地方財政委員会設置法案
参議院 地方行政・内閣連合委員会
参議院 地方行政委員会
衆議院 地方行政委員会
昭和25年法律第210号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院内閣委員会・内閣委員会地方行政委員会連合審査会・地方行政委員会
- S25.4.25趣旨説明内閣委員会 2073
- S25.4.26趣旨説明・質疑内閣委員会地方行政委員会連合審査会 1146
- S25.4.27申入地方行政委員会 3048
- S25.4.28修正案・修正案趣旨説明・質疑・討論・採決(修正)内閣委員会 2393
- S25.4.29修正案・委員長報告・採決(修正)本会議 4496
参議院地方行政・内閣連合委員会・地方行政委員会
- S25.4.25趣旨説明・補足説明・質疑地方行政・内閣連合委員会 172
- S25.4.26質疑地方行政・内閣連合委員会 241
- S25.4.30質疑地方行政委員会 43118
- S25.5.1委員長報告・討論・採決本会議 49179
- S25.5.1討論・採決地方行政委員会 44179
提案理由
本多市郎 行政管理庁長官・地方自治庁長官 昭和25年4月25日ただいま議題となりました地方財政委員会設置法案につきまして、その提案の理由及び内容の概略につきまして、簡單に御説明申し上げます。
申すまでもなく地方自治の確立強化は、わが国再建の基本施策として、終戰以来鋭意政府の意を用いて参つたところでありまして、地方自治法施行以来地方行財政制度の全般にわたり、相次いで画期的な制度の改革が断行せられるとともに、これら地方自治に関する諸制度の改革と歩調を一にして、中央政府と地方公共団体との関係もまた大きい変革を遂げ、さきに内務省が解体廃止せられまして以来、政府部内にあつて地方自治拡充に関する業務をつかさどる機関についても、幾たびか機構の改革が行われ、現在総理府の外局である地方自治庁が、その任に当つていることはすでに御承知の通りであります。しかしながら、地方自治の現状は、このようなたび重なる制度の大改革にもかかわらず、いまだ必ずしも十分な成果をあげるに至つてはおらず、ことに地方財政の困窮と、その自主性の欠如とは、地方自治確立の前途に深い暗影を投じておりますとともに、国務大臣を長官とし、配するに地方自治委員会議をもつてする現在の地方自治庁の機構をもつてしては、とかく地方財政に関する地方公共団体の意思が十分政府の施策に反映せられないのでありまして、ひつきようするに、自主的地方財政を確立強化するためには、地方自治庁という機構そのものがまことに遺憾なことではありますが、その設立当初の意図に反して、必ずしも強力な機関たり得ないことを認めざるを得ないのであります。
時あたかもシヤウプ税制調査団の勧告発表の次第もあり、政府は、この勧告の趣旨を十分尊重し、長年の懸案であつた地方税財政制度の全般にわたつて、画期的な大改革を行いますとともに、特に地方自治における最弱点である、地方財政関係の確立に強い力を持つ機関設置の必要を痛感し、ここに現存の地方自治庁とは別箇の機関として、新たに地方財政に関する地方団体の強力な利益擁護機関として、国、都道府県及び市町村相互の間における財政の調整をはかり、地方自治の本旨の実現を推進する機関として、内閣総理大臣の所轄のもとに、地方財政委員会を設置することとし、本法案の御審議を願うことといたしたのであります。
次に本法案の内容につきまして、概略御説明申し上げます。本法案は大体におきまして、五つの部分から成立つております。まずその第一点は、本委員会の任務及び所掌事務の範囲であります。地方自治権の確立強化の過程が進んで参りますにつれ、政府部内におきまして、地方自治のことに当る機関の任務にもまた変化が生じて参りますことは当然でありますが、ことに今回断行せんといたしまする地方税財政制度の大改革に伴いまして、中央におけるこの種機関の任務につきましても、地方自治の根基たるべき自主的地方財政の確立強化に重点を置かなければならなくなつたことは当然であります。本委員会の設置はまさしくこのような地方自治の現段階における要請に即応せんとするものでありまして、政府部内にあつて、相当程度の独立権限を行使しつつ、地方財政自主権の確立を推進し、地方財政に対する一方的な国家意思の支配を排除するとともに、国家財政と地方財政及び地方公共団体の財政相互間の調整をはからんとするものであります。換言いたしますならば、本委員会は、形式上は総理府の外局でありますが、相当広汎な独立権限を有し、地方税法、地方財政平衡交付金制度等、地方税財政制度の円滑なる運営確保の責めに任ずるとともに、地方税財政制度全般について絶えず必要な調査、研究を行い、必要事項については、随時あるいは国会及び内閣に意見を申出、あるいはまた関係機関に必要な助言を行い、もつて地方自治の進展に資するところあらんとするものであります。
その第二点は、委員会の組織であります。以上のような本委員会の任務の重要性と、特殊性格とに基き、本委員会は、地方自治に関しすぐれた識見を有する者について、内閣総理大臣が任命する五人の委員をもつて組織することとし、委員のうち三人は全国都道府県知事の連合組織、全国市長会の連合組織及び全国町村長会の連合組織がそれぞれ推薦した者を含まなければならないこととし、その利益代表機関としての色彩を組織の上に強く反映せしめることとし、また委員の罷免につきましては、一定の分限規定を設けて、政府の一方的措置を排除いたしまして、その独立性を強くし、地方公共団体の意思が国家により一方的に不当に抑圧せられることのないよう措置を講ずることといたしたのであります。
その第三点は、委員会の持つべき権限であります。本委員会の権限といたしましては、委員会設置の趣旨にかんがみ、従来内閣総理大臣の権限に属しておりました地方税財政に関する諸権限のうち、地方税財政制度に関する法律案の企画立案権を除き、他はすべてあげてこれを本委員会に委讓することとし、その独立性を強化するため、地方財政委員会規則の制定権及び委員会の所要経費確保に関する請求権を付與し、随時地方財政に関する必要な意見を国会、内閣及び関係機関に申し出る権限を與えるとともに、地方財政の状況を毎年国会及び内閣に報告する義務を課して、国会及び内閣との連絡の緊密化をはかり、聽聞の権限及び義務を規定してその業務運営の適正を期し、もつて地方公共団体の利益の正当なる擁護者たる地位の確保をはかつているのであります。
その第四点は、委員会の事務部局であります。地方財政委員会の持つべき性格と、その任務とにかんがみ、委員会に置かれる事務部局としては、官房のほか財務部と税務部の二部とし、前者は地方財政平衡交付金法及び地方税関係法規を除く地方財政関係法令の施行の事務に当り、後者は地方税関係事務の執行に任ずることといたしております。
その第五点は、地方自治庁設置法の一部改正及びその他関係諸法令の一部改正であります。まず地方自治庁設置法の一部改正でありますが、地方財政委員会の設置に伴い、地方自治庁の任務及び所掌事務の範囲について変更が生じて参ります結果、本法律案の附則において、地方自治庁設置法の一部に所要の改正を加えることといたしたのであります。すなわち、第一に地方財政に関する強力な地方公共団体の利益擁護機関として、本委員会が設置せられます結果、地方自治庁は、国と地方公共団体相互間の連絡機関たることを主要性格とし、地方行財政及び地方公務員制度に関する法令案の立案に当るとともに、あわせて地方自治に関する内閣総理大臣の権限行使の補佐に当ることをもつてその任務とすることとし、地方財政委員会と相並び長短相補いつつ、地方自治確立の推進に邁進することといたしたのであります。
第二に、従来地方公共団体の利益擁護の任務を持つておりました地方自治委員会議は、新たに強力な地方公共団体の利益擁護機関たる地方財政委員会を設置することとなりました結果、その性格を地方自治庁の諮問機関に改め、その構成人員もその性格にふさわしいものに改正することといたしたのであります。
第三に、その事務部局でありますが、財政部関係事務の大幅な地方財政委員会への委讓に伴い、従来の部制はこれを廃止し、簡素かつ能率的な構成をとることといたしたのであります。
最後に地方自治法、地方財政法等その他の諸法律の改正であります。地方財政委員会の設置によりまして、既存の諸法律中に規定せられております内閣総理大臣及び地方自治庁長官の地方財政に関する諸権限のうち、相当部分が地方財政委員会に委讓せられます結果、本法案の附則におきまして必要事項を改正し、字句の整備を行つたのであります。
以上が、本法案の提案の理由及びその内容の概略でありますが、なお最後に本委員会の設置の時期について一言申し述べておきたいと存じます。本委員会の設置は、今回断行せんといたしておりまする地方税制度の改正、地方財政平衡交付金制度の実施と一体不可分のものでありまして、当初これら諸改革の実施と同じく、本年四月一日発足を目途といたしておつたのでありますが、関係諸方面との折衝に意外の日時を費さざるを得ないこととなりました結果、予想外に提案を遅延いたさざるを得ないこととなつたのであります。もとより法案成立の上は、ただちに発足いたすべく準備を怠るものではございませんが、何とぞこの間の事情をとくと御了承の上、愼重御審議を重ねられ、すみやかに御議決あらんことをお願いいたす次第であります。
第7回国会衆議院内閣委員会議録第20号5頁(昭和25年4月25日)〔本多市郎行政管理庁長官発言・発言番号11〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100701180)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。