商品取引所法案
参議院 通商産業委員会
参議院 通商産業・農林連合委員会
参議院 農林委員会
昭和25年法律第239号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院通商産業委員会・通商産業委員会農林委員会連合審査会
参議院通商産業委員会・通商産業・農林連合委員会・農林委員会
- S25.7.17趣旨説明通商産業委員会 119
- S25.7.20質疑通商産業委員会 269
- S25.7.21質疑通商産業・農林連合委員会 136
- S25.7.21質疑通商産業委員会 352
- S25.7.22質疑通商産業委員会 465
- S25.7.24修正案趣旨説明・討論・採決(修正)通商産業委員会 515
- S25.7.26委員長報告・討論・採決(修正)本会議 961
- S25.7.27申入農林委員会 6133
提案理由
首藤新八 政府委員(通商産業政務次官) 昭和25年7月15日ただいま議題となりました商品取引所法案につきまして提案の理由を御説明いたします。
本法案につきましては、政府といたしましては、さきに第七国会に提案いたしましたが、時間の関係上審議未了となりましたため、このたび本国会に再びこれを提案し、御審議を仰ぐ次第であります。
昨年来経済九原則及びドツジ・ラインの実施によりまして、インフレもようやく終息し、物価も安定して参り、物資に対する統制も順次解除されつつある状況であります。従つて公定価格制度や、配給統制はごく限られた一部の商品についてのみ存続し、大部分の商品の生産及び配給は、経済原則によつて規制されることと相なつたのであります。従いまして商品の価格は、需要と供給のバランスによつて決定されることとなり、この需要と供給をなるべく広い範囲にわたつて集中して、公正な価格をつくるための市場の形成が必然的に要求されて来るとともに、現物のみならず、先物についての市場も要求されることになり、ここに商品取引所の設立が業界から強く要望されるに至つた次第であります。
わが国の商品取引所は、古くは徳川時代の米会所に由来し、戰前におきましては、米を中心とし、綿花、綿糸、綿布、繭、生糸、人絹糸、雑穀、肥料、砂糖等、広汎な種類の商品にわたつて設置されていたのでありますが、戰時に入り、これらの商品について、全面的な統制か行われるに及んで、その機能を失い、昭和十六年ごろまでにはことごとく閉鎖または解散されるに至つたのであります。しかして商品取引所に関する法律も、明治二十六年の制定にかかる取引所法が数回の改正を経て今日に至つている次第であります。すなわち昭和二十二年証券取引所開設の必要に応じ、まつたく新しい構想をもつて証券取引法が制定されたのでありますが、商品取引所については、いまだ開設の時期にあらずとして何らのくふうもなされず、ただ一応旧来の取引所法に商品という字句を冠して残されていたのであり、これが現行の商品取引所法であります。従つて商品取引所を新たに開設するにあたつては、まずその根拠法規である商品取引所法を現在の経済の実情に即したものとするため、新たな構想のもとに全面的に改正する必要が生じたのであります。
以下改正をいたしました主要な点について御説明を申し上げます。まず第一に、現行法によりますと、取引所は株引会社組織によるものと会員組織によるものと二者いずれをも認めておるのでありますが、今回の改正案では、会員組織のみが認められることとなつているのであります。株式会社組織によるときは、実際の取引業者にとつて開設の必要がない場合においても、投機的な取引のみを行うことを目的として取引所が設立される危險性がありまするし、会社として利益をあげ、配当をふやすために、実情に沿わない売買であつても、取引高が多額に上ることのみが念願される傾向を誘致いたし、また実際に取引を行う者とは別個な会社の幹部によつて取引所が管理されることとなる等、従来からその弊害が批判の対象となつていたところであつたのであります。従つて今回は、会員組織のもののみを認めることとしたのであります。
次に今回の改正の第二点は、取引所の設立にあたつて、免許主義をやめて、登録主義をとることとしたことであります。本法案では、取引所の設立の要件は、できるだけ法律上明記することとし、法定の要件を備えたものは、特に法律で定めた登録拒否の規定に該当しない限り、登録を行うことといたしました。これは官庁の許認可等による自由裁量の余地をできるだけ少くし、業界の自主的な活動にまつ趣旨であります。
次に改正の第三点は、取引所において上場することのできる商品を法定している点でございます。この法案では、綿花、綿糸、綿布、乳繭、生糸、人絹糸、スフ糸、毛糸、ゴムが法定されておりますが、これらは大体においてかつての取引所に上場されていた商品であり、今後においても取引所の設立が妥当または必要と認められるものであります。しかしながら今後のわが国の経済は戰前とはおのずから異なるものがありますので、その他の商品につきましても、取引所を設立することが必要となる場合も予想されますので、本法案では必要の都度、政令で商品の品目追加が行われるような道を開いてあるわけであります。
次に改正の第四点としては、商品取引所行政の重要事項を調査審議するための機関として、商品取引所審議会を設置したことであります。これは取引所行政が国民経済全般に影響するところが広く、しかも各方面に関連を有しますので、主務大臣の権限の行使にあたつては、ほとんどすべてこの審議会の議決を経なければならぬことといたし、もつて取引所行政の万全を期した次第であります。また本審議会の会長及び委員については、その重要性にかんがみ、学識経験者のうちから両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとし、その愼重を期している次第であります。
次に改正の第五点といたしまして、本法案では、民主化という点から種々の規定がしてあります。すなわちまず第一に、証券取引法の先例にならいまして、取引所における各種の紛争を円満に解決するために、仲介の制度を創設しております。これは紛争の当事者の言分を聞きまして、妥当な解決点を見出し、その受諾を勧告いたすものであり、その他にも、主務大臣の処分に際しては必ずその事前に公開による聽聞を行う等、行政の民主的な運用を期している次第であります。なお今回の改正案におきましては、以上のほかにも改正点が種々存するのでありまして、たとえば商品取引所の定義を明確にしたこと、他人の委託を受けて売買取引を行う者を、商品仲買人として特に嚴重な規制を加えていること、取引所の取引についても従来と異なり、かなり嚴重な監督規定を設けたこと、定款、業務規程、受託契約準則の必要記載事項を明確にしたこと等がこれであります。
要は免許主義を登録主義に改正した等、産業界の自主的な活動を尊重したこと、取引所の業務についてはできるだけその自治にまかしたこと、しかし他面取引所の国民経済上の重要性にかんがみ、売買取引の基準を明確にし、その行き過ぎの是正をはかり、もつて売買取引の公正と委託者保護の徹底を期したことが今回の改正の大綱であります。
なお前国会に提案した法案と異なる点は、訴訟に関する一箇條文を削除したことでありまして、その他は実質的な相違点はありません。
何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたす次第でございます。
第8回国会衆議院通商産業委員会議録第1号19頁(昭和25年7月15日)〔首藤新八政府委員発言・発言番号10〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=100801007)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。