家畜保健衛生所法案
衆議院 農林委員会
昭和25年法律第12号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院農林委員会
- S25.2.14趣旨説明・補足説明・質疑農林委員会 561
- S25.2.28質疑・採決農林委員会 732
- S25.3.1委員長報告・採決本会議 2237
衆議院農林委員会
- S25.2.15趣旨説明・質疑・採決農林委員会 679
- S25.2.23委員長報告・採決本会議 1928
提案理由
坂本實 政府委員(農林政務次官) 昭和25年2月14日只今御審議を願います家畜保健衛生所法案の提案理由を御説明いたします。畜産は食糧の増産、農業経営の改善、食生活の刷新等の見地からその必要性は益々増大し振興を要すること切なるものがあります。畜産の振興は、家畜の生産、育成利用等が農業と相関連して合理的且つ有機的に行われて始めて目的を達しうるものであることは勿論でありまして、現在種々畜産の振興方策が進めかれておりますが、なかんずく家畜の損耗防止、生産率向上の面から家畜衛生に関する学理と技術とを積極的に応用することが当面最も効果的であることは衆人の認めるところであります。
よつてこの施策の実施を促進強化するために地方における家畜衛生の末端の実践機関として家畜保健衛生施設を設置することとなり、昭和二十三年度以降六ケ年計画を以て五百個所を目標に設置に着手し、すでに華々しい活動を開始し各方面から多大の期待を寄せられるに至つている次第でありまして、この施設の重要性に鑑み、且つ片一層地方の末端における家畜衛生の機構を確立整備し、真に農民と直結する施設としての性格を明確にすると同時に、家畜防疫行政機関としての性格を持たしめることが必要となつて参つたのであります。
以下本法案の主要な内容について、その概要を御説明いたしたいと思います。
第一に、今日の家畜伝染病の予防は畜産振興の基盤をなすもので、而もその内容は非常に広汎多岐に亘り又その基礎をなす獣医学は日進月歩著るしい進歩を見つつあるので、遺憾なくこの事業を実施するには絶えず進歩した技術の普及浸透が図られなければなりません。客観的な状勢を観察しまするに、我が国は各種伝染病の常在地に囲まれる地理的関係にあり、常時大陸からの伝染病の侵入の危険に曝されているわけでありまして、一朝侵入しますれば、我が国の畜産の基礎は根抵から崩壊されることは明らかな事実でありますので、強力なる防疫態勢を整えると同時に、迅速果断にこれを処理することが喫緊の要事なのであります。即ちその発生及び伝播の状況を確実に掌握し、発生の初期に迅速な防疫処置も行うがためには、機を失せず情報の鬼集、材料の採取、鑑定等を必要とするのでありまして、このためには施設と組織と機構とを確立する必要があるのであります。
第二は、寄生虫、骨軟症、其の他家畜に多発する疾病の予防のための検査の実施であります。寄生虫病は一般に慢性経過をとり、その被害も伝染病のごとく顕著でないがために不注意に看過されやすいのでありますが、家畜に於ける寄生率は八〇%以上にも及んでおり、殊に幼畜は抵抗力が弱く栄養を害し、延いては発育を阻害されている実状でありますので、これに対する根本的対策を必要とするのであります。又骨軟症は北海道、東北、北陸等米作地帯、積雪地帯の家畜特に馬に多発し多大の被害を及ぼしている疾病でありますが、近年飼料事情の悪化から一層その発生が激増し、馬のみに止まらず、乳牛にも多発し、又発生地域も全国的に拡大される勢にありますので、これらの疾病の検査を励行して、発生を未然に防止することが必要なのであります。
第三は、生産衛生技術の普及向上によつて生産の増強を図らんとする点であります。このためには、人工授精による優良種畜の高度の利用及び繁殖障害の除去による受胎率の向上を行うことが、必要であると同時に、種付の指導、早期の妊娠診断、妊娠家畜の管理衛生の指導等を併行して行わなければならないので、この施設を中心にこの事業を強力に推進せんとするのであります。
第四には、地方における家畜衛生のサービスセンターとして、直接家畜飼養者に接触し、衛生思想の普及を行い、又広く団体の技術者関係獣医師にこの施設を利用せしめ、家畜衛生行政への協力を促進し、真に効果を昂めることとしたいのであります。
以上が家畜保健衛生所法案の大要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決せられんことを希望する次第であります。
第7回国会参議院農林委員会会議録第5号1頁(昭和25年2月14日)〔坂本實政府委員発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100701023)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。