといたしております。なお会議は内閣に対する勧告のみならず、国会に対する勧告権をも有しており、かつその立案にかかる計画は、わが国将来の国政及び地方自治の方向に、重大な影響を及ぼすものでありますので、委員の任命については両議院の同意を経ることとして、愼重を期することとしたのであります。会議の所掌事務の遂行のためには、関係行政機関及び地方公共団体と密接に連絡するとともに、適時資料を收集する必要がありますので、調査立案のため必要があるときは、参考人の出頭及び意見を求め、または関係行政機関もしくは地方公共団体等に対して、記録の提出を求める権限を認めるとともに、関係行政機関または地方公共団体の長に対し、職員のうちから、会議と関係行政機関または地方公共団体との連絡にあたる者の指名を求めることができることとしたのであります。
最後に、会議に、專門的事項を調査させるため、專門調査員二十人以内を置くとともに、会議の事務を処理させるため、事務局を置くこととしたのであります。專門調査員は、会議の特異な性格にかんがみ、重大な職責を有しておりますので、広く適材を得るため非常勤とすることができることといたしております。
なお、会議の所掌事務は、すこぶる広範囲にわたつており、かつ短期間にその任務を終えなければなりませんので、事務局には相当数の職員を配置する必要があると存じますが、政府といたしましては、行政整理を断行した直後のことでもあり、新規に定員を増加することは極力避けなければなりませんので、とりあえず総理府の定員のうち、新給與実施本部の廃止によつて減少する定員六人を、会議の事務局に配置することとしたいと存じます。
以上地方行政調査委員会議設置法案の提案の理由及びその内容の概略を説明いたしました。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いする次第でございます。
第6回国会衆議院地方行政委員会議録第5号2頁(昭和24年11月17日)〔小野哲政府委員発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100601037)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。